契約書における協議事項・協議条項とは何ですか?
協議事項とは、契約書において協議の対象となっている事項のことです。また、協議条項とは、協議事項について規定した契約条項のことです。

このページでは、契約の当事者向けに、契約における協議事項・協議条項について解説しています。

協議事項は、契約内容において決定されていない事項のうち、協議のうえ決定するものとして規定される事項のことをいいます。

また、協議条項は、このような協議事項が規定された契約条項のことをいいます。

一般的な契約書には、協議事項や協議条項が非常に多く規定されることがあります。

しかしながら、せっかく契約書を作成しても、協議事項・協議条項が多い場合、契約内容が確定せず、かえってリスクの多い契約書となってしまいます。

このページでは、こうした協議事項・協議条項について、開業20年・400社以上の取引実績がある管理人が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 協議事項の定義
  • 協議条項の定義
  • 契約実務における協議の意味




協議事項とは?

協議事項とは、契約書において、協議の対象となっている事項のことをいいます。

【意味・定義】協議事項とは?

契約書における協議事項とは、協議の対象となっている事項をいう。

具体的に、条文を見てみましょう。

【契約条項の書き方・記載例・具体例】協議条項条項

第○条(第三者の損害)

工事の施工により、第三者が損害を受けた場合、当該損害にかかる賠償金の負担については、甲および乙は、協議のうえ、決定するものとする。

(※便宜上、表現は簡略化しています)

上記の記載例の場合、「当該損害にかかる賠償金の負担」が、協議事項となります。





協議条項とは?

協議条項とは、契約書において、なんからの未決定の事項について、契約の成立後に協議のうえ決定する条項のことをいいます。

【意味・定義】協議条項とは?

協議条項とは、契約の成立後に、未決定の事項を協議により決定する旨を規定した契約条項をいう。

一般的な契約書の記載としては、「協議のうえ」という表現が多いです。

ただ、未決定の契約内容について契約成立後に当事者の合意によって決定する条項は、実質的には協議条項といっていいでしょう。

【契約条項の書き方・記載例・具体例】納入場所に関する条項

第○条(納入場所)

受託者は、委託者と合意のうえ決定した納入場所において、本件製品を納入するものとする。

(※便宜上、表現は簡略化しています)

例えば、上記の記載例では、「協議」という表現ではなく「合意」という表現にしていますが、これも実質的には協議条項です。





契約書における協議や「協議の上決定する」の意味とは?

協議の上=協議対象について決まっていない

契約書において、「協議」という表現は、非常に柔らかい印象を与えるためか、日本の契約書ではよく使われることが多いです。

しかしながら、実際の協議の意味は、そうではありません。

契約実務における協議とは、決まっていないことを意味します。

【意味・定義】協議とは?

契約実務における、協議とは、本来は契約を締結する前に決めておくべきことを決めていないために、契約締結後・契約成立後に決定することにして、協議事項を棚上げにすることをいう。

つまり、「協議の上決定する」という表現は、実は「何も決まっていない」ことを意味します。

【意味・定義】「協議の上決定する」とは?

契約書における「協議の上決定する」とは、その対象となる協議事項について「何も決まっていない」ことを意味する。

協議の上=決まっていないことを明らかにした条項

また、協議条項は、協議事項について、わざわざ「決まっていないこと」を明らかにすることとなります。

このように、わざわざ「決まっていないこと」を明らかにしてしまうと、内容によっては非常に不利になる場合もあります。

契約書は、あらゆる契約内容について、事前にすべて決めておくことが望ましいものです。

ただ、どうしても決めておくことができなかったことについて、わざわざ「決まっていないこと」として規定する必要はありません(法令により明記する必要がある場合を除く)。





協議事項・協議条項が多い契約書のリスク

このように、契約書では、なるべくすべての事項について決定し、契約内容として規定することが望ましいといえます。

逆に言えば、協議事項・協議条項が多い契約書は、実は「決まっていない契約内容」が多いといえます。

こうした契約書は、本来の契約書が持つ「トラブルを未然に防ぐ機能」を発揮できないこととなります。

それどころか、「決まっていない契約内容を明らかにしている」という意味では、その協議事項について規定されていない契約書よりもリスクが高いといえます。

この他、協議事項・協議条項が多い契約書のリスクにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。

協議事項・協議条項が多い契約書の問題点は?





協議事項・協議条項のメリット・デメリット

協議事項・協議条項のメリット

契約書における協議事項・協議条項を規定するメリットは、次のとおりです。

協議事項・協議条項のメリット
  1. 契約当事者が協議事項について「決めなければいけないこと」を知りつつ、最終的に決めきれなかった部分を明らかにできる。
  2. 協議事項を協議条項として規定することにより、契約書を作成した当事者の「誠意」をアピールできる。
  3. 法律上、明確に決めてしまうと違法となってしまう事項について、あえて協議事項とすることで、違法でない証拠とする。

上記のとおり、協議事項・協議条項には、法的なメリットはほとんどありません。

ただ、契約交渉の過程で、ビジネス上、相手方に与える心証を良くすることで、成約に結びつける程度の効果がある場合もあります。

協議事項・協議条項のデメリット

契約書における協議事項・協議条項を規定するデメリットは、次のとおりです。

協議事項・協議条項のデメリット
  1. 本来は決めておくべき協議事項について棚上げすることにより、単にリスクを先延ばししただけとなる。
  2. 特に重要な契約条項にあっては、協議事項=「決まっていないこと」が明らかになることで、かえってリスクが大きくなることがある。
  3. あまりにも協議事項・協議条項が多い契約書は、契約書として機能しないリスクがある。
  4. (相手方と交渉せずに)雛形として作成した契約書に協議事項・協議条項が多い場合は、法務機能や契約書作成の実務能力が疑われる可能性がある。

このように、協議事項・協議条項は、非常に多く、かつ危険性が高いデメリットが多いです。

このため、契約書を作成する際は、協議事項・競技場校は無いことが望ましいです。





協議事項・協議条項に関するよくある質問

契約書における協議事項とは何ですか?
協議事項とは、契約書において協議の対象となっている事項のことです。
契約書における協議条項とは何ですか?
契約書における協議条項とは、協議事項について規定した契約条項のことです。