請負契約と委任契約の違いは何でしょうか?
請負契約と委任契約は、明確に異なる別々の契約です。
請負契約は、「仕事の完成」を目的とした契約であるのに対し、委任契約・準委任契約は、何らかの行為の実施そのものを目的とした契約です。
このような性質の違いにより、請負契約は、仕事の結果に対して責任が発生するのに対し、委任契約・準委任契約は、行為そのもの=仕事の過程に責任が発生しま。

こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、弊事務所によく寄せられるご質問である、請負契約と委任契約・準委任契約の違いについて解説しています。

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請負契約と委任契約・準委任契約の違い一覧表

まずは、請負契約と(準)委任契約の違いについて、わかりやすく一覧表にしましたので、ご覧ください。

請負契約 (準)委任契約
業務内容・報酬請求の根拠 仕事の完成 法律行為・法律行為以外の事務などの一定の作業・行為の実施
受託者の業務の責任 仕事の結果に対する責任
(完成義務・瑕疵担保責任)
仕事の過程に対する責任
(善管注意義務)
報告義務 なし あり
業務の実施による成果物 原則として発生する(発生しない場合もある) 原則として発生しない(発生する場合もある)
業務の実施に要する費用負担 受託者の負担 委託者の負担
受託者による再委託・下請負 できる できない
再委託先の責任 受託者が負う 原則として受託者が負う
例外として委託者の指名する再委託先の責任は委託者が負う
委託者の契約解除権 仕事が完成するまでは、いつでも損害を賠償して契約解除ができる いつでも契約解除ができる。ただし、受託者の不利な時期に契約解除をしたときは損害賠償責任が発生する
受託者の契約解除権 委託者が破産手続開始の決定を受けたときは、契約解除ができる。 いつでも契約解除ができる。ただし、委託者の不利な時期に契約解除をしたときは損害賠償責任が発生する
収入印紙 必要(1号文書、2号文書、7号文書に該当する可能性あり) 原則として不要(ただし、1号文書、7号文書に該当する可能性あり)
下請法違反のリスク 高い 高い
労働者派遣法違反=偽装請負のリスク 低い(ただし常駐型は高い) 高い(常駐型は特に高い)
労働法違反のリスク 低い 高い

これらの項目については、弊事務所が運営する姉妹サイトである「業務委託契約書の達人」の【保存版】請負契約と(準)委任契約の13の違いで詳しく解説しています。

請負契約は結果に責任が求められる契約

【意味・定義】請負契約とは?

請負契約とは、「仕事の完成」を目的とした契約のことです(民法第632条)。

請負契約の最大の特徴は、「仕事の完成」という結果に対する責任を負う、という点です。

ですから、受注者は結果責任を問われます。

請負契約の定義

請負契約とは、請負人(受託者)が仕事の完成を約束し、注文者(委託者)が、その仕事の対価として報酬を支払うことを約束する契約。

請負人が果たすべき瑕疵担保責任とは―仕事の結果について発生する責任

また、完成した仕事については、当然ながら、欠陥=瑕疵があってはなりません。

仕事に欠陥があった場合は、受注者は、その欠陥=瑕疵を修補したり、損害の賠償をしなければなりません。

このような、請負契約における仕事の結果に対する責任を、「仕事の完成義務」や「瑕疵担保責任」といいます(民法634条)。

請負契約における瑕疵担保責任の定義

仕事の目的物に瑕疵(ミス・欠陥)があった場合において、委託者(注文者)から請求された、瑕疵(ミス・欠陥)の修補・損害賠償・契約解除の請求に応じる、受託者(請負人)の責任(民法第634条民法第635条)。

なお、瑕疵担保責任につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

瑕疵担保責任とは?契約条項の意味・書き方・瑕疵の定義・瑕疵担保期間は?

請負契約の具体例は?

請負契約は、例えば、建物建設工事請負契約が該当します。

建設工事請負契約は、「建物の完成」という仕事を完成させる契約です。

結果的に欠陥がない建物が完成していれば、特に工事の過程について、建設業者=請負人は、なんら責任を問われません。

逆に、どんなに仕事を頑張ったとしても、たとえ過失がなかったとしても、結果的に建物に欠陥があった場合は、建設業者=請負人は、その欠陥について、責任を負うことになります。

ポイント

  • 請負契約は、仕事の完成を目的とした契約。
  • 請負契約において、請負人は、仕事の完成義務・瑕疵担保責任=結果に対する責任を負う。
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(準)委任契約は過程に責任を求められる契約

【意味・定義】委任契約・準委任契約とは?

