- 締切日とはいつまででしょうか?当日は含むのでしょうか?
- 締切日とは期限の最終日のことであり、当日を含み、時刻としてはその日の午後12時00分が期限となります。
このページでは、契約当事者向けに、いわゆる「締切日」について解説しています。
「締切日」は、特に出版業界やウェブライティング業界など、文章に関連する業界における成果物の提出期限のことを意味します。
これは、契約実務では、納期=納入期限のことです。
よって、契約書には、「締切日」とは記載せず、納期や納入期限とすることが多いです。
なお、「締切日」は、一般的には当日の全日(午後12:00まで)を含みます。
このページでは、このような「締切日」に関する契約実務における扱いや書き方について、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。
このページでわかること
- 契約における「締切日」の意味。
- 「締切日」に当日が含むかどうか。
- 契約書における「締切日」の正確な書き方。
- 休日が「締切日」だった場合の扱い。
「締切日」とは?「その日まで」の提出期限=納入期限
一般に、締切日とは、なんらかの成果物の提出期限の日のことです。
【意味・定義】締切日とは?
締切日とは、一般に、なんからの成果物の提出期限である日付をいう。
「締切日」という表現自体は、ビジネス用語であって、法令用語ではありません。
法令用語としては、締切日は、期限の一種であり、納入期限や納品期限、つまり、いわゆる「納期」のことです。
締切日は、主に出版業界やウェブライティング業界など、主に文章の成果物(著作物)を扱い業界で広く使われています。
この他、文章以外の成果物(著作物)、特にグラフィックデザイン等を扱う業界でも使われることがあります。
締切日には当日を含む?
民法上は当日の午後12時00分までが締切日
民法上は、締切日には当日を含みます。
また、同じく民法上は、締切りの時刻としては、締切日当日の午後12時00分までが締切日の期限となります。
すでに述べたとおり、締切日は、民法上は期限の一種です。
期限は、最終日の当日を含み、当日の12時00分までとされています。
この他、期限に当日が含むかどうかにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
ビジネス用語としては当日を含まない場合もある
なお、ビジネス用語としての締切日については、当日を含むかどうかは、必ずしも明らかではありません。
また、当日を含むとしても、当日の12時00分までが締切りであるかどうかも明らかではありません。
ビジネス用語としての締切日と締切りの時刻としては、次のものが考えられます。
ビジネス用語としての締切日と締切りの時刻
- 締切日の前日の午後12時00分
- 締切日の当日の正午
- 締切日の当日の営業時間(受領側)の終業時刻
- 締切日の当日の営業時間(提出側)の終業時刻
- 締切日の当日の午後12時00分(民法上の考え方)
- 締切日の翌日の営業時間(受領側)の始業時刻
- 締切日の翌日の営業時間(提出側)の始業時刻
このように、ビジネス用語としての締切日と締切りの時刻は、場合によっては、締切日の翌日まで考えられます。
こうした幅の広いビジネス用語は、しばしば誤解の元となります。
このため、打ち合わせや契約交渉の際に「締切日」が使われた場合、実際の時刻まで確認をするべきです。
契約書における締切日(納期)の書き方
契約書では締切日ではなく納入期限・納品期限
すでに述べたとおり、契約書では、「締切日」という表現は使わず、納入期限・納品期限のいずれかを使います。
具体的には、次のような表現となります。
【契約条項の書き方・記載例・具体例】納入期限に関する条項
第○条(納入期限)
受託者は、委託者に対し、2023年9月1日までに本件成果物を納入するものとする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
上記の記載例では、2023年9月1日の午後12時00分、つまり日付が変わる直前までが納入期限となります。
締切日(納入期限)の日中に提出(納入)を求める場合は時刻まで規定する
なお、成果物の受領側としては、日付が変わる直前での提出(納入)では困る場合もあります。
この場合は、締切日と併せて、具体的な時刻まで指定することで、日中に提出(納入)させるよう義務づけることができます。
具体的には、次のとおり規定します
【契約条項の書き方・記載例・具体例】納入期限に関する条項
第○条(納入期限)
受託者は、委託者に対し、2023年9月1日の午後2時00分までに本件成果物を納入するものとする。
(※便宜上、表現は簡略化しています)
締切日(納期)が休日の場合は順延される?
休日の締切日(期限)を順延できるかどうかは業界の慣習次第
締切日が休日だった場合、成果物を提出しなければならないかどうかは、業界の慣習によって異なります。
民法第142条には、以下の規定があります。
民法第142条(期間の満了)
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第百78号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
この規定は、あくまで期間の満了に関する規定ですが、判例(最高裁判例平成11年3月11日)により、債務の履行期限(提出期限=締切日)にも類推適用されます。
つまり、休日に「取引をしない慣習がある場合」は、締切日の直後の日に成果物を提出したとしても問題ありません。
逆に言えば、休日であっても取引をする慣習がある場合は、休日が締切日であっても、成果物を提出しなければなりません。
補足:支払期限は順延できる
なお、この点について、すでに提示した判例にもあるように、銀行振込による金銭の支払いについては、一般的には、銀行が休業日であった場合は、直後の営業日に支払ったとしても、契約違反にはなりません。
このため、支払期限の最終日が休日であった場合は、銀行の翌営業日まで支払期限を順延できます。
ただし、下請法が適用される場合、この順延のしかたは、最長で2日(支払期限を納入等から60日後にしている場合)となり、親事業者と下請事業者との書面での合意が必要となります。
この他、支払期限・支払期限が休日だった場合の順延につきましては、詳しくは、以下のページ(弊所運営外部サイトのページ)をご覧ください。
締切日と当日の関係に関するよくある質問
- 締切日には当日は含むのでしょうか?
- 締切日とは期限の最終日のことであり、当日を含み、時刻としてはその日の午後12時00分が期限となります。
- 締切日が休日の場合は、順延されるのでしょうか?
- 締切日が休日の場合、民法第142条により、業界の慣習次第では、期限を順延できる場合があります。休日であっても取引をする慣習がある場合は、休日が締切日であっても、成果物を提出しなければなりません。