このページでは、Mercari(以下、「メルカリ」といいます)の利用規約について、ユーザー(出品者・購入者)の立場から分析し、解説しています(いわゆる「逐条解説」です)。
利用規約の全文につきましては、次のページをご覧ください。
・メルカリ利用規約 – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
なお、いわゆる「売上金の失効」問題につきましては、別途解説ページがありますので、詳しくは、次のページをご覧ください。
また、ウェブサービス等の利用規約のリーガルチェックは随時承っておりますので、企業の方々は、お気軽にお問合せください。
注意
- ※1 本件につきまして、個別の相談等は承っておりませんので、あらかじめご承知おきください。ただし、ページの記載内容に関するご質問につきましては、お問合わせフォームからお寄せください。
- ※2 表現の都合上、利用規約の一部の書式について、改変をしております。
- ※3 利用規約の著作物性につきましては、東京地裁判決昭和40年8月31日(船荷証券事件)・東京地裁判決62年5月14日(土地売買契約書事件)により、著作物に該当しないと考えられます。
- ※4 解説部分を引用する場合は、著作権法その他の法令を遵守のうえ、適法におこなってください(参照:著作権等の知的財産権について)。
【要約】ユーザーにとっての問題点
メルカリのビジネスモデル(利用規約)の概要
ユーザーにとっては問題点・リスクが多い利用規約
メルカリの利用規約は、実は、ユーザーにとっては、非常に問題点やリスクが多い内容となっています。
ただ、メルカリのものに限らず、利用規約は法律的な表現が多く、解説も専門的な内容になりがちです。
このため、ユーザーにとっての問題点やリスクについて、わかりやすくリストアップしてみました。
メルカリの利用規約の問題点・リスク
- 免責条項が非常に多い(第3条第3項、第4条第6項、同第8項、第5条第4項、第6条第3項、第7条第6項、第9条第5項、同第6項、同第7項、第10条第5項、第11条第9項、第17条第3項、第18条第2項、第19条第1項、同第2項、第20条第3項、同第4項、第21条第2項、同第4項、第22条第2項、同第3項、同第4項、同第5項、同第6項、同第7項、第23条第2項、第24条第1項第1号の合計27箇所)
- 「返金、…には一切関与しません。」(第1条第2項)となっているにもかかわらず、返品・返金ポリシーがある。
- メルカリはユーザーによるサービスの利用を制限できるものの、その利用制限について、メルカリは説明義務を負わない(第5条第1項柱書)
- メルカリはユーザーがサービスの利用制限の事由に「該当しないこと」を確認するために本人確認ができ、その本人確認が終わるまで、メルカリはユーザーによるサービス利用の制限ができる(同上)
- ユーザーはメルカリから認められなければ退会ができない(第6条第1項)
- メルカリは退会を希望するユーザーへの支払いの金銭等を無効とすることができる(第6条第2項)
- 個人情報について、(個人情報保護法で使われている「委託」ではなく)「預託」という用語を使っている(第7条第5項)
- ユーザーはいわゆる「専用」の出品ができない(第9条第5項)
- 購入者は「転売等の営利を目的とした商品の購入等」ができない(第10条第2項)
- 商品代金の「代理受領」(第11条第6項第2号)をするに過ぎないメルカリが、「支払債務の支払い」について、購入者に対し、遅延損害金を請求できることになっている(第11条第7項第4号)
- 第1条第1項で「弊社は売買契約の取り消し、…には一切関与しません。」とあるにもかかわらず、「…弊社は、当該売買契約を取り消すことができるものとします。」となっている(第11条第8項)
- メルカリから出品者に対する支払いに不明瞭な点が多い(第13条第2項)
- 出品者に対する商品代金の支払いは、本来であれば直ちに無条件でおこなわれるべきところ、そのようになっていない(同上)
- 外部サービスの利用規約等に直接同意していないにもかかわらず、外部サービスの利用規約等に同意したことにされてしまう(第18条第2項)
メルカリ利用規約(前文)
この規約(以下「本利用規約」といいます)は、株式会社メルカリ(以下「弊社」といいます)が運営するインターネットサービス「メルカリ」において、弊社が提供する各種サービス(以下「本サービス」といいます)の利用の諸条件を定めるものです。
前文の概要
この記載は、いわゆる「前文」に該当します。前文は、法的には必ずしも重要な箇所ではありません。
本規約の前文でも、規約の概略を説明している程度であり、それほど重要なものではありません。
第1条 本サービスの内容及び弊社の役割
第1条 本サービスの内容及び弊社の役割の条文
第1条 本サービスの内容及び弊社の役割
1 本サービスは、オンラインフリーマーケットサービスです。ユーザー(次条で定義します)間の物品の売買の場・機会を提供するもので、ユーザー間の売買契約、出品、購入等の保証等に関しては、すべて当事者ユーザーの自己責任とし、弊社は自ら売買を行うものではなく、売買の委託を受けるものでもありません。弊社は売買契約の取り消し、解約、解除や返品、返金、保証など取引の遂行には一切関与しません。また、本サービスは、競りの方法(オークション)により物品の売買を行おうとする者のあっせんを行うものではありません。
2 本サービスの内容は、本利用規約及びガイドに規定する通りとします。
第1条の概要
第1条は、「本サービス」の全体像について規定している条項です。
これは、一般的な契約書でいうところの、いわゆる「目的条項」に該当するものです。
「返金」には「一切関与」しないのがポイント
第1条第1項では、メルカリが提供する本サービスが、あくまで「物品の売買の場・機会を提供するもの」であり、売買契約そのものについては、ユーザーの責任で、ユーザー間でおこなうべきことが明記されています。
また、メルカリは、「売買契約の取り消し、解約、解除や返品、返金、保証など取引の遂行には一切関与」しないことも明記されています。
利用規約全体の特徴
メルカリは、あくまで「物品の売買の場・機会を提供するもの」であって、売買契約には一切関与しない。
もっとも、第11条第8項では、メルカリによる売買契約の取消しについて規定があります。
ここでポイントとなるのが、「返金」をしない、という点です。
本規約の第11条第6項では、出品者は、メルカリに対し、商品代金を「代理受領する権限を付与する」旨が規定されており、「受領」はすることになっています。
ところが、本項により、「返金」はしないこととなっています。
返金をすると資金決済法違反となる
資金決済法の「為替取引」には定義がない
なぜこのように一方的な金銭の流れにしているのかといえば、実は、返金までしてしまうと、資金決済法という法律に違反する可能性があるからです。
資金決済法(と銀行法)では、銀行と資金移動業者以外の者による、為替取引が禁止されています(2018年11月14日現在、メルカリは銀行でも資金移動業者でもありません)。
この「為替取引」ですが、実は、資金決済法にも銀行法にも定義がありません。
ただ、過去の判例では、為替取引を次のとおり定義づけています。
銀行法2条2項2号にいう「為替取引を行うこと」とは,顧客から,隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて,これを引き受けること,又はこれを引き受けて遂行することをいう。
引用元: 最高裁判決平成13年3月12日
この判例も、非常に抽象的な記載であるため、「為替取引」に該当するかどうかは、エスクローサービスや、決済代行サービスの契約実務では、常に頭を悩ませる問題となります。
「返金」は為替取引に該当する可能性が高い
現在の資金決済法では、コンビニなどがおこなう公共料金の「収納代行」や、運送業者がおこなう「代引き(代金引換)」については、為替取引とはされていません。
このため、コンビニや運送業者は、資金移動業者でなかったとしても、資金決済法違反とはなりません。
こうした収納代行や代引き(代金引換)が為替取引に該当しない根拠は不明ですが、通常、一方的なお金の支払いだけを代行し、返金をしない点は、為替取引とはみなされにくい根拠になると思われます。
このため、メルカリとしても、(購入者に対する)返金は、利用規約では「一切関与」しないことになっています。
ただし、返品・返金ポリシーにあるとおり、実際には返金をしています。
第1条のポイント
- メルカリはあくまでプラットフォーマーとして「物品の売買の場・機会を提供するもの」であり、売買契約には一切関与しない。
- メルカリが「返金」をしてしまうと、資金決済法違反となる可能性がある。
第2条 定義
第2条 定義の条文
第2条 定義
1. 定義
本利用規約において、以下の用語は、別途定義されている場合及び文脈上別異に解すべき場合を除き、以下の意味を有するものとします。
(1)「本規約」とは、本利用規約、プライバシーポリシー及びガイドをいい、これらはすべて本規約を構成するものとします。
(2)「プライバシーポリシー」とは、弊社が定めるプライバシーポリシー(名称の如何を問わないものとします)をいいます。
(3)「ガイド」とは、弊社が定める本サービスに関するガイドをいいます。
(4)「ユーザー」とは、本規約の内容に同意して、日本国内において本サービスを利用される日本在住の個人及び弊社の指定する事業者を指します。
(5)「個人情報」とは、個人情報保護法に定める「個人情報」を指すものとし、ユーザーが入力した氏名、郵便番号、住所、生年月日、性別、職業、電話番号、アカウント情報(電子メールアドレス及びパスワード等をいう。)、プロフィール情報(ニックネーム、趣味、家族構成、年齢その他の個人に関する属性情報)、クレジットカード情報及び利用履歴等で、かつ特定の個人を識別できる情報(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することとなるものを含む。)をいいます。