委任契約・準委任契約とは、「一定の行為」の遂行を目的とした契約のことです(民法第643条、民法第656条

委任契約の定義

委任契約とは、委任者が、受任者に対し、法律行為をすることを委託し、受任者がこれ受託する契約。

準委任契約の定義

準委任契約とは、委任者が、受任者に対し、法律行為でない事務をすることを委託し、受任者がこれ受託する契約。

具体的には、「善良な管理者の注意義務」(以下、「善管注意義務」とします。)を負います(民法第644条)。

受任者が果たすべき善管注意義務とは―仕事の過程について発生する責任

(準)委任契約の最大の特徴は、「法律行為」(委任)や「法律行為でない事務」(準委任)のような、一定の行為について責任を負う、という点です。

ですから、行為そのものである仕事の過程について責任が問われます。

善管注意義務とは、行為者の階層、地位、職業に応じて要求される、社会通念上、客観的・一般的に要求される注意を払う義務です。

善管注意義務の定義

善管注意義務とは、行為者の階層、地位、職業に応じて要求される、社会通念上、客観的・一般的に要求される注意を払う義務をいう。

受任者がこの善管注意義務を果たさなかった場合は、債務不履行、いわゆる契約違反となります。

なお、善管注意義務につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

善管注意義務(善良な管理者の注意義務)とは?契約条項の意味・書き方・具体例は?

(準)委任契約の具体例は?

(準)委任契約は、例えば、医師による医療行為の契約が該当します。

医療行為の契約は、医療行為そのものの提供を目的とした契約であり、結果を保証する契約ではありません。

医師が医療行為を実施する際に求められるのは、善管注意義務を果たすことであり、病気や怪我の完治を保証することではありません。

医師が善管注意義務を果たしていれば、結果として患者が亡くなった場合であっても、責任を問われることはありませんし、診療報酬を請求することができます。

ポイント

  • 委任契約・準委任契約は、一定の行為の実施を目的とした契約。
  • 委任契約・準委任契約では、受任者は、善管注意義務=仕事の過程に対する責任を負う。

請負契約と委任契約の大きな違いは責任の性質

請負契約=結果の責任・(準)委任契約=過程の責任

請負契約と委任契約の違いの最大のポイントは、どのような責任を問われるか、ということです。

すでに触れたとおり、請負契約は、仕事という結果について責任を問われます。

このため、仕事という結果に欠陥があれば、その責任を問われることになり、注文者から、欠陥の修繕や損害の賠償を求められます。

これに対して、(準)委任契約は、行為そのものという、仕事の過程について責任を問われます。

このため、契約の義務として行為をおこなうにあたって、善管注意義務を果たしているかどうかという責任が問われます。

つまり、言い換えると、善管注意義務さえ果たしていれば、その結果として、委任者の意に沿わないことになったとしても、責任は問われない、ということです。

責任の重さは契約内容次第

このように、請負契約は結果について責任が問われ、委任契約は過程について責任が問われます。

では、請負契約と(準)委任契約では、どちらが責任が重いのかといえば、契約内容次第であり、一概にどちらの責任が重い・軽いとは言えません。

この点について、請負契約と(準)委任契約のどちらかを選択するべきかは、責任の重さ・軽さももひとつの判断基準とはなるでしょう。

ただ、責任を軽くしたいのであれば、請負契約・(準)委任契約の契約形態の選択で対処するのではなく、素直に免責条項を規定するべきです。

ポイント

  • 請負契約の責任は、結果の責任。(準)委任契約の責任は、過程の責任。
  • 請負契約と(準)委任契約の責任の性質は別物のため、比較できず、一概にどちらの責任が軽い・重いとはいえない。
  • 契約の責任の程度は、免責条項で規定するべき。

契約書には契約形態を明記する

このように請負契約と(準)委任契約では、責任の性質がまったく別々です。

そこで、実際にトラブルになるのが、契約内容が請負契約なのか(準)委任契約なのかがハッキリしない場合です。

こうした契約では、損害が発生した際に、その損害をどちらが負担するのかを巡って、契約当事者の主張が対立します。

請負契約・(準)委任契約で揉める具体例

例えば、システム開発の契約では、開発が失敗した際に、契約形態が請負契約か準委任契約かを巡って、トラブルとなる。

  • ユーザー(発注者)の解釈:この契約は請負契約である。よって、仕事が完成していないのだから、報酬は払えない。
  • ベンダー(受注者)の解釈:この契約は準委任契約である。よって、仕事が完成していなくても、報酬を請求できる。

このため、請負契約・(準)委任契約のどちらとも取れる契約では、契約書に、その契約が請負契約・(準)委任契約のどちらなのかを明記しておくべきです。

ポイント

請負契約なのか、(準)委任契約なのかの契約形態を明記しておかないと、トラブルになった際に、双方が都合のいい主張をすることになる。