こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約書を作成する目的・理由・メリットのうち、訴訟の抑止力について解説しています。

契約書を作成する理由として、よく「裁判の証拠になるから」という点があります。

裁判を勝ち抜くためのツール―契約書は証拠を確保するために作る

確かに、このような理由は間違いではないのですが、裁判に発展する契約書では、まだまだ不十分です。

本来の契約書は、相手方に裁判を起こさせないよう、抑止力とならなければなりません。

このページでは、こうした契約書が持つ訴訟の抑止力について、解説します。

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相手方の弁護士が読むことを意識する

本当にいい契約書は裁判では証拠にならない

契約書には、「裁判の証拠になる」という重要な機能がありますが、実は、本当にいい契約書は、裁判の証拠になりません。

「えッ!?」と思われるかもしれませんが、これは本当の話です。

というのも、しっかりと作り込まれたいい契約書が使われている契約は、そもそも裁判になることはありません。

つまり、証拠として機能する以前の話として、いい契約書があれば、裁判する必要がないのです。

訴訟の前に弁護士が契約書をチェックする

日本では、契約関係でトラブルになったからといって、いきなり裁判になることはありません。

通常は、訴訟の代理人である弁護士に相談をします。

弁護士に依頼せず訴訟を起こす場合、いわゆる本人訴訟の場合も、事前に相談くらいはするでしょう。

この際、弁護士は、必ず契約で使った契約書をチェックします。

相手方の弁護士に「勝てない」と思わせる契約書にする

当然、ここで重要となるのが、契約書の記載内容です。

いい契約書は、相手方の弁護士が契約書をチェックしたときに、「これは勝てないからやめておきましょう」と言わせるような契約書です。

そして、訴訟に至る前に、話し合いで落とし所を探って、水面下で解決できる契約書が、いい契約書です。

間違っても、「これはイケます。やりましょう!」と訴訟を誘発するような契約書であってはいけません。

これは、こちらから訴訟を起こすにしても、相手方から訴訟を起こされるにしても、同じことです。

ポイント

  • 本当にいい契約書は、そもそも裁判にならないため、裁判では証拠として使われない。
  • 契約関係でトラブルになった場合、訴訟の前に、弁護士が必ず契約書をチェックする
  • 契約書を作成する場合。相手方の弁護士に「勝てない」と思わせる契約書にする。
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「勝てない」と思わせる契約書は?

「勝てない」契約書=隙がない契約書を作る

それでは、どのような契約書であれば、相手方の弁護士に「勝てない」と思わせることができるのでしょうか?

これは、ひと言で言えば、「隙がない契約書」です。

より具体的には、次のすべての条件を満たしたものが隙がない契約書です。

契約書の3要素

  • 内容:内容が自社にとって有利である。
  • 表現:表現が契約実務の慣例・ルールに従っている。
  • 適法性:違法な内容が一切ない。

それぞれ、詳しく見てみましょう。

【条件1】内容が自社にとって有利である

第1の条件は、当然ながら、契約書の内容が自社にとって有利であることです。

逆にいえば、少しでも勝てる要素がある契約書であれば、相手方の弁護士に、そこを突かれる可能性があります。

こうした内容に隙がある契約書は、仮に訴訟にまで至らなかったとしても、話し合いの際に、譲歩を迫られるリスクになります。

このため、なるべく、契約内容については、隙のない有利なものとしなければなりません。

【条件2】表現が契約実務の慣例・ルールに従っている

第2の条件は、契約書に書かれている表現が、契約実務の慣例・ルールに従った適正なものである、ということです。

意外に思われるかもしれませんが、契約書では、表現は非常に重要です。

契約書の表現は、法律で決まってはいませんが、一般的な日本語と違った、独特の慣習やルールがあります。

契約書の文章の書き方は?一般的な日本語の書き方は通用しない

こうした慣習やルールに従った書き方をしていないと、相手方の弁護士に、「ひょっとしてこれは専門家が作った契約書ではないのでは?」と思わせてしまいます。

このため、契約書に契約条項を書く際は、この表現は、思った以上に重要となります。

契約書の表現の慣習やルールは、知らなければ対処のしようがありません。

このため、表現を修正するためだけでもいいので、作成した契約書は、専門家のリーガルチェックを受けるべきです。

【条件3】違法な表現・内容がない

第3の条件は、契約書の表現・内容が違法ではない、ということです。

これも、その契約に適用される法律を知らないと、対処のしようがない条件です。

一部の契約では、法律上、必ず明記しなければならない内容があります(例:下請法)。

また、場合によっては、文字の大きさや色まで指定されている場合もあります(例:特定商取引法)。

こうした法律に違反している場合、裁判では圧倒的に不利になります。

それどころか、訴訟を起こされる前に、不利な条件での話し合いに応じなければならなくなります。

ポイント

  • 相手方の弁護士に「勝てない」と思わせる契約書は、隙がない契約書。
  • 隙がない契約書は、内容が自社にとって有利である契約書。
  • 隙がない契約書は、表現が契約実務の慣例・ルールに従っている契約書。
  • 隙がない契約書は、違法な表現・内容がない契約書。
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契約書は必ず専門家のチェックを受ける

いい加減な契約書は訴訟を誘発する

このように、契約書というのは、単に用意すればいいわけではありません。

契約書は、契約当事者の権利義務を記載する、単なる媒体に過ぎません。

契約書に記載された内容は、良いものも悪いものも、すべて高い証拠能力を持った証拠になります。

つまり、いい加減な契約書は、いい加減な証拠となり、訴訟を抑止するどころか、訴訟を誘発するリスクすらあります。

契約書は専門家にしかわからない点が多い

こうした訴訟のリスクを抑止するためにも、ご自身で契約書を作成したり、雛形を使う場合は、必ず一度は専門家のリーガルチェックを受けてください。

すでに触れたとおり、契約書に関する表現や法律は、専門家でないと知らない部分が多いですし、こうした表現や法律は、知らなければ、気づきません。

また、契約書に関する情報はあまり体系化されていないため、一般の方々がアクセスするのは、限界があります。

このため、少なくとも、使う前には、一度は契約書についてリーガルチェックを受けるべきです。

ポイント

  • いい加減な契約書は、かえって訴訟を誘発するリスクがある。
  • 契約書は、体系化した情報がないため、専門家にしかわからないことが多い。
  • 自作の契約書や雛形の契約書は、少なくとも使う前に、専門家のリーガルチェックを受けるべき。