(6)「コンテンツ」とは、弊社又はユーザーが本サービスに掲載・発信した、情報をいいます。
(7)「出品」とは、ユーザーが、本サービスにて、商品の取引に必要なコンテンツを掲載・発信し、他のユーザーが閲覧可能かつユーザーが商品を取引できる状態にすることをいいます。
(8)「出品者」とは、本サービスを通じて商品を出品するユーザーをいいます。
(9)「購入者」とは、本サービスにて商品を購入するユーザーをいいます。
(10)「利用料」とは、本サービスの利用に関連して、弊社がユーザーから徴収する料金(なお、販売手数料、決済手数料その他の名称の如何を問わないものとします)をいいます。
(11)「販売価格」とは、出品者が本サービスにおいて商品を出品する際に設定する商品の価格をいいます。
(12)「商品代金」とは、本サービスにおいて商品が購入された場合の、出品者と購入者との間の売買契約における当該商品の売買価格をいいます(なお、商品代金は原則として販売価格と一致しますが、第15条第3項に定める場合又は弊社が別途定める場合には、商品代金は、当該定めの内容に従うものとします。これらの場合、商品代金と販売価格とが異なることがあります)。
2. 適用
本条の定義は、別途定義されている場合及び文脈上別異に解すべき場合を除き、本利用規約のほか、プライバシーポリシー及びガイドにおいても、適用されるものとします。
第2条の概要
第2条は、いわゆる「定義条項」です。
本条の内容とは直接関係ありませんが、本条を含め、ほとんどの条項では、条の見出しに加えて、項にも見出し(以下、「小見出し」といいます)が書かれています。
通常、見出しは、条の部分だけにつけることがほとんどであり、このような記載のしかたは、非常に珍しいです。
なお、なぜか、第1条、第16条、第17条では、項に小見出しがついていません。
「プライバシーポリシー」が定義になっていない
第1項第2号では、プライバシーポリシーについて、「弊社が定めるプライバシーポリシー(名称の如何を問わないものとします)をいいます。」と定義づけています。
この点について、そもそも「プライバシーポリシー」の用語の定義の表現として、「プライバシーポリシー」という表現を使用するのは、定義になっていません。
また、カッコ書きで「(名称の如何を問わないものとします)」となっていますが、名称の如何を問わないのであれば、定義づけになっているのか、疑問です。
こうした場合、せめて、「弊社が定めるプライバシーポリシー(名称の如何を問わないものとします)その他の個人情報の取扱いについての規定または規程をいいます。」とするべきでしょう。
第2条のポイント
「プライバシーポリシー」の定義で「プライバシーポリシー」という表現があるため、定義になっていない。
第3条 本規約への同意及び本規約の変更
第3条 本規約への同意及び本規約の変更の条文
第3条 本規約への同意及び本規約の変更
1. 本規約への同意及び適用
本規約は、本サービスの利用に関する条件をユーザーと弊社との間で定めることを目的とし、ユーザーと弊社の間の本サービスの利用に関わる一切の関係に適用されます。ユーザーは、本規約に同意をしたうえで、本規約の定めに従って本サービスを利用しなければなりません。ユーザーは、本サービスを利用することにより本規約に同意をしたものとみなされます。
2. 未成年者の場合
ユーザーが未成年者である場合は、事前に親権者など法定代理人の包括的な同意を得たうえで本サービスを利用しなければなりません。ユーザーが未成年者である場合は、親権者の同意の有無に関して、弊社から親権者に対し、確認の連絡をする場合があります。
3. 本規約の変更
弊社は、必要に応じ、本規約を変更できるものとします。弊社は、本規約を変更した場合には、ユーザーに通知するものとし、通知後、ユーザーが本サービスを利用した場合又は弊社の定める期間内にアカウント削除の手続をとらなかった場合には、ユーザーは、本規約の変更に同意をしたとみなされるものとします。弊社は、本規約の改定、変更によりユーザーに生じたすべての損害について、一切の責任を負いません。
第3条の概要
第3条は、規約への同意と変更の手続きについて規定しています。
また、未成年者の利用について、親権者等の法定代理人の同意を義務づけています。
内容としては、一般的なものであり、特にユーザーにとって問題となる点はありません。
なお、第2条第1項第1号にあるとおり、本規約とは「本利用規約、プライバシーポリシー及びガイド」のことであるため、ガイドの変更があった場合も、メルカリは、第3項の通知をしなければなりません。
免責の条項は消費者契約法により無効となる可能性もある
なお、第3項の「弊社は、本規約の改定、変更によりユーザーに生じたすべての損害について、一切の責任を負いません」の部分については、場合によっては、消費者契約法第10条により、無効になる可能性があります。
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
ただし、これは、ユーザーが消費者である場合に限ります。
第3条のポイント
第3項に規定する、本規約の改定・変更によってユーザーに生じたすべての損害についてメルカリを免責する内容は、消費者契約法第10条に違反し、無効となる。
第4条 ユーザー登録及びアカウント情報
第4条 ユーザー登録及びアカウント情報の条文
第4条 ユーザー登録及びアカウント情報
1.登録
ユーザー登録は、必ず本人が行ってください。また、ユーザー登録の際は、必ず正確な情報を入力してください。
2.複数登録の禁止
ユーザーおよびユーザー登録をされようとする方(以下併せて「ユーザー等」といいます)は、複数のユーザー登録を行うことができないものとします。
3.登録拒否
弊社は、以下各号のいずれかに該当する場合、ユーザー登録の申請を承認しないことがあります。
(1)第3条第2項及び本条第2項のユーザー資格を満たしていない場合
(2)過去に本規約違反等により、弊社から利用停止等の処分を受けている場合
(3)登録内容に正確ではない情報、又は虚偽の情報が含まれている場合
(4)弊社の運営・サービス提供又は他のユーザーの利用を妨害、支障をきたす行為を行った場合やそのおそれがあると弊社が判断した場合
(5)暴力団、暴力団員及び暴力団員でなくなったときから5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業に属する者、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等、テロリスト等、日本政府または外国政府が経済制裁の対象として指定する者(以下上記の9者を総称して「暴力団員等」といいます)、暴力団員等の共生者、その他これらに準ずる者(以下、上記のすべてを総称して「反社会的勢力」といいます)であると判明した場合、又は、反社会的勢力等が経営に実質的に関与している法人の役員、従業員である等反社会的勢力等と何らかの関係を有していると判明した場合
(6)その他弊社が不適当であると判断する場合
4.ユーザー等の確約
ユーザー等は、反社会的勢力等のいずれにも該当しないこと、かつ将来にわたっても該当しないこと、および、自ら又は第三者を利用して、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求行為、取引に関して脅迫的な言動をし又は暴力を用いる行為、風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて弊社の信用を毀損し又は弊社の業務を妨害する行為、その他これらに準ずる行為を行わないことを確約するものとします。
5.登録内容の変更
ユーザーは、登録内容の変更がある場合は、直ちに変更しなければならず、常にユーザー自身の正確な情報が登録されているよう、登録内容を管理及び修正する責任を負います。登録内容に変更があったにも関わらず、変更を行っていない場合、弊社は、登録内容の変更のないものとして取り扱うことができます。変更の届出があった場合でも、変更登録前に行われた取引や各種手続は、変更前の情報に依拠する場合があります。
6.弊社の免責
ユーザーがユーザー登録や登録内容の変更をしたことや弊社がユーザー登録を承認しないことにより生じた損害に関しまして、弊社は一切責任を負わないものとします。
7.アカウント情報の管理
ユーザーは入力したメールアドレス及びパスワード等(以下「アカウント情報」といいます。)を自ら管理する責任を負います。ユーザーは、アカウント情報を第三者等に利用させたり、譲渡や売買、質入、貸与、賃貸したり、その他形態を問わず処分することはできません。
8.アカウント情報の不正利用等
アカウント情報の管理不十分による情報の漏洩、使用上の過誤、第三者の使用、不正アクセス等による損害の責任はユーザーが負うものとし、弊社は一切責任を負わないものとします。また、アカウント情報が不正に利用されたことにより弊社に損害が生じた場合、ユーザーは当該損害を賠償するものとします。
9.アカウント情報の漏えい
アカウント情報が第三者に漏えいした場合又はそのおそれがある場合、速やかに弊社まで連絡するものとします。また、その際に弊社の指示がある場合にはこれに従うものとします。
第4条の概要
第4条では、ユーザー登録と、登録後のアカウントの取扱いについて規定されています。
内容としては一般的なものが多いですが、以下の点については、注意が必要です。
第4条の注意点
- 第2項で、複数の登録・アカウントの取得が禁止されている(いわゆる「複垢」の禁止)。
- 第8項のアカウント情報の不正利用等について、ユーザーの責任となり、メルカリは免責されている(後述)。
不正アクセスまでユーザーの責任?
