- 契約書では、2項以上ある条文では、第1項の項数は書かないのでしょうか?
- 契約書の条文の書き方には特にルールはありません。このため、2項以上ある契約書の条文では、第1項の項数を書いても書かなくても問題ありません。
このページでは、契約書の作成者向けに、契約書の条文における第1項の項数の書き方や省略について解説しています。
契約書の条文では、2項以上の複数の項がある場合、第1項の項数を書く場合と書かない場合があります。
これは、特に決まったルールがあるわけではありませんので、どちらでも構いません。
ただ、読みやすさや見栄えの関係で、第1項の項数を書いたほうがメリットが多いです。
このページでは、こうした契約書の複数項の条文における第1項の書き方について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。
このページでわかること
- 契約書の複数項の条文で第1項を書く場合と書かない場合の具体例。
- 契約書の複数項の条文では第1項を書くことのメリット。
- 法律の複数項の条文で第1項を書かない理由。
契約書の条文では第1項を書かない場合と書く場合がある
第1項を書く場合・書かない場合の文例
契約書の条文で、2以上の複数の項がある場合、第1項の項数を書かない場合と書く場合があります。
具体的には、以下のとおりです。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】支払方法に関する条項
第○条(支払方法)
1 甲は、乙に対し、乙が指定する銀行口座に現金を振り込むことにより、料金を支払うものとする。
2 前項の銀行口座への振込みに要する費用は、甲の負担とする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
【契約条項の書き方・記載例・具体例】支払方法に関する条項
(支払方法)
第○条 甲は、乙に対し、乙が指定する銀行口座に現金を振り込むことにより、料金を支払うものとする。
2 前項の銀行口座への振込みに要する費用は、甲の負担とする。甲は、乙に対し、乙が指定する銀行口座に現金を振り込むことにより、料金を支払うものとする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
契約書の書き方は、ルールや法律で決まっていません。
このため、第1項を書かずに省略しても、逆に書いても、両者とも間違いではありません。
特に、第1項を書く場合、第1項を書かない法律の書き方(後述)とは異なる書き方になりますが、法律の書き方と違うからといって、間違いというわけではありません。
第1項を書くメリット
なお、弊所では、複数項の条文では、第1項は省略せずに書くようにしています。
これは、以下のようなメリットがあるからです。
第1項を書くメリット
- 項番号が分かりやすい。
- 見た目が良く、見やすくなる。
- 複数項の条文であることが分かりやすい。
- 単数項の条文と区別しやすい。
法律の条文では第1項を書かない
なお、法律の条文では、第1項の項数は書きません。
これは、1項しかない条文を複数項に改正する場合、わざわざ後から第1項の項数を追加しないためです。
また、最初から複数項で規定されている条文もこの書き方で統一されているため、いずれも、第1項の項数は書かれません。
法律は、契約書とは異なり、気軽に書き換えることはできませんので、このようなスタイルで統一されています。
逆に言えば、契約書で1項しかない条文を複数項に変更した場合は、再度契約書を締結し直せばいいだけですので、見た目を重視することができます。
【意味・定義】契約書における項とは?
項=ひとつの段落
項とは、個々の条のなかの、ひとつの段落のことです。
【意味・定義】項とは?
項とは、条のなかの、文章となっている、個々の段落をいう。
項は必ず文章で書く
項は、条のなかに必ずひとつはある段落であり、文章で記載されています。
このため、必ず主語と述語があり、最後は、句点(。)で終わっていなければなりません。
1項だけの条では、項番号は省略されますが、2項以上の条では、各項に項番号が記載されます。
項番号はアラビア数字で記載しピリオドは打たない
なお、項番号は、横書きの契約書の場合は、「1」「2」のように、アラビア数字単体で記載します。
条番号同様に、漢数字でも間違いはないのですが、一般的に、横書きの契約書はアラビア数字、縦書きの契約書は漢数字とすることが多いです(これは法律の表記でも同様です)。
また、一般的には、日本語の契約書では、「1.」「2.」のように、ピリオドは打ちません(打っていても間違いではありません)。
この他、契約書の文章の書き方やルールにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。