こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、国や地方公共団体(以下、「役所」といいます)が作成した契約書の雛形の注意点・リスク・デメリットについて解説しています。

インターネットで契約書のタイトルを検索すると、検索結果に役所のホームページのファイルが表示されることがあります。

こうしたファイルの多くは、契約書の雛形です。

この雛形ですが、役所が作成したものですので、安心だと思われがちです。

ところが、こうした役所の日なアタは、実は様々な目的・意図で作られているものですので、そのまま使ってはいけないものです。

このページでは、こうした役所が作成・用意した契約書の雛形の注意点・リスク・デメリットについて、わかりやすく解説しています。

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役所が契約書の雛形を公開した目的を把握する

役所は様々な目的で契約書の雛形を作成する

役所がホームページにアップしている契約書雛形は、いろんな目的で作成・公開されています。

主な目的は、次の3つです。

役所が契約書の雛形を作成・公開する目的

  1. 役所自身が契約当事者となるため
  2. 役所が事業者に法律の規制を遵守させるため
  3. モデル契約として事業者に利用・活用してもらうため

以下、それぞれ概要を説明します。

【目的1】役所自身が契約当事者となるため

役所では、競争入札や随意契約などで、民間企業との売買契約(いわゆる調達)や、請負契約(いわゆる公共事業など)を締結しています。

この際に使用する契約書は、基本的には役所のほうが雛形を作成し、ホームページで公開しています。

つまり、こうした役所が公開している契約書の雛形は、調達や公共工事で役所と民間企業が使うためのものです。

役所のホームページで公開しているからといって、まったく関係ない第三者が使うために公開しているわけではないのです。

【目的2】役所が事業者に法律の規制を遵守させるため

一部の法律では、事業者を規制するために、契約条項に一定の義務を課す場合があります。

事業者にこうした義務を守らせるために、役所では、契約書や約款などを作成する場合があります。

こうした契約書や約款は、モデルとしての契約書・約款と、法律にもとづく(事実上を含む)使用義務としての契約書・約款があります。

具体例としては、次のものがあります。

役所が用意する規制遵守のための契約書・約款の例

これらの契約書・約款は、そもそも事業者の側に規制を守らせるためのものですから、当然、事業者にとって、全体的に不利にできています。

使用義務が課されているものであれば、なおさらのことです。

【目的3】モデル契約書として事業者に利活用してもらうため

役所が公開している雛形としては、数は非常に少ないですが、純粋に事業者に利用・活用してもらうためのものもあります。

具体的には、次のものがあります。

役所が用意する利用・活用のためのモデル契約書の例

これらの雛形は、純粋に民間企業(や大学)が利用・活用することが前提であるため、非常に高品質な仕上がりになっています。

ポイント

  • 役所がわざわざ契約書の雛形を作成して公開するのは、実は複数の別々の目的がある。
  • 【目的1】調達や公共事業等の案件において、役所自身が契約当事者となり、相手方となる企業の利便性のために作成・公開をしている。
  • 【目的2】業界を規制する法律がある場合において、役所が、その業界の事業者に規制を遵守させるために、作成・公開をし、場合によっては使用を義務づけている。
  • 【目的3】純粋に事業者の利便性のためのモデル契約書とし、て事業者に利用・活用してもらうため。
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役所が作成した雛形はそのまま使っていい?