第4条で問題となるのが、第8項において、不正利用等による「損害の責任はユーザーが負うもの」とされ、メルカリは「一切責任を負わない」とされている点です。
ユーザーが損害の責任を負うべき事由として、次のものが挙げられています。
ユーザーが責任を負う事由
- アカウント情報の管理不十分による情報の漏洩
- 使用上の過誤
- 第三者の使用
- 不正アクセス等
このため、不正アクセスによる損害が発生した場合であっても、ユーザーの責任となり、メルカリは免責される内容となっています。
もっとも、「アカウント情報の管理不十分による」が「不正アクセス等」にかかるとすれば、特に問題がある条項とまではいえません。
第4条のポイント
- いわゆる「複垢」は禁止されている。
- 「不正アクセス等」による損害がユーザーの責任となる可能性もある。
第5条 ユーザー登録の取消等
第5条 ユーザー登録の取消等の条文
第5条 ユーザー登録の取消等
1.ユーザー登録の取消・利用停止等
弊社は、ユーザーが以下の各号のいずれかに該当した場合又は該当したと弊社が判断した場合、事前の通知なしに、ユーザー登録の取消、本サービスの全部もしくは一部へのアクセスの拒否・利用停止等、又は、ユーザーに関連するコンテンツや情報の全部もしくは一部の削除の措置をとることができるものとします。弊社は、その理由を説明する義務を負わないものとします。なお、弊社は、ユーザーが以下の各号のいずれにも該当しないことを確認するために、弊社が必要と判断する本人確認を行うことができ、確認が完了するまで本サービスの全部もしくは一部へのアクセスの拒否・利用停止等の措置することができます。
(1)法令又は本規約に違反した場合
(2)不正行為があった場合
(3)登録した情報が虚偽の情報であると弊社が判断した場合
(4)本規約上必要となる手続又は弊社への連絡を行わなかった場合
(5)登録した情報が既存の登録と重複している場合
(6)登録した携帯電話番号又はメールアドレスが不通になったことが判明した場合
(7)ユーザーが債務超過、無資力、支払停止又は支払不能の状態に陥った場合
(8)他のユーザーや第三者に不当に迷惑をかけた場合
(9)登録した金融機関の口座に関し違法または不適切その他の問題があることが当該金融機関による指摘その他により判明した場合
(10)第4条第3項各号のいずれかに該当する場合
(11)ユーザーが自ら又は第三者をして、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求行為、脅迫的な言動又は暴力を用いる行為、風評を流布し、偽計を用い又は威力を用いて、信用を毀損又は業務を妨害する行為をした場合
(12)その他弊社がユーザーに相応しくないと判断した場合
2.サービスの利用禁止等
弊社は、本条の措置を受けたユーザーに対し、将来にわたって弊社が提供するサービスの利用及びアクセスを禁止することができるものとします。
3.支払いの留保
弊社は、本条の措置の時点で当ユーザーに支払われることとなっていた金銭等について、違法行為への関与が疑われる場合等、弊社の判断により、支払いを留保することができるものとします。
4.弊社の免責
弊社は、本条の措置により生じる損害について、一切の責任を負わないものとします。
第5条の概要
第5条は、ユーザーのサービス利用の制限等について規定しています。
内容としては、金銭の授受が伴うサービスのためか、一般的なウェブサービスの利用規約に比べて、非常に厳しい内容となっています。
具体的な注意点は、次のとおりです。
第5条の注意点
- メルカリ側は、利用制限等について、説明義務を負わない。
- ユーザーが利用制限等に該当しないことを確認するため、メルカリ側は、本人確認ができる(後述)。
- しかも、確認が完了するまで、ユーザーによる利用制限等ができる(後述。以上、第1項柱書)。
- 「不正行為」の定義が明確でない(第1項第2号)
- 利用制限等の事由に銀行口座の問題(違法・不適切)の判明がある(後述。第1項第9号)。
- メルカリは、利用制限等の措置により生じる損害について、免責される(後述)。
「本人確認」で利用制限等の事由のすべてに該当しないことが確認できる?
本条第1項により、メルカリ側は、ユーザーが利用制限等の事由の「いずれにも該当しないこと」を確認するために、本人確認ができる、とされています。
これについて、本人確認をした程度で、利用制限等の事由の「いずれにも」(=すべてに)該当しないことを確認できるものとは到底思えません。
本条第1項は、「弊社が必要と判断する本人確認を行うことができ」とあるとおり、事実上、メルカリ側がフリーハンドでサービスの利用制限等ができるようになっています。
しかも、メルカリ側は、これについて説明義務を負っていません。
メルカリができるのは利用制限等であり支払いの停止ではない
なお、本人確認が完了するまでの間、メルカリができるのは、「本サービスの全部もしくは一部へのアクセスの拒否・利用停止等の措置」です。
つまり、この箇所では、本人確認が完了するまでの間は、ユーザーの側からの「引出し」を含むサービスの利用の制限はできます。
しかし、本人確認が完了していないことは、メルカリが支払いを停止できる理由にはなりません。
なお、第4項には、メルカリの側が支払いを停止できる理由にもなり得る免責事項が規定されていますが、これは、後述のとおり、消費者契約法第10条により、無効の可能性が高いです。
銀行口座に関しては問題が「判明した場合」に限る
また、第1項第9号では、マネーロンダリングへの対策のためか、銀行口座に問題がある場合について、規定されています。
ただ、この規定は、その銀行口座に「違法または不適切その他の問題があることが当該金融機関による指摘その他により判明した場合」とされています。
つまり、この利用制限等の事由は、銀行口座になんらかの問題が「判明した場合」に限るものであり、一般的な消費者には、無縁の条項です。
ちなみに、現行法の犯罪収益移転防止法では、メルカリのようなプラットフォーマーには、本人確認の義務はありません。
利用制限等の措置による免責は消費者契約法違反の可能性もある
なお、第4項では、利用制限等の措置により生じる損害について、メルカリ側は、「一切の責任を負わないものとします。」となっています。
これにつきましては、すでに触れたとおり、場合によっては、消費者契約法第10条により、無効になる可能性があります。
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
ただし、これは、ユーザーが消費者である場合に限ります。
「アクセスの拒否・利用停止等の措置すること」は誤記?
なお、第5条第1項では、「本サービスの全部もしくは一部へのアクセスの拒否・利用停止等の措置することができます。」とあります。
おそらくこれは、「本サービスの全部もしくは一部へのアクセスの拒否・利用停止等の措置を講じることができます。」の脱字と思われます。
第5条のポイント
- メルカリは、利用制限等について、説明義務を負わない。
- ユーザーが利用制限等に該当しないことを確認するため、メルカリは、本人確認ができる。
- しかも、本人確認が完了するまで、ユーザーによる利用制限等ができる。ただし、あくまでメルカリはユーザーによるサービスの利用制限ができるだけであって、メルカリによる売上金の支払いは制限できない。
- メルカリは、利用制限等の措置により生じる損害について、免責される。ただし、これは消費者契約法第10条に違反し、無効となる。
第6条 ユーザーの退会
第6条 ユーザーの退会の条文
第6条 ユーザーの退会
1.退会の手続
ユーザーは、弊社に退会を希望する旨を問い合わせ、弊社の判断により認められた場合には退会することができます。但し、取引の決済や商品の郵送等取引の手続が未完のものがある場合は退会することができず、ユーザーは、一連の未完の取引を本規約に従って遅滞なく円滑に進め、完了させた後、弊社に問い合わせを行わなければなりません。
2.無効化等
ユーザーが退会を希望する時点で当ユーザーに支払われることとなっていた金銭等については、弊社の判断により、無効とすることができるものとします。
3.弊社の免責
弊社は、本条の措置により生じる損害について、一切の責任を負わないものとします。
第6条の概要
第6条は、ユーザーの退会について規定した条項です。
内容としては、一般的なウェブサービスの利用規約に比べて、非常に厳しい内容となっています。
具体的な注意点は、次のとおりです。
第6条の注意点
- ユーザーは、メルカリから認められなければ退会ができない(第1項)。
- メルカリは、退会を希望するユーザーへの支払いの金銭等を無効とすることができる(第2項)。
メルカリから認められなければ退会もできない
第1項では、ユーザーの退会について規定しています。
具体的には、ユーザーは、メルカリの「判断により認められた場合には退会すること」ができるとなっています。
逆にいえば、ユーザーは、メルカリから認められない場合は、退会することができない、ということです。
プラットフォームを提供しているに過ぎないウェブサービスとしては、運営側から認められなければ退会すらできない、というのは、少々厳しい内容であるといわざるを得ません。
メルカリは金銭等を「無効」とすることができる
金銭等を「無効」とすることができるとは?
