【意味・定義】賃貸借契約とは?
【意味・定義】賃貸借契約とは?
賃貸借契約とは、当事者の一方=借主が、相手方=貸主からある物を有償で借り受け、賃料を支払い、「使用及び収益」をした後に返還をする契約をいう。
民法第601条(賃貸借)
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
賃貸借契約の具体例は?
ビジネスでの賃貸借契約の典型例は4パターン
賃貸借契約は、物の貸し借りの契約ですので、比較的身近な契約です。
一般的なビジネスでの賃貸借契約は、具体的には、主に次の4パターンに分類されます。
ビジネス上の賃貸借契約の4つの典型例
- レンタル契約
- リース契約
- 土地賃貸借契約・建物賃貸借契約
- サブリース契約
【意味・定義】レンタル契約とは?
【意味・定義】レンタル契約とは?
「レンタル契約」とは、動産に関する賃貸借契約であって、リース契約以外のものをいう。
レンタル契約とは、動産(=不動産以外)の賃貸借契約のことです。
一般的には、短期間の契約がほとんどです。
対象となる動産は、自動車(レンタカー)、重機・建設危機、CD・DVD・ブルーレイディスク、洋服などが該当します。
通常、レンタル契約には、リース契約(ファイナンス・リース契約)は含まれません。
【意味・定義】リース契約とは?
【意味・定義】リース契約とは?
「リース契約」とは、リース事業者(レッサー)が利用者(レッシー)が希望する(新品の)物品を購入したうえで、利用者に対し、長期間貸し付ける契約をいう。
リース契約は、利用者が直接物品を購入するのではなく、リース事業者が物品を購入のうえ、これを利用者に長期間貸し付ける契約です。
リースの対象となる物品は、主に次のようなものがあります。
リースの対象となる物品
- パソコン・プリンター・コピー機等の情報機器
- 家具(机・ロッカー等)・什器類(厨房設備・陳列棚)
- 工作機械等の工場設備
- 重機等の建設機械
- 自動車・船舶・航空機などの輸送機械
実態としては、リースにより物品が貸し出されるのと利用者が物品を所有するのとでは、ほとんど違いがありませんが、会計処理など、様々な部分で違いがあります。
一般的なリース契約は、ファイナンス・リース契約ともいい、その名のとおり、実質的には、リース事業者が利用者に対して金銭を貸し付ける契約となっています。
なお、一般的なレンタル契約のことは、ファイナンス・リース契約と区別するため、「オペレーティング・リース契約」ともいいます。
【意味・定義】土地賃貸借契約・建物賃貸借契約とは?
【意味・定義】土地賃貸借契約・建物賃貸借契約とは?
「土地賃貸借契約」「建物賃貸借契約」とは、土地・建物の賃貸借契約をいう。
土地・建物賃貸借契約は、文字通り、土地・建物の賃貸借契約です。
土地・建物賃貸借契約では、家庭用・事業用を問わず、あらゆる土地・建物が対象となります。
なお、土地・建物賃貸借契約には、借地借家法が適用されます。
【意味・定義】サブリース契約とは?
【意味・定義】サブリースとは?
「サブリース契約」とは、転貸借契約(いわゆる又貸し)のことであって、主に不動産の転貸借契約のうち、土地または建物の所有者とサブリース事業者との契約をいう。
サブリース契約とは、そのまま直訳すると、転貸借契約(又貸し)を意味します。
実際の契約実務では、サブリース契約は、土地・建物の所有者とサブリース事業者との転貸借契約のことを意味します。
サブリース事業は、単にこのサブリース契約だけではなく、(特に遊休地での)転貸借の目的となる建物建設工事請負契約や、建物の管理委託契約などを含む、複合的な契約関係が特徴の事業です。
このため、これら全体の契約関係を把握するには、極めて高度な専門知識が必要となります。
ポイント
- ビジネスでの賃貸借契約は、主にレンタル契約・リース契約・土地賃貸借契約または建物賃貸借契約・サブリース契約の4パターン。
- 「レンタル契約」とは、動産に関する賃貸借契約であって、リース契約以外のもののこと。
- 「リース契約」とは、リース事業者(レッサー)が利用者(レッシー)が希望する(新品の)物品を購入したうえで、利用者に対し、長期間貸し付ける契約のこと。
- 「土地賃貸借契約」「建物賃貸借契約」とは、土地・建物の賃貸借契約のこと。
- 「サブリース契約」とは、転貸借契約(いわゆる又貸し)のことであって、主に不動産の転貸借契約のうち、土地または建物の所有者とサブリース事業者との契約のこと。
賃貸借契約では契約書が重要
民法の賃貸借の規定はビジネスの実態に合わない
民法の賃貸借の規定は、第601条から第622条まであります。
これの規定は、あくまで最低限の規定でしかありませんので、ビジネスの賃貸借契約の内容としては、不十分と言わざるを得ません。
このため、企業間取引にせよ、事業者と消費者との契約にせよ、賃貸借契約では、必ず契約書が作成されます。
契約書を作成する理由・目的
民法上の賃貸借の規定は最低限・不十分の内容であることから、特に複雑になりがちな事業上の賃貸借契約では、契約条項を充実させた十分な内容の契約書が必要となるから。
つまり、賃貸借契約では、民法の規定よりも、契約書の契約条項の内容が重要です。
土地・建物の賃貸借契約では借地借家法にも注意
すでに触れたとおり、土地・建物の賃貸借契約には、借地借家法が適用されます。
この借地借家法は、民法の特別法であり、多くの強行規定が規定されています。
借地借家法は、貸主の側を強力に規制し、借主の側を強力に保護していますので、貸主の立場の場合は、特に注意が必要です。
なお、一般法と特別法、任意規定と強行規定につきましては、詳しくは、それぞれ次のページをご覧ください。
リース契約は民法ではなく契約書によるルールが重要
リース契約は、戦後にアメリカで生まれた、非常に新しいビジネスモデルです。
現在の法制度では、リース契約を直接規制する法律はありません。
また、民法の条項としても、平成29年成立した改正民法において明文化が検討されましたが、最終的には見送られました。
このように、リース契約では、法律による規制・規定がないため、契約書の内容が非常に重要となります。
契約書を作成する理由・目的
リース契約は、非常に複雑な内容の契約であるにもかかわらず民法の条項がないため、契約内容を反映した契約書が必要となるから。
サブリース契約は高度な専門知識が必要
サブリースでは、(遊休地への)建物の建設工事請負契約、建物の転貸借契約としてのサブリース契約、さらには建物の管理委託契約という、主に3種類の契約が関係してきます。
これらの契約は、それぞれひとつをとっても、高度な専門知識が必要となる契約です。
そのうえ、サブリースは、不動産投資としての側面もあるため、こちらの点でも高度な専門知識が必要となります。
このため、特に投資家としてサブリース業者と契約を締結する際は、必ず利害関係がない第三者の専門家に相談するべきです。
ポイント
- 民法の賃貸借の規定は、内容が非常に少なく、ビジネスの実態には合わない。
- 土地・建物の賃貸借契約では借地借家法が規定されるため、特に規制される立場の貸主の場合は要注意。
- リース契約は、比較的新しい契約であるため、民法のルールよりも契約のルールが重要となる。
- サブリースは、契約実務としても、不動産投資としても、高度な専門知識が必要となる。