契約不適合責任の期間が6ヶ月となる契約はどのような契約ですか?
契約不適合責任の期間が6ヶ月となる契約は、商法第526条が適用される、商事売買契約が該当します。

民法では、売買契約(民法第566条)・請負契約(民法第637条)ともに、契約不適合責任の期間・年数は、買主・注文者が契約不適合を「知った時から1年」に制限されています。

民法第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

民法第637条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

1 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

ただし、商人同士=企業間の売買契約(商事売買契約。売買型の取引基本契約を含む)では、上記の民法第566条ではなく、商法が適用されます。

【意味・定義】商法とは?

商法とは、民法の特別法であって、商人(≒事業者)に対し適用される商事に関する私法をいう。

具体的には、商事売買契約では、商法第526条が適用されます。

商法第526条(買主による目的物の検査及び通知)

1 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。

2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その不適合を理由とする履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。売買の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを直ちに発見することができない場合において、買主が6箇月以内にその不適合を発見したときも、同様とする。

3 前項の規定は、売買の目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないことにつき売主が悪意であった場合には、適用しない。

このように、商事売買契約では、民法の「知った時から1年」ではなく、6ヶ月以内となっています。

この「6ヶ月以内」の起算点については、明確な規定はないものの、第1項の「目的物を受領したときは」とあることから、一般的には、「目的物を受領した」時点と考えられています。

なお、この商法第526条は、民法の規定と同様に、任意規定とされています。

【意味・定義】任意規定とは?

任意規定とは、ある法律の規定に関して、契約当事者による合意がある場合に、その合意のほうが優先される法律の規定をいう。

任意規定・任意法規とは?意味・具体例についてわかりやすく解説

このため、契約不適合責任の期間は、当事者の合意=特約があれば、別の期間に変更することもできますし、民法同様、「知った時から1年」とすることもできます。

よって、商事売買契約における契約不適合責任の期間は、契約交渉によって変更することができます。

この他、契約不適合責任の期間につきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

【改正民法対応】契約不適合責任の期間と特約による制限方法とは?

まとめ
  • 契約不適合責任の期間が6ヶ月となる契約は、商法第526条が適用される商事売買契約のこと。
  • 商法第526条は任意規定であることから、商事売買契約であっても、契約不適合責任の期間を変更できる。