第2項では、退会時における金銭等の取扱いについて規定しています。
本項により、退会の時点でユーザーに「支払われることとなっていた金銭等については、」メルカリの判断により、「無効」とすることができる規定となっています。
この「無効」の定義は必ずしも明らかではありませんが、金銭等が日本円を含む通貨を意味するのであれば、中央銀行(=日本の場合は日本銀行)でもない私企業であるメルカリが、通貨を無効化できる法的権限はありません。
法令用語としての「無効」は、「初めから効力を生じない」という意味であり、この意味であったとしても、この条項の法的効果は不明です。
ただ、少なくとも、メルカリ側には清算をする義務はない内容となっています。
第3項の免責条項は消費者契約法により無効?
第3項は、メルカリ側の免責について規定されています。
第2項の意味にもよりますが、文脈からは、ユーザー側の金銭等の支払請求権(=債権)を無効できる、または、ユーザー等に支払われるべき金銭等について、一種の損害賠償額の予定(民法第420条)として、賠償を受ける(=没収できる)という意味とも取れます。
第2項がこの意味であった場合は、本項は、消費者契約法第9条第1号または消費者契約法第10条により、無効になる可能性があります。
消費者契約法第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
(1)当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
(2)(省略)
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
ただし、これは、ユーザーが消費者である場合に限ります。
第6条のポイント
- ユーザーは、メルカリから認められなければ退会ができない。
- メルカリは、退会を希望するユーザーへの支払いの金銭等を無効とすることができる。ただし、これは消費者契約法第10条に違反し、無効となる。
第7条 個人情報等の取扱い
第7条 個人情報等の取扱いの条文
第7条 個人情報等の取扱い
1.プライバシーポリシー
弊社は、本規約のほか、プライバシーポリシーに従って個人情報等を取り扱います。
2.プライバシーポリシーへの同意
ユーザーは、本サービスの利用又は本サービスの閲覧の前に、本サービス上で、プライバシーポリシーを必ず確認し、その内容に同意した上で、本サービスを利用するものとします。
3.ユーザーによる利用
ユーザーは、本サービスを通じて得た個人情報等に関しまして、本サービスの利用の範囲内においてのみ利用することができ、それ以外の利用はできないものとします。
4.利用の目的
弊社は、弊社が取得する個人情報等に関しまして、以下の各号に定める目的で利用することができるものとします。
(1)本サービスの提供で必要となってくる範囲での利用
(2)運営上に必要な事項の通知の際の利用
(3)品質管理及び利便性向上の為のアンケート調査及び分析での利用
(4)本サービスに対する問い合わせ対応の際の利用
(5)運営に関する事柄についての連絡又は追加対応の際の利用
(6)本サービス運営上の不正利用や、その他のトラブル解決の際の利用
(7)システムの維持又は不具合の改善の際の利用
(8)その他プライバシーポリシーに定める目的
5.第三者への預託又は提供
弊社は、法令に基づく場合又は以下に定める場合を除き、個人情報等を第三者に預託又は提供する場合は、事前にユーザーの同意を得ることなしにしません。
(1)弊社が定めている期間内で、コンテンツ、利用履歴及びプロフィール情報を本サービス上において公開する場合
(2)商品代金を回収する為に必要な場合
(3)合併や、その他の事由による事業の承継に伴って事業を承継する者に対して個人情報を提供する場合
(4)ユーザー間又は第三者とのトラブルを解決するために、弊社が開示を必要と判断した場合
(5)その他プライバシーポリシーに定める場合
6.弊社の免責
個人情報等を前項に基づき第三者に預託又は提供したことによるユーザーの損害について、弊社は一切責任を負わないものとします。ユーザーは、本条の内容を十分に認識した上で、本サービスを利用する必要するものとします。
7.ユーザーによる訂正等の請求
弊社は、ユーザーが本サービスに入力した個人情報等について、関連法規に従い、事実確認を行った上で、訂正、削除又は利用停止等の適切な措置を講じます。
第7条の概要
第7条では、個人情報の取扱いについて規定しています。
内容としては、プライバシーポリシーと重複する部分があり、両者の関連性について必ずしも明らかとなっていません。
一般的なウェブサービスの利用規約では、利用規約における個人情報の取扱いは、プライバシーポリシーのほうに規定し、利用規約とプライバシーポリシーは完全に分割することがほとんどです。
しかしながら、メルカリではそのような対処をしていないため、利用規約とプライバシーポリシーの内容が重複している部分もあります。
特に、第4項(利用目的)と第5項(第三者提供)については、プライバシーポリシーにも規定があります。
第1項のプライバシーポリシーとは?
「プライバシーポリシー」の定義については、すでに第2条で触れているとおり、定義になっていません。
また、第1項でプライバシーポリシーへのリンクがないため、ここでいうプライバシーポリシーが何を意味するのかも、あいまいになっています。
もっとも、この規定の解釈については、個人情報の保護の観点から、個人情報の本人(=ユーザー)とっては有利に解釈され、個人情報取扱事業者であるメルカリにとっては不利に解釈されるものと思われます。
個人情報の「預託」?
第5項では、第三者に対する個人情報の預託と提供について規定されています。
後者の提供は、いわゆる「第三者提供」のことと思われますが、前者の「預託」という表現の定義が、必ずしも明らかとなっていません。
個人情報保護法には「委託」という用語が使われていますが、この「預託」は、「委託」とは違うニュアンスなのかもしれません。
ただ、本項やプライバシーポリシーでの「取得情報の第三者への開示について」では、明らかに個人情報保護法での「委託」に該当するような内容も規定されています。
なお、この預託が実質的に「委託」に該当する場合、メルカリ側には、個人情報保護法第22条にもとづき、委託先を監督する義務があります。
個人情報保護法第22条(委託先の監督)
個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
第6項の免責条項は無効?
