- 期限とはいつまででしょうか?当日は含むのでしょうか?何時まででしょうか?また、支払期限の場合も当日は含むのでしょうか?
- 期限とは、特定の時点までのことです。また、日で期限を定めた場合は、期限の最終日の当日を含み、その日の午後12時00分が期限となります。これは、支払期限であっても同様です。このため、日で期限を定めた場合は、最終日の当日の午後12時00分までに支払いがあれば契約違反にはなりません。
なお、期限が休日である場合は、民法第142条により、業界の慣習次第では、期限を順延できる場合があります。
このページでは、期限の範囲、特に当日が含まれるかどうかについて、わかりやすく解説しています。
期限は、ある時点までのことを意味します。
期限を日で定めた場合は、当日の午後12時00分、つまり日付が変わる直前までが期限となります。
このため、債務の履行の期限を日で定めた場合は、その日の午後12時00分までに債務を履行すれば、契約違反になりません。
よって、支払期限が日で設定されている場合は、支払期限の前日ではなく、当日の午後12時00分が期限の最終時点となります。
期限には最終日の当日が含まれる
期限=特定の時点までのこと
期限は、あるピンポイントの特定の時点までのことを意味します。
【意味・定義】期限とは?
期限とは、特定の時点までのことをいう。
なお、期限を日で定めた場合の期限には、最終日の当日が含まれるため、最終日の前日が期限になるのではありません。
例えば、2023年8月31日が期限の場合、8月31日の午後12時00分が期限であり、前日の8月30日の午後12時00分が期限なのではありません。
期限の範囲は最終日の当日の午後12時直前まで
また、民法上の個々の日は、午前0時00分から午後12時00分です。
ですので、日で定めた期限は、その期限の最終日の当日の午後12時00分直前までとなります。
例えば、民法上は、その期限の最終日の23時59分までに納入や支払いをすれば、納入期限内や支払期限内に納入・支払いをしたことなります。
このため、ビジネス上の都合で午後12時00分直前の納入や支払いでは困る場合は、日付による最終日の期限だけでなく、その最終日の時刻も指定する必要があります。
契約実務における期限の使い方は?
期限は納入期限・納品期限・履行期限・支払期限・振込期限・納付期限などで使われる
契約実務や法律実務では、期限は、特に納入期限、納品期限、履行期限、支払期限、納付期限等で使われます。
契約実務でよく使われる期限
- 納入期限:受注者が何らかの成果物等(例:システム・アプリ等)を納入しなければならない期限
- 納品期限:受注者が何からの物品(例:製品等)を納入しなければならない期限
- 履行期限:発注者・受注者が何らかの債務(例:支払い・業務の実施)を履行しなければならない期限
- 支払期限:金銭債務の当事者が金銭を支払わなければならない期限
- 振込期限:金銭債務の当事者が金銭を銀行振込により支払わなければならない期限
- 納付期限:国民等が政府に対し金銭を納付しなければならない期限
期限前の履行があったとしても契約違反とはならない
なお、繰り返しになりますが、期限は、特定の時点までを意味します。
このため、期限よりも前に納入・納品・履行・支払等の債務の履行があった場合であっても、契約違反とはなりません。
これに対し、期日は、特定の時点のことをいいます。
【意味・定義】期日とは?
期日とは、特定の日のことをいう。
このため、期日よりも前に納入・納品・履行・支払があった場合は、期限とは異なり、理論上は契約違反となる可能性もあります。
期限と期日の違い(債務履行の場合) | ||
---|---|---|
期限 | 期日 | |
期日前・期限前の債務履行 | 期限前に納入・納品・履行・支払い等の債務の履行があった場合であっても、契約違反とならない。 | 期日前=期日以外の日に納入・納品・履行・支払い等の債務の履行があった場合は、理論上は契約違反となる可能性がある。 |
この他、期日と期限の違いにつきましては、詳しくは、以下のページをご覧ください。
「期限の利益」とは?
また、契約における期限には、いわゆる「期限の利益」があります。
【意味・定義】期限の利益とは?
期限の利益とは、期限の到来までは、債務の履行をしなくてもよい、という債務者の利益をいう。
期限よりも前に債務の履行をすることは、民法第136条第2項にもとづき、期限の利益を放棄したこととなります。
民法第136条(期限の利益及びその放棄)
1 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
もっとも、ただし書きで「これによって相手方の利益を害することはできない。」とあるとおり、期限の利益の放棄により、相手方の利益を害する等の損害を出す場合は、その賠償に応じなければなりません。
期限(特に支払期限)が休日の場合は順延される?
休日の期限を順延できるかどうかは業界の慣習次第
なお、企業間取引の契約において、期限が休日だった場合、どうしてもその休日である期限までに債務の履行(納入・業務の実施・支払い)等をしなければならないのでしょうか?
これは、業界の慣習によって異なります。
民法第142条には、以下の規定があります。
民法第142条(期間の満了)
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第百78号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
引用元:民法 | e-Gov法令検索
この規定は、あくまで期間の満了に関する規定ですが、判例(最高裁判例平成11年3月11日)により、債務の履行期限にも類推適用されます。
つまり、休日に「取引をしない慣習がある場合」は、その期限の直後の日に債務を履行したとしても問題ありません。
支払期限は順延できる
この点について、すでに提示した判例にもあるように、銀行振込による金銭の支払いについては、一般的には、銀行が休業日であった場合は、直後の営業日に支払ったとしても、契約違反にはなりません。
このため、支払期限の最終日が休日であった場合は、銀行の翌営業日まで支払期限を順延できます。
ただし、下請法が適用される場合、この順延のしかたは、最長で2日(支払期限を納入等から60日後にしている場合)となり、親事業者と下請事業者との書面での合意が必要となります。
この他、支払期限・支払期限が休日だった場合の順延につきましては、詳しくは、以下のページ(弊所運営外部サイトのページ)をご覧ください。
期限と当日の関係に関するよくある質問
- 期限には最終日の当日は含むのでしょうか?また、支払期限の場合も最終日の当日は含むのでしょうか?
- 期限とは、特定の時点までのことです。また、日で期限を定めた場合は、期限の最終日の当日を含み、その日の午後12時00分が期限となります。これは、支払期限であっても同様です。このため、日で期限を定めた場合は、最終日の当日の午後12時00分までに支払いがあれば契約違反にはなりません。
- 期限(特に支払期限)が休日の場合は順延されるのでしょうか?
- 期限(特に支払期限)が休日の場合、民法第142条により、業界の慣習次第では、期限を順延できる場合があります。
- 「期日まで」、「何日まで」、支払期日には当日を含みますか?
- 「期日まで」、「何日まで」、支払期日には当日を含みます。