このページでは、契約書の署名者(サイナー)向けに、印鑑のかわりにサインする「書き判」の書き方について解説しています。
契約書に署名・記名する場合、印鑑が無いときは、印鑑の代わりに印影を書くことがあります。
こうした印鑑の代わりのサインを「書き判」といいます。
このページでは、この書き判の書き方や法的な効果について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。
このページでわかること
- 印鑑の代わりにサインする「書き判」の書き方
- 「書き判」の法的効果
印鑑の代わりにサインする「書き判」の書き方は?
印鑑の代わりにサインされた印影=書き判
契約書に印鑑を押す代わりに手書きで印影を記載することを「書き判」といいます。
【意味・定義】書き判とは?
書き判(読み方:かきばん)とは、印鑑の押印の代わりに、手書き・サインで書かれた印影をいう。
この書き判は、印鑑が無い状態で契約書にサインする際に、印鑑を押印する代わりとして書かれるものです。
書き判=印鑑の代わりにサインする書き方は?
書き判の書き方には、特に法律で決まったルールはありません。
書き判には、法的な効果はほとんどありません(後述)ので、その書き方も法的には決まっていません。
一般的な書き方としては、縦書きにした姓(名字)を丸で囲んで書きます(下図参照)。
当然ながら、消えないように、署名・サインと同じく、消えないボールペンで書きます。
なお、書き判は、色が朱肉と同じ赤・朱色である必要はありません。
書き判の法的効果は?
書き判=認印と同様に法的効果はほとんどない
書き判は、誰にでも書けますので、いわゆる三文判等の認印と同程度の法的効果とされています。
【意味・定義】認印とは?
認印とは、実印として登録されたもの以外の印鑑をいう。三文判ともいう。
つまり、書き判には、実印とは異なり、署名者本人を特定する証拠能力はほとんどありません。
ただし、本人による筆跡は残るため、市販の三文判に比べると、証拠能力は高いといえます。
また、花押のように、独創性の高い独特のデザインであれば、署名者本人を特定する証拠能力が極めて高いと判断される可能性はあります。
印鑑がない場合は自筆の署名+拇印で対応する
このように、書き判には、法的効果がほとんど期待できません。
このため、印鑑を忘れた場合など、(特に相手方に)印鑑が無い状態では、印鑑の代わりに書き版のサインをすることは、法的にはリスクとなる可能性があります。
このため、通常の契約実務では、印鑑が無い状態では、自筆による署名(サイン)に加えて、拇印=指紋での押印をしてもらいます。
こうすることで、本人を特定する証拠としては極めて能力が高い筆跡と指紋を契約書に残すことができます。
ただし、法的な効果としては、自筆による署名(サイン)だけで十分です。
印鑑の代わりにサインする書き判の書き方は?に関するよくある質問
- 印鑑の代わりにサインする書き方はどのようなものでしょうか。
- 印鑑の代わりにサインする書き判の書き方は、縦書きの姓(名字)を丸で囲むように書きます。
- 書き判にはどのような法的な効果がありますか?
- 書き判は、誰でも書けるものであるため、契約書の署名者本人を特定する法的な効果は、ほとんどありません。
- ハンコがない場合、代わりに何を使う?
- 契約書を取り交わす際にハンコがない場合は、署名(サイン)だけで問題ありません。
- 契約書に調印する際にハンコがない場合、捺印はサインによる押印(書き判)でも法的に有効となり、契約は成立するのでしょうか?
- 契約書への調印の際、氏名欄を直筆のサインで書いた場合(署名の場合)、そもそも捺印や押印が無くても契約自体は有効に成立します。このため、ハンコがない場合であっても、捺印や押印は必要ないですし、サインで印影を書いた「書き判」でも問題ありません。