第6項は、個人情報の第三者への預託や提供に関するメルカリ側の免責について規定されています。
すでに触れたとおり、「預託」については、実質的には、個人情報保護法の「委託」に該当する可能性があります。
この場合、メルカリには、すでに触れた委託先の監督義務があります。
このため、「預託」が実質的に委託である場合に、「預託」したことによるユーザーの損害について、メルカリ側が「一切責任を負わないものとします。」という規定は、個人情報の保護の観点から、また、消費者契約法第10条により、無効であると思われます。
ポイント
- 「プライバシーポリシー」の定義が明らかではない。
- 個人情報について「預託」という表現をしているが、実質的には個人情報保護法の「委託」である可能性がある。
- 「預託」が「委託」である場合は、個人情報保護法や消費者契約法第10条により、メルカリを免責する内容は無効となる。
第8条 禁止事項
第8条 禁止事項の条文
第8条 禁止事項
弊社は、本サービスに接したユーザー及び第三者の、ガイドの禁止されている行為に記載された行為に該当すると弊社が判断する行為(以下「禁止事項」といいます)を禁止します。当該禁止事項は、弊社により適宜追加修正される場合がありますので、ユーザーは、サービスの利用にあたり、常に最新の内容を確認する義務を負うものとします。
第8条の概要
第8条は、文字どおり禁止事項について規定したものです。
禁止事項の詳細については、禁止されている行為 – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリに記載されています。
禁止事項は多岐にわたり、非常に制約が多いため、実際に出品する際には、よく確認してから出品するべきです。
第8条のポイント
メルカリの禁止事項は意外と多い。特に出品にあたっては、よく確認するべき。
第9条 商品の出品
第9条 商品の出品の条文
第9条 商品の出品
1.出品手続等
出品者は、弊社所定の手続に従い商品の出品を行うものとします。出品者は、本規約に加え、弊社が定める加盟店規約に同意をしたうえで、加盟店規約の定めに従って本サービスを利用するものとします。
弊社は、ガイド記載の特定の出品方法について、基準を設け、審査を行い、出品者が基準に合致しない場合には、当該出品方法の利用を制限することができます。
2.出品禁止商品
出品者はガイドの禁止されている出品物(以下「出品禁止物」といいます)に記載された商品の出品ができないことについて予め了承します。出品禁止物に該当する商品を出品した場合は、出品者の故意又は過失に関わらず、本規約違反行為とみなします。
3.商品説明等
ユーザーは、出品する際に、真に売却する意思のない出品、その商品情報だけでは正しく商品を理解できない又は混乱する可能性のある出品、商品説明で十分な説明を行わない出品等を行ってはなりません。また、出品者は、出品する商品と関係のない画像等を当該出品情報として掲載してはいけません。
4.法令遵守
ユーザーは、出品にあたっては、古物営業法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、不正競争防止法、商標法、著作権法その他の法令を遵守しなければなりません。
5.特定ユーザーへの販売を意図した出品
ユーザーは、他の特定のユーザーのみを対象とする販売を意図して商品を出品することができません。弊社は、その裁量により、出品の条件その他の状況から、ある商品の出品が他の特定のユーザーのみを対象とする販売を意図するものであるか否かを判断することができ、かかる判断によってユーザーに生じる損害について、一切責任を負わないものとします。
6.出品に関する本規約違反
出品に関して弊社が本規約又は加盟店規約に違反すると判断した場合又は不適切と判断した場合、弊社は、第5条に定める措置のほか、その出品やその出品に対して発生していた購入行為等を弊社の判断で取り消すことができるものとします。本項に基づく措置によってユーザーに生じる損害について、弊社は一切責任を負わないものとします。
7.弊社の免責
ユーザーの出品等によって、ユーザー及び第三者に生じる損害につき、弊社は一切責任を負わないものとします。
第9条の概要
第9条は、商品の出品に関する一般的な内容を規定しています。
本条での内容は、概略的なものであり、出品の詳細については、加盟店規約(なぜかフッターからのリンクがありません)に規定されています。
このため、出品者としては、本条は当然のことながら、加盟店規約やガイドについても、よく確認する必要があります。
第5項により専用・指名・指定は不可
第5項では、特定のユーザーへの販売が禁止されています。
これにより、いわゆる「専用」の出品や、購入者の指名・指定はできません。
なお、これに違反して、専用の出品をした場合や、購入者の指名・指定をした場合、第6項その他の規定により、売買契約が取り消される可能性もあります。
もっとも、メルカリはプラットフォーマーに過ぎませんので、すでに完了している売買契約までは取消すことはできないものと思われます。
ただし、メルカリは、売買契約が完了した後であっても、利用規約違反でアカウントの停止や利用制限はできます。
第9条のポイント
- 出品にあたっては、別途加盟店規約の参照も必要。
- いわゆる「専用」の出品は利用規約違反。
第10条 商品の購入
第10条 商品の購入の条文
第10条 商品の購入
1.購入手続
ユーザーは、弊社の定める手続により購入の意思をもって、注文を行うものとします。
2.購入意思等
ユーザーは、購入する意思のない注文、転売等の営利を目的とした商品の購入等、また弊社の判断でいたずら目的と見受けられる注文を行うことはできません。
3.必要データ
弊社が定める取引開始可能な時間内に、弊社の管理するサーバーに商品代金に関するデータ、販売意思のアクションデータなどの弊社所定のデータの到達が確認できなかった場合、注文は無効になるものとし、ユーザーはあらかじめこれを承諾するものとします。
4.自らの出品物の購入禁止等
出品者は、自らの出品物を購入することはできません。出品を取り下げたい場合は、ユーザーは、弊社所定の手続に従って行うものとします。
5.弊社の免責
ユーザーの注文又は購入等によって、ユーザー及び第三者に生じる損害につき、弊社は一切責任を負わないものとします。
第10条の概要
第10条は、商品の購入について規定しています。
内容としては、一般的な内容であり、特にユーザーにとって問題となるものはありません。
ただし、第2項において、「転売等の営利を目的とした商品の購入等」が禁止されている点は注意が必要です。
第10条のポイント
営利目的の商品の購入は利用規約違反。
第11条 支払及び取引の実行
第11条 支払及び取引の実行の条文
第11条 支払及び取引の実行
1.売買契約の成立
購入者が出品された特定の商品の購入完了手続をした時をもって当該商品の売買契約が成立するものとします。出品者及び購入者は、売買契約に基づき発生した権利・義務を第三者に譲渡、担保提供その他の処分することはできないものとします。
2.支払期限及び送料
売買契約が成立した場合、購入者は、弊社の定める方法により商品代金と利用料の合計額を支払うものとします。商品の送料は、出品者が負担する場合には、商品代金に含むものとし、購入者が負担する場合には、商品の発送を着払いで行うものとします。
3.発送
出品者は、購入者の商品代金の決済が完了した後に商品の発送をするものとします。
4.商品等に関するトラブル
出品者、購入者の間で商品等に関してトラブル発生した場合は当該ユーザー間で解決するものとします。ただし、弊社の判断により、弊社も協議に入ることができるものとします。
5.キャンセル及び商品の瑕疵
本サービスの利用にあたり、出品者、購入者間の同意がある場合を除き、出品後、及び商品の注文後のキャンセルはできないものとします。
商品に瑕疵がある場合、商品説明と実際の商品が明らかに異なる場合、梱包の不備により配送時に商品が破損したなどの場合は出品者が責任を負うものとし、出品者の責任及び費用により、返金、商品の引取、修理又は交換等の対応を行うものとします。
6.支払手続
(1)支払又は決済が本サービスに関して必要となる場合、本サービスのオンラインシステムを通じて行われるものとし、その詳細は本サービス中のガイドで定められるところに従うものとします。なお、本サービス利用に関し、ユーザーによって支払われた代金決済についての領収書等は発行されないものとします。また、支払いに必要な振込手数料その他の費用についてのユーザーの負担は、本サービス中のガイドで定められるところに従うものとします。
(2)出品者は、弊社に対して、購入者から支払われる商品代金(決済事業者または収納代行業者から支払われる商品代金に相当する金員を含みます。)を代理受領する権限を付与するものとします。出品者は、弊社が決済事業者および収納代行業者を指定した場合には、当該決済事業者および収納代行業者に対して、商品代金を代理受領する権限を付与するものとします。また、弊社は、地域を限定して決済事業者および収納代行業者を指定することができるものとします。さらに、出品者は、弊社が決済事業者又は収納代行業者との間で締結する決済サービスに関する加盟店契約により必要となる場合には、商品代金債権を弊社に譲渡することに同意します。
(3)弊社は、弊社所定の審査を通過したユーザーが、商品購入に際して希望する場合において、出品者に対して立替払いを行い、商品代金の決済を行うことがあります(以下「立替払決済」という。)。この場合、当該購入者は、購入手続きが完了した日の属する月の翌月末日(以下「支払期日」という。)までにガイドに定められた方法で商品代金及び利用料(以下「支払債務」という。)を弊社に対して支払うものとします。
7.不払・支払遅延等
(1)ユーザーが本規約に従って必要な支払いを行わない場合もしくは遅延した場合又は本サービスに入力したクレジットカードもしくは金融機関の口座の利用が停止された場合には、弊社は、当該ユーザーに通知することなく、当該ユーザーによる本サービスの利用を停止することができるほか、第5条に定める措置をとることができるものとします。
(2)弊社所定の審査を通過した購入者が、前項第3号に規定する支払期日までに支払債務を弁済することができなかった場合、弊社は当該ユーザーに対する立替払決済の提供を停止することができるものとします。
(3)未払いの支払債務が存在している場合、弊社は、未払いの支払債務の回収を第三者に委託することができるものとします。
(4)支払期日までに購入者が支払債務を支払わなかった場合、弊社は、当該購入者に対し、年率14.6%の遅延損害金を請求することができるものとします。
8.売買契約の取消
売買契約が成立した場合においても、購入者が商品代金及び利用料の合計額を支払わない場合もしくは支払いを遅延した場合、出品者が商品を発送しない場合、その他弊社が必要と認める場合には、弊社は、当該売買契約を取り消すことができるものとします。かかる売買契約の取消しその他の事由により弊社が必要と認める場合には、ユーザーは、弊社の指示に従い、商品の所有権を無償で弊社に譲渡するものとします。
9.弊社の免責
