こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約書の雛形を修正・調整する際の注意点として、先入観を取り除く方法について解説しています。

雛形の契約書を使って契約書を作ろうとすると、どうしても、雛形を通して契約条件を考えてしまいがちです。

つまり、取引内容や、これから締結しようとする契約について、「こういうものなんだ」という先入観を持ってしまいます。

こうした先入観を持ってしまうと、自社にとって不必要に不利な契約内容であっても、そのまま修正せずに使ってしまうリスクがあります。

このため、雛形の契約書を確認・修正・調整する際には、なるべくこうした先入観は取り除かなければなりません。

このページでは、こうした先入観のリスクと、これを取り除く方法について解説しています。

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知識・経験が乏しいと先入観で判断する

雛形は個々の契約条項が取引内容に合っているか確認する

雛形の契約書を使う場合、実際に契約書を取交す前に、個々の契約条項を確認する必要があります。

間違っても、雛形を確認することなく、そのまま使ってはいけません。

契約書の雛形をそのまま使ってはいけない理由は?リスクやデメリットは?

この際、重要となるのが、個々の契約条項が、実際の取引の内容に合っているかどうか、という点です。

当然ながら、個々の契約条項が取引内容に合っていない場合は、取引内容に合わせるように修正・調整する必要があります。

契約実務の知識・経験がないと「こういうものだ」と誤解する

そこで問題となるのが、個々の契約条項について、取引内容に適合したものかどうかの判断ができるか、ということです。

この点、契約実務の知識や経験が豊富な人が判断する場合は、特に問題なく判断できるでしょう(というか、知識・経験が豊富な人は、そもそも雛形を使いません)。

他方、契約実務の知識や経験が乏しい人が判断する場合は、要注意です。

というのも、こういう場合は、取引内容に適合していなくても「こういうものだ」という思い込みや先入観で誤解してしまうリスクがあります。

結果として、実際の取引内容とは合っていない契約条項や、不利な契約条項のまま、契約を結ぶことになりかねません。

ポイント

  • 雛形は、個々の契約条項が取引内容に合っているかどうかを確認したうえで、使用する。間違ってもそのまま使わない。
  • 契約実務の知識・経験がないと、取引の実態に合っていない契約条項や、自社にとって不利な契約条項も、「こういうものだ」と誤解する。
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契約交渉で雛形をベースにするリスクは?

契約交渉で決める事項を雛形に依存していないか?

こうした先入観が問題になるのは、何も契約書のリーガルチェックの場面だけではありません。

契約交渉の場面でも、雛形に対する先入観が問題となる場合があります。

契約交渉では、契約の種類に応じて、様々な決めごとがあります。

こうした決めごとは、ある程度の契約実務の知識と経験がないと、そもそも何を決めていいのかがわからないものです。

このため、契約実務の知識・経験が乏しいと、ついつい、雛形に書いていることを中心に契約内容を検討しがちです。

先入観があると「書いていないこと」には気づかない

こうなると、その雛形に書いてある契約条件が、一般的な契約条件であるかのように思い込みがちです。

この場合も、自社にとって不利な雛形の内容について、「こういうものだ」と思い込むリスクがあります。

これに加えて問題となるのが、「書いていない契約条項」です。

つまり、本来はもっと検討すべき契約条項が雛形に書かれていないと、こうした契約条項には気づかないことになります。

企業間取引の契約では検討事項が多い

通常、企業間取引の契約では、どんなに単純な内容であっても、20〜50条程度の契約条項となります。

「そんなに多いの?」と思われるかもしれませんが、これが、本来の契約書のあるべき姿です。

ところが、一般に出回っている雛形の契約書では、あまりにも分量が足りません。

このため、雛形の契約書をベースに契約交渉をしていると、本来は検討するべき重要な契約条項の検討が、抜けてしまうことがあります。

ポイント

  • 雛形をベースに契約交渉をすると、検討・決定するべき事項について、雛形に「依存」することになる。
  • 雛形に依存した契約交渉では、先入観により、書いている内容がすべてと思い込み、「書いていないこと」に気づかない。
  • 企業間取引の契約では、雛形の内容よりも検討事項が多いため、雛形をベースに契約交渉をすると、本来検討するべき事項が抜けてしまう。
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雛形の先入観を取り除く方法は?

「正しい答え」を知ってが先入観を取り除く

では、こうした先入観にとらわれずに雛形を活用できるようになるにはどうしたいいのでしょうか?

これは、知識・経験を得ることで、「正しい答え」を知るしかありません。

そのためには、具体的には、次の3つの方法があります。

契約実務の「正しい答え」を知る方法

  • 書籍で知る
  • 大量の雛形で知る
  • 人から知る

それでは、それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

【方法1】専門書・実務書を読む

1つ目の方法は、専門書・実務書=書籍で知る方法です。

この方法では、若干のお金と時間的なコストがかかりますが、比較的間違いが少ない方法です。

書籍による習得のメリット・デメリット

  • 【メリット】比較的間違いが少ない。
  • 【デメリット】若干のお金と時間がかかる。

この方法のポイントは、書籍を買う前に著者の経歴を確認し、必ず実務経験が豊富な著者の書籍を購入することです。

というのも、経験豊富な著者でないと、個々の契約条項について、それぞれの立場での標準(=「普通はこういうものだ」)を提示できないからです。

【方法2】類似する大量の雛形を読み込む

2つ目の方法は、類似する契約書の雛形を大量に比較・チェックしながら読み込んで知る方法です。

この方法では、インターネットを活用することで、時間的なコストがかかりますが、お金はほとんどかかりません。

類似する雛形による習得のメリット・デメリット

  • 【メリット】ほとんどお金がかからない。
  • 【デメリット】多くの時間的がかかる。「答え合わせ」ができない。

この方法のポイントは、とにかく大量の雛形を比較・チェックすることです。

残念ながら、この方法では、個々の雛形の条項が正しいかどうかの、「答え合わせ」ができません。

このため、ある程度の傾向(≒正解)が掴めるようになるまで、大量の雛形の比較・チェックをしなければなりません。

【方法3】知識・経験豊富な人の確認を受ける

3つ目の方法が、知識・経験豊富な人=専門家に教えてもらうことで知る方法です。

この方法では、外部の専門家に依頼する場合は、お金がかかりますが、人選さえ間違えなければ、短時間で正確な答えを知ることができます。

人から習得するメリット・デメリット

  • 【メリット】人選さえ間違えなければ正確な答えを知ることができる。時間がかからない。
  • 【デメリット】外部の専門家に依頼する場合はお金がかかる。

この方法のポイントは、人選を間違えない、ということです。

これは書籍で知る場合のポイントに似ていますが、聞く相手が、知識・経験豊富な人かどうかを、必ず事前に確認してください。

人選さえ間違えなければ、個別具体的で、最も正確な答えを教えてもらえます。

ポイント

  • 「正しい答え」を知ることにより、雛形の先入観を取り除くことができる。
  • 専門書・実務書で習得する方法は、若干のお金と時間がかかるが、比較的正確な答えを知ることができる。
  • 雛形を比較・チェックする方法は、答え合わせ」ができないため、大量の雛形を比較・確認する必要があり、そのための時間もかかるが、インターネットを活用することで、お金はほとんどかからない。
  • 経験豊富な人から教えてもらう方法は、外部の専門家に依頼する場合はお金がかかるが、人選さえ間違えなければ、短時間で、最も正確な答えを知ることができる。