役所が作成・公開した契約書の雛形は目的に合わせて使うべき

以上のように、役所が作成・公開するのは、目的があってのことです。

ですから、それぞれの目的に合った使い方をしないと、契約書として機能しない可能性があります。

それどころか、ヘタに使ってしまうと、かえってリスクやデメリットに繋がりかねません。

そこで、目的別の役所の雛形について、注意点・リスク・デメリットについて、解説します。

【注意点・リスク・デメリット1】役所自身が契約当事者となる雛形の場合

役所自身が契約当事者となる雛形は、役所とその相手方が使うことを想定しています。

このため、その役所の相手方にる調達や公共事業でない限り、使うべきものではありません。

ポイント

役所自身が契約当事者となる雛形は、当然、その役所の相手方となる案件でしか使えない。

もちろん、役所が税金を使って整備した契約書ですので、品質は最低限の基準をクリアしているものが多いです。

しかし、いくら高品質な雛形とはいえ、そもそも使うことを想定していない事業者が使うべきものではありません。

こうした雛形は、せいぜい、参考程度にとどめておくべきです。

【注意点・リスク・デメリット2】規制遵守のための雛形

事業者に規制を遵守させるために役所が作成した雛形の契約書・約款については、(事実上を含む)義務となっているものは、使わざるを得ません。

ただ、義務とまでなっていないモデル契約書・約款は、そのまま使う場合は、注意が必要です。

というのも、こうした規制遵守を目的とした雛形の契約書・約款は、当然ながら、事業者にとっては、厳しい内容が多いからです。

規制遵守の雛形の注意点・リスク・デメリット

役所が事業者に規制を遵守させるために作成・公開している契約書の雛形は、当然、事業者にとっては、不利・厳しい内容となっている。

このため、こうした雛形は、そのまま使うのではなく、少しでも自社にとって有利なように修正・調整をするべきです。

ただし、当然ながら、法律の規制の範囲内で修正・調整をしなければなりません。

となると、こうした規制の根拠となっている法律に抵触しないように、雛形を修正・調整できるスキルがなければなりません。

【注意点・リスク・デメリット3】利用・活用を想定したモデル契約書

事業者が利用・活用するために、役所が作成した雛形は、高品質なものが多いため、積極的に利用・活用するべきです。

しかし、役所が作成・用意したものに限らず、高品質な契約書は、最適化しすぎていて、汎用性に欠ける、という欠点があります。

契約書に限った話ではありませんが、個別に最適化する必要があるものは、品質と汎用性は両立しません。

このため、こうしたモデル契約書を利用・活用する場合も、そのまま使うのではなく、自社の案件に最適化するため、修正や調整が必須となります。

利用・活用のためのモデル契約書の注意手・リスク・デメリット

事業者による利用・活用を想定したモデル契約書は、高品質なために、最適化しすぎていて、汎用性に欠ける。このため、場合によっては大幅な修正・調整が必要。

ただ、すでに触れたシステム開発契約書や共同研究開発契約書の雛形を実際にご覧になるとわかりますが、あの雛形は、非常に作り込まれたものです。

あれだけ作り込まれた雛形を、論理的な整合性を維持しながら修正・調整するのは、かなり高度な専門知識と経験が必要です。

ポイント

  • 役所自身が契約当事者となる契約書の雛形は、そもそもその案件で役所の相手方になる企業しか使ってはいけない。
  • 役所が事業者に規制を遵守させるために作成・公開している契約書の雛形は、当然、事業者にとっては、不利・厳しい内容となっている。
  • 事業者による利用・活用を想定したモデル契約書は、高品質なために、最適化しすぎていて、汎用性に欠ける。このため、場合によっては大幅な修正・調整が必要。
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役所の雛形の修正・調整に必要なスキルは?

結局、役所が作成した契約書の雛形といえども、そのまま使っていいものではありません。

そして、こうした雛形を修正・調整する際には、以下のような修正・調整の専門知識・経験が必要です。

規制遵守のための雛形の修正・調整に必要なスキル

規制遵守のための雛形の場合

事業者に規制を遵守させるために役所が作成した雛形の修正・調整には、契約書の作成の専門知識・経験に加えて、規制の根拠になっている法律に違反しないよう修正・調整ができる規制に関する知識が必要。

規制遵守のために役所が作成した雛形は、その規制自体を守る必要がある一方で、なるべく自社にとって有利な内容に修正・調整しなければなりません。

こうした、非常に限られた条件の下で契約書を修正・調整するためには、当然、その法規制そのものと、契約実務に関する専門知識・経験が必要となります。

利用・活用のための雛形の場合に必要なスキル

利用・活用のための雛形の場合

事業者が利用・活用するために役所が作成した雛形の調整には、その雛形自身が、極めて高度に作り込まれたものであるため、これを修正・調整する者にも、それだけ高度な専門知識・経験が必要。

事業者が利用・活用するために役所が作成した雛形は、ものによりますが、非常に作り込まれている、高品質なものが多いです。

こうした高品質な雛形に手を加える場合、それ相応の高い専門知識・経験がないと、修正・調整自体ができません。

高品質な契約書をヘタに修正・調整すると、その修正・調整があった箇所だけが、「浮いている」ようになり、提示された相手方の不審を招きます。

役所の雛形の調整・修正は専門家に任せる

以上のように、役所が作成した雛形を使う場合、自社にとって最適なものにしつつ、品質を維持するためには、専門家に修正・調整してもらうべきです。

役所の雛形を修正・調整する場合は、すでにベースになるものがあるため、フルオーダーで契約書を作成する場合に比べて、料金も安くなる傾向がありあす。

また、どうしても自社で修正・調整をせざるを得ない場合は、最低限、専門家によるリーガルチェックを受けるべきです。

こうしたリーガルチェックを受けることで、明らかにおかしな表現や、違和感がある修正や調整を確認・修正してもらうことができます。

ポイント

  • 事業者に規制を遵守させるために役所が作成した雛形の修正・調整には、契約書の作成の専門知識・経験に加えて、規制の根拠になっている法律に違反しないよう修正・調整ができる規制に関する知識が必要となる。
  • 事業者が利用・活用するために役所が作成した雛形の調整には、その雛形自身が、極めて高度に作り込まれたものであるため、これを修正・調整する者にも、それだけ高度な専門知識・経験が必要となる。
  • 役所が作成した雛形の調整・修正は、専門家に任せるべき。最低限、調整・修正したものは、リーガルチェックを受ける。

【補足】契約書の雛形はそのまま使うべきではない

なお、役所が作成したものに限らず、そもそも、契約書の雛形は、そのまま使うべきではありません。

この点につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

契約書の雛形をそのまま使ってはいけない理由は?リスクやデメリットは?

また、契約書の雛形の修正につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

雛形の契約書の修正・調整のしかたは?