ユーザーが本サービスに入力した決済手段又は金融機関の情報が第三者に利用されたこともしくは入力情報の内容が不正確であったこと又は弊社が本条に基づく措置を行ったこともくしは行わなかったことによってユーザーに生じた損害に関して、弊社は一切責任を負わないものとします。
第11条の概要
第11条は、売買契約の内容や履行について規定しています。
本来、売買契約の内容や履行については、プラットフォーマーであるメルカリが決めるべきことではなく、出品者と購入者との間で、直接決めるべきことです。
このため、本条の規定が、法的に有効かどうかは、必ずしも明らかではありません。
なお、第6条以降の決済代行に関する規定は、出品者・購入者両者にとって、非常に重要な規定です。
第6項の支払手続について
ユーザー・メルカリ双方にとって重要な決裁に関する規定
第6項では、支払手続について規定しています。
本項は、ユーザーにとっては、当然、重要な規定です。
他方で、メルカリにとっても、資金決済法上の資金移動業に該当しないかどうかという点で、非常に重要な規定です。
支払いの具体的な手続きについては、支払い方法のよくある質問 – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ等に記載があります。
メルカリはあくまで「代理受領」をするだけ
第6項第2号に規定されているとおり、メルカリは、「購入者から支払われる商品代金(途中省略)を代理受領する権限」が付与されているに過ぎません。
つまり、メルカリは、出品者の代理人として、購入者から商品代金を受領しているだけです。
この商品代金は、購入者による代金の支払債務の履行がなされるまでの間は購入者のものであり、この支払債務の履行がなされた後は出品者のものです。
よって、どのタイミングであっても、商品代金は、出品者の代理人に過ぎないメルカリの所有にはなりません。
この部分以降の箇所については、(銀行や資金移動業者以外の)他の決済事業者や収納代行業者(クレジットカード会社・コンビニ・運送業者など)により、メルカリに入金される場合のことを規定しており、ユーザーにとっては、さほど重要な内容ではありません。
第7項の遅延損害金について
利用料に発生する遅延損害金であれば問題ないが…
第7項第4号では、購入者による支払いの遅れがあった場合、遅延損害金が発生する旨が規定されています。
この規定では、なぜか商品代金の受領を代理するだけのメルカリが、購入者に対し、遅延損害金を請求できることになっています。
もっとも、「支払債務」がメルカリに発生する利用料を意味するにであれば、特に問題はありません。
また、「支払債務」が商品代金の支払いの債務を意味する場合は、発生した遅延損害金をメルカリが出品者に対し支払うのであれば、これも(民事上は)問題ありません。
ただ、このような、メルカリが出品者に代わって請求した遅延損害金を出品者に支払うような規定は、この利用規約にはありません。
メルカリによる商品代金についての遅延損害金の請求は消費者契約法違反
仮に、商品代金の全額についてメルカリに遅延損害金が発生するような趣旨の規定であるとしても、商品代金の支払債務は、そもそも出品者の商品代金の支払債権にもとづくものです。
このため、利用規約でメルカリに発生するとされる遅延損害金は、商品代金を代理受領するだけのメルカリには発生しない損害賠償請求となります。
こうした、本来は発生しない損害賠償請求に関する条項は、消費者契約法第9条第1号により、無効になる可能性があります。
消費者契約法第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
(1)当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
(2)(省略)
ちなみに、第7項の「支払債務を支払わなかった場合」という表現についてですが、「支払債務を支払う」というのは、表現としては不適切です。
正確には、支払債務を弁済しなかった場合」となります。
第8項により「商品の所有権」が無償でメルカリに譲渡される?
メルカリが売買契約を取消すのは第1条と矛盾する
第8項では、購入者による代金の支払いの遅延や、出品者による商品の発送の遅延などの、売買契約における、いわゆる債務不履行が発生した場合について規定しています。
この場合、売買契約の当事者である購入者・出品者ではなく、なぜか売買契約の当事者ではないメルカリが売買契約を取消すことができる規定になっています。
これは、第1条第1項の「弊社は売買契約の取り消し、…など取引の遂行には一切関与しません。」の規定と矛盾しています。
「商品の所有権を無償で弊社に譲渡する」条件が不明
なお、売買契約の取消し等があった場合、ユーザー(購入者・出品者のいずれも)は、メルカリに対し、商品の所有権を無償で譲渡しなければならない内容となっています。
この無償での商品の所有権の譲渡の条件は、「かかる売買契約の取消しその他の事由により弊社が必要と認める場合」となっていますが、これでは、どのような条件のもとで所有権の譲渡があるのか、不明です。
おそらく、購入者・出品者の片方のみが債務を履行し、もう片方が債務の履行をしない場合を想定してると思われます。
所有権が無償で譲渡される条件
- 出品者が商品の発送をしたものの、購入者が商品代金を支払わない場合=商品の所有権を購入者(または出品者)からメルカリに移転させ、支払いが済むまで所有権を留保する。
- 購入者が商品代金を支払ったものの、出品者が商品を発送しない場合=商品の所有権を出品者からメルカリに移転させ、商品を購入に発送する(出品者に発送させる)。
この場合、理論上は上記のような構成となりますが、実効性があるかどうかは、甚だ疑問です。
第11条のポイント
- 第11条は売買契約の内容について規定されているが、本来は、これはユーザー間で決めるべき内容。
- メルカリが購入者から商品代金を受け取るのは、あくまで出品者の「代理受領」にすぎない。
- その「代理受領」するメルカリが、なぜか購入者に対し、商品代金の支払いに関する遅延損害金が請求できる。ただし、これは消費者契約法第10条に違反し、無効となる。
第12条 ユーザーの評価
第12条 ユーザーの評価の条文
第12条 ユーザーの評価
1.出品者の評価
購入者は、届いた商品をすみやかに確認し、弊社所定の方式に従い出品者を評価するものとします。
2.購入者の評価
購入者が出品者を評価した後、弊社所定の方式に従い出品者は購入者を評価するものとします。
第12条の概要
第12条は、ユーザーによる出品者・購入者に対する評価について規定しています。
それぞれ、「評価するものとします。」となっているため、ユーザーによる評価は、義務です。
なお、ユーザーによる相互の評価が終了した後で、出品者の売上が反映されます。
参考:商品代金はいつ売上に反映される? – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ
ポイント
- ユーザーの相互評価が終わると出品者の売上が反映される。
第13条 利用料等及び売上申請
第13条 利用料等及び売上申請の条文
第13条 利用料等及び売上申請
1.利用料等
出品者は、弊社に対し、出品した商品の売買契約が成立した場合、本サービスの利用料として、売買契約が成立した商品の販売価格に弊社が別途ガイドにおいて定める料率を乗じた金額を支払うものとします。商品ごとの利用料の金額は、出品者が販売価格を設定する際に表示されます(ただし、第15条第3項に規定する場合、又は弊社が別途定める場合には、当初表示された金額から調整されることがあります。)。
本サービスの利用料は、商品代金から差し引く方法により徴収されるものとし、出品者は、弊社が商品代金から本サービスの利用料を差し引く方法により徴収することにつき、予め同意するものとします。また、出品者は、弊社が別途ガイドにおいて定める配送方法を自らが選択した場合には、当該配送に係る配送業者への支払いを弊社に委託し、弊社がその支払額と同額を商品代金から差し引く形で徴収することにつき、予め同意するものとします。
2.引出申請
(1)出品者は、出品した商品の売買契約が成立し、当該売買契約に関する支払及び商品の発送ならびに出品者及び購入者による相互の評価が行われ取引が完了した場合、当該取引完了時から180日以内に当該商品の商品代金の引出申請を行うものとします。なお、商品代金の引出申請に当たっては、弊社所定の本人確認を求めることがあり、確認が終了するまでは、引出しを留保させていただくことがあります。弊社が商品代金の引出申請を求めたにもかかわらず、出品者が当該取引完了時から180日を経過しても、当該商品の商品代金の引出申請を行わなかった場合には、弊社は、速やかに、当該出品者が登録した金融機関の口座に、当該商品代金を含むその時点でユーザーが保有する売上金の全額を振り込む方法により支払います(ガイドに定める振込手数料が差し引かれます)。なお、本項に基づき、弊社が振込手続を行ったにもかかわらず、弊社の責めに帰すべき事由なく振り込みが正常に完了しない場合には、弊社は、当該出品者が、当該商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができるものとします。
(2)弊社所定の審査を通過した購入者が、弊社の立替払決済を利用して商品を購入し、支払期日までに支払いがなされなかった場合で、かつ、購入者が過去に出品した商品について、商品代金引出申請がなされていない商品代金が存在する場合、当該商品代金は、支払期日の翌日をもって、支払債務(利用料及び遅延損害金を含む。以下同じ。)と対当額で自動相殺により精算されるものとします。また、支払期日以降に支払債務が残っている場合には、購入者が過去に出品した商品又は将来出品する商品の取引が支払期日以降に成立し購入者が商品代金を得たときも、同様に、当該商品代金は直ちに支払債務と対当額で自動相殺により精算されるものとします。
(3)弊社所定の審査を通過した購入者が、弊社の立替払決済を利用して商品を購入し、支払期日までに支払いがなされず(銀行口座振替以外を支払い方法として選択していた場合に限る)、銀行口座振替を支払い方法の一つとして登録している場合であって、かつ、当該銀行口座に預金残高が存在する場合には、弊社は、支払期日の翌日以降、支払方法を当該銀行口座からの銀行口座振替の方法に自動的に変更することにより、未払いの支払債務の弁済を受けることができるものとします。また、支払期日以降に支払債務が残っている場合には、当該銀行口座に新たに入金がなされたときも、同様に、弊社は当該預金残高について、銀行口座振替の方法により、直ちに未払いの支払債務の弁済を受けることができるものとします。
第13条の概要
第13条は、サービスの利用料と出品者による売上の引出しについて規定しています。
第1項については、一般的な内容であり、特にユーザーにとっては不利な内容というわけではありません。
問題は、第2項(特に第1号)です。
第2項第1号には、ユーザーにとって著しく不利な内容が規定されているため、特に注意が必要です。
第13条第2項第1号に規定されているユーザー・メルカリの権利義務は?
