- 契約書の署名欄では、それぞれの契約当事者の署名者・記名者・サイナーの役職は合わせるべきなのでしょうか?
- 契約書の署名欄では、それぞれの契約当事者の署名者・記名者・サイナーの役職を合わせる必要はありません。
契約書の署名欄では、株式会社同士であれば、役職としては、双方の代表取締役が記載されていることをよく見かけます。
ただ、これは、あくまで代表取締役が会社を代表する(会社法第379条第4項)ことから、代表取締役が署名者・記名者・サイナーとなることが多いからです。
会社法第349条(株式会社の代表)
1 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
引用元:会社法 | e-Gov法令検索
つまり、たまたま会社の代表権がある代表取締役同士による署名・記名が多いだけであって、結果的に役職を合わせているだけです。
よって、契約書の署名欄では、それぞれの契約当事者の役職を合わせる必要はありません。
なお、契約締結の権限は、通常は、以下の者が有しているとされています。
契約締結の権限がある者の具体例
- 株式会社・有限会社の代表取締役
- 株式会社・有限会社の取締役
- 専務・常務・支店長・営業所長
- 課長・係長
- 個人事業者・フリーランスの本人=代表
- 特定の法律(旅行業法、金融商品取引法、商品先物取引法)による契約締結の権限がある社員(外務員)
このため、これらの役職の者であれば、役職が合っていなかったとしても、そのことをもって契約が成立しない、ということはありません。
ただし、ビジネスマナーとしては、契約書の署名欄に署名する当事者同士は、カウンターパートとして、対等の役職であることが望ましい場合もあります。
この他、契約書の署名欄の書き方につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
まとめ
- 契約書の署名欄では肩書を合わせる必要なない。
- 契約締結の権限がある者の役職が記載されていれば、役職が合っていなくてもよい。