第13条第2項第1号の4つの構成要素は?
第13条第2項第1号は、4つの文章から構成され、しかも一つ一つが非常に長く、様々な要素があるため、まずは概要を見てみましょう。
第13条第2項第1号の概要
- 第1文:出品者は、取引完了時から180日以内に、商品代金の引出申請をする(出品者の義務)。
- 第2文:メルカリは、本人確認を求めることがあり、引出しを留保できる(メルカリの権利)。
- 第3文:メルカリは、取引完了時から180日以内に、出品者が商品代金の引出申請をしなかった場合は、出品者が登録した金融機関の口座に、ユーザーが保有する売上金の全額を振り込む方法により支払う(メルカリの義務)。
- 第4文:メルカリは、出品者への振込手続を行ったにもかかわらず、振り込みが正常に完了しない場合は、出品者が商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができる(メルカリの権利)。
では、それぞれについて、詳しく見てみましょう。
第1文:出品者は取引完了時から180日以内に商品代金を引出す義務がある
第13条第2項第1号の第1文の3つの問題点は?
第1文では、出品者の義務として、取引完了時から180日以内に、商品代金の引出申請をしなければならない旨が規定されています。
ここで問題となるのが、以下の点です。
第13条第2項第1号の第1文の問題点
- 180日の起算点となる取引完了時の定義がない。
- 引出申請を行う義務が規定されているものの、その後の規定がない。
- そもそもメルカリは出品者に対し直ちに商品代金を支払うべきでは?
これについても、それぞれ詳しく見てみましょう。
「取引完了時」の定義は?
1点目の問題点は、「取引完了時」の定義がない、という点です。第1文は、次の規定です。
第13条 利用料等及び売上申請の条文
第13条 利用料等及び売上申請
1.(省略)
2.引出申請
(1)出品者は、出品した商品の売買契約が成立し、当該売買契約に関する支払及び商品の発送ならびに出品者及び購入者による相互の評価が行われ取引が完了した場合、当該取引完了時から180日以内に当該商品の商品代金の引出申請を行うものとします。(以下省略)
ここで、初めて「取引完了時」という用語が出てきますが、その定義は、必ずしも明らかではありません。
通常、このような、期間の算定の起算点については、明確に定義づけるべきですが、この利用規約ではそのようになっていません。
これでは、180日を経過したのかどうかを巡って、ユーザーとメルカリとの間で解釈の違いが発生し、トラブルになります。
なお、直前の記載の「相互の評価が行われ取引が完了した」時点を「取引完了時」とするのであれば、「相互の評価が行われ」ない限り、180日はカウントされないことになります。
この点について、売上・振込申請についてのよくある質問 – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリでは、商品代金が売上に反映されるのが、「お互い評価し取引完了した後」であり、振込申請期限は、現行の利用規約では「売上金を取得した日から180日間」となっています。
引出申請の後の規定がない
2点目の問題点は、出品者からの引出申請があった後のメルカリの支払い義務や支払期限の規定がないことです。
実は、この点は、ガイド(振込スケジュール – メルカリ スマホでかんたん フリマアプリ)には記載があります。
しかしながら、金銭の支払いに関する条項は、契約条項としては、ある意味では最も重要な規定であり、資金決済法との関係でも重要な規定でもあります。
こうした条項が、ユーザーとの合意が必要な利用規約ではなく、メルカリ側が一方的に変更できるガイドで規定するというのは、契約の手続き上、問題があるといわざるを得ません。
なぜメルカリは180日もお金を預かるのか?
3つ目の問題点は、そもそも、メルカリは180日も商品代金を預かるのではなく、本来は、出品者に対し、直ちに支払うべきではないか、という点です。
この利用規約の第11条第6項では、メルカリは、あくまで商品代金を「代理受領」することになっています。
これは、メルカリと出品者との間で、一種の(準)委任契約が成立していると解釈できます。
この場合、メルカリは、民法上、出品者がいちいち引出申請をしなくても、金銭を支払う義務があります。
民法第646条(受任者による受取物の引渡し等)
1 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 (省略)
引用元:民法 | e-Gov法令検索
この民法の規定では、引渡しの時期については言及されていません。
ただ、民法第646条の趣旨は、「委任事務を処理するに当たって受け取った金銭」が委任者(=出品者)のものであり、受任者(=メルカリ)のものではない、ということです。
このため、出品者からの引出申請や、取引完了時から180日の期間を待つまでもなく、メルカリは、出品者に対し、直ちに商品代金を支払うべきものと思われます。
もっとも、民法第646条は、いわゆる任意規定とも解釈できますので、この利用規約の規定が優先されることも考えられます。
【意味・定義】任意規定とは?
任意規定とは、ある法律の規定に関して、契約当事者による合意がある場合に、その合意のほうが優先される法律の規定をいう。
ただし、任意規定だったとしても、消費者であるユーザーにとって不利な条項は、消費者契約法第10条に違反し、無効となります。
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
(※上記の「法令中の公の秩序に関しない規定」が任意規定のことです。)
また、メルカリは銀行や資金移動業者ではありませんので、そもそも他人の金銭を長期間預かること自体、銀行法や資金決済法に抵触する可能性もあります。
第2文:メルカリによる本人確認と引出しの留保ができる
第2文では、メルカリの一種の権利として、商品代金の引出申請に当たり、メルカリが(出品者に対し)本人確認をする場合があることが規定されています。
また、同様に、メルカリの一種の権利として、本人確認が「終了するまでは、引出しを留保させていただくこと」があることが規定されています。
ポイントは、あくまで(出品者からの)「引出し」を留保するのであって、メルカリによる「支払い」を留保するとは規定していない、という点です。
これが、後の第3文に影響してきます。
蛇足ですが、なぜかこの部分だけ、「させていただく」という表現が出てきます。
第3文:取引完了時から180日経過後にはメルカリは商品代金を支払う義務がある
第3文は、メルカリの義務として、速やかに商品代金を支払う旨が規定されています。
これには、次の3つの前提条件があります。
メルカリによる支払いの前提条件
- メルカリが出品者に対し「商品代金の引出申請を求めた」こと。
- 「取引完了時から180日を経過」したこと。
- この期間内に「商品代金の引出申請を行わなかった」こと。
この3つの条件が満たされた場合、メルカリは、「速やかに、当該出品者が登録した金融機関の口座に、当該商品代金を含むその時点でユーザーが保有する売上金の全額を振り込む方法により支払います。」となっています。
この文脈では、この規定は、メルカリによる義務と解釈できます。
すでに触れたとおり、民法第646条により、メルカリは、当然に、出品者に対し、売上金を支払う義務があります。
仮に、この利用規約が優先されるとしても、メルカリは、最終的には、「取引完了時」(その定義は明らかではありませんが)から180日経過後、速やかに、出品者に対し、商品代金を支払う義務があります。
なお、第2文で触れたとおり、本人確認が終了しないことにより、メルカリが留保できるのは、「引出し」であって、メルカリによる「支払い」が留保できるとは規定されていません。
第4文:メルカリが「商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができる」
いわゆる「売上金の失効」の前提条件は?
第4文は、銀行振込が正常に完了しない場合における、商品代金の支払請求権が放棄される旨が規定されています。
重要な部分ですから、該当箇所を抜粋します。
第13条 利用料等及び売上申請の条文
第13条 利用料等及び売上申請
2.引出申請
(1)(途中省略)なお、本項に基づき、弊社が振込手続を行ったにもかかわらず、弊社の責めに帰すべき事由なく振り込みが正常に完了しない場合には、弊社は、当該出品者が、当該商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができるものとします。
(以下省略)
まず、この規定が発動する前提条件は、次のとおりです。
商品代金の支払請求権が放棄される前提条件
- メルカリが「振込手続を行った」こと。
- メルカリの責任によらず「振り込みが正常に完了しない」こと。
これらの条件を満たした場合に限り、メルカリは、「出品者が、当該商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができる」となっています。
条件がこれらしかないということは、銀行のシステムトラブルで入金がされなかったとしても、出品者の売上金が失効してしまいます。
さらにいえば、出品者に特に過失や責任がなくても、売上金が失効する、ということです(これは消費者契約法第10条違反で無効となります)。
逆に、メルカリが振込手続を行っていないのであれば、「商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすこと」はできません。
「商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができる」とは?
さて、この「商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができる」という規定ですが、法的には、どのような理論構成としているのか、必ずしも明らかではありません。
考えられる理論構成は、次のとおりです。
商品代金請求権のみなし放棄の理論構成
- 出品者による債権放棄(+取得時効)
- 一種の損害の賠償額の予定・違約金
- (本来であれば10年の)時効の短縮
- 売上金の譲渡(寄付)
ただ、これらは、1点目、2点目、4点目については消費者契約法第10条、3点目については消費者契約法第9条第1号により、無効になる可能性があります。
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
消費者契約法第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
(1)当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
(2)(省略)
ただし、これは、ユーザーが消費者である場合に限ります。
「銀行口座振替の方法に自動的に変更すること」はできる?
第2項第3号では、購入者が立替払決済を利用して商品を購入し、支払期日までに支払いをしなかった場合に、銀行口座振替による支払いに自動的に変更されて支払われる旨が規定されています。
通常、銀行口座振替には、引き落とされる側(本号では購入者)による書面またはWEBでの手続きが必須です。
本号のように、「自動的に」銀行口座振替に変更される規定が有効かどうかは、必ずしも明らかではありません。
また、銀行への手続き上も、自動的に銀行口座振替に変更できるのかどうかも、必ずしも明らかではありません。
第13条のポイント
- 出品者は、取引完了時から180日以内に、商品代金の引出申請をしなければならない。
- メルカリは、出品者からの引出申請に際し、本人確認を求めることがあり、引出しを留保できる。しかし、メルカリによる商品代金の支払いを留保できるわけではない。
- メルカリは、取引完了時から180日以内に、出品者が商品代金の引出申請をしなかった場合は、出品者が登録した金融機関の口座に、ユーザーが保有する売上金の全額を振り込む方法により支払う。
- メルカリは、出品者への振込手続を行ったにもかかわらず、振り込みが正常に完了しない場合は、出品者の責任の有無に関係なく、出品者が商品代金相当額の支払請求権を放棄したとみなすことができる。ただし、これは消費者契約法第10条に違反し、無効となる。
- メルカリが出品者の売上金・商品代金を失効させ、または「没収」する法的根拠はない。
第14条 ポイントの取扱い
第14条 ポイントの取扱いの条文
第14条 ポイントの取扱い
1.有償ポイントの取得及び商品購入時における利用
ユーザーは、クレジットカード決済、銀行口座振替、本項に定める方法その他弊社の定める方法によりポイント(以下「有償ポイント」といいます)を購入し、本サービスにおける商品購入に際して1有償ポイント=1円相当額として利用できるものとします。その他、有償ポイントの内容および利用条件については、別途定める特約等に定めるとおりとし、本利用規約の内容と特約の内容が異なる場合には、特約の定めが優先して適用されるものとします。
2.無償ポイントの取得及び商品購入時における利用
ユーザーは、本サービスにおける各種キャンペーンへの参加その他弊社が別途指定する行為を行った場合、ポイント(以下「無償ポイント」といいます)を取得し、本サービスにおける商品購入に際して1無償ポイント=1円相当額として利用できるものとします。ただし、無償ポイントの取得単位その他の取得条件または無償ポイントの利用条件は、弊社が定め本サービスにおいて表示するところに従うものとします。
ユーザーが無償ポイントを取得し、これを本サービスにおいて商品購入に利用した場合には、弊社は、商品代金のうち利用された無償ポイントの金額相当分を購入者に代わって、第13条第2項に従い、出品者に支払うものとします。この支払は、前項の行為及び商品購入を通じて、本サービスの運営・発展にご協力頂いた対価として行われるものです。
3.ポイントの交換等
ユーザーは、ポイント(有償ポイント及び無償ポイントをいいます。以下本条において同じ。)を弊社が指定する本サービスにおける商品購入以外の、現金、財物その他の経済的利益と交換することはできません。また、弊社は、理由のいかんを問わず、一切ポイントの払い戻しをいたしません。ただし、法令上必要な場合はこの限りではありません。この場合、ポイントの払い戻し方法は、法令に従って弊社が定め、弊社のウェブサイト等に表示するところに従うものとします。
4.ポイントの有効期限
ユーザーは、有償ポイントの発行を受けた日から365日間のみ有償ポイントを利用することができます。ユーザーは、無償ポイントを獲得した日から180日間もしくは付与前に別途弊社が定めた日数の期間中にのみ無償ポイントを利用することができます。有効期限を過ぎた未使用のポイントは消滅し、その後利用することはできません。
また、ポイントの有効期限の起算点は、キャンセル等によりポイントが返還された場合等を含めて、いずれの場合も当該ポイントを当初取得した日とします。
5.ユーザーの退会・会員資格消滅の場合
理由のいかんを問わず、ユーザーが退会した場合又はユーザーの会員資格が消滅した場合には、当該ユーザーが保有するポイントは全て失効し、以後利用することはできないものとします。
第14条の概要
第14条は、ポイントについて規定しています。
有償ポイントは資金決済法のいわゆる「前払式支払手段」該当するものとして、無償ポイントは「前払式決済手段」には該当しないように規定しています。
本条そのものは、有償・無償のポイントの規定としては、ごく一般的なものです。
ユーザーとしては、第4項の有効期限に注意するべきですが、他には特に注意するべき点はありません。
なお、有償ポイントについては、メルカリ利用規約・有償ポイントに関する特約が適用されますので、そちらにも注意が必要です。
第15条 クーポンの取扱い
第15条 クーポンの取扱いの条文
第15条 クーポンの取扱い
1.クーポンの取得
ユーザーは、本サービスにおける各種キャンペーン参加、その他弊社が本サービスにおいて指定する方法により、クーポンを取得することができます。クーポンの取得条件は、弊社が定め本サービスにおいて表示するところに従うものとします。
2. クーポンの利用
ユーザーは自らが保有しているクーポンを本サービスにおいて商品購入に利用できるものとします。ただし、弊社が別途本サービスにおいて利用条件を表示した場合には、当該表示に従うものとします。
3. クーポンが利用された場合の取扱い
クーポンが商品購入に利用された場合には、当該商品の出品者は、販売価格から、利用されたクーポンの金額相当分を減額(値引き)した金額を、当該商品の商品代金とすることに予め同意するものとします。かかる場合には、弊社は、利用されたクーポンの金額相当分を、利用料(商品の販売価格に弊社が別途ガイドにおいて定める料率を乗じた金額)から減額するものとします。
4. クーポンの交換等
ユーザーは、クーポンを弊社が指定する本サービスにおける商品購入以外の、現金、財物その他の経済的利益と交換することはできません。また、弊社は、理由のいかんを問わず、一切クーポンの払い戻しをいたしません。ただし、法令上必要な場合はこの限りではありません。この場合、クーポンの払い戻し方法は、法令に従って弊社が定め、弊社のウェブサイト等に表示するところに従うものとします。
5. クーポンの有効期限
ユーザーは、クーポンを獲得した日から180日間もしくは付与前に別途弊社が定めた日数の期間中にのみ利用することができます。有効期限を過ぎた未使用のクーポンは消滅し、その後利用することはできません。
また、クーポンの有効期限の起算点は、キャンセル等によりクーポンが返還された場合等を含めて、いずれの場合も当該クーポンを当初取得した日とします。
6.ユーザーの退会・会員資格消滅の場合
理由のいかんを問わず、ユーザーが退会した場合又はユーザーの会員資格が消滅した場合には、当該ユーザーが保有するクーポンは全て失効し、以後利用することはできないものとします。
第15条の概要
第15条は、ポイントについて規定しています。
本条そのものは、クーポンの規定としては、ごく一般的なものです。
ユーザーとしては、第5項の有効期限に注意するべきですが、他には特に注意するべき点はありません。
第16条 弊社による商品の出品・販売等
第16条 弊社による商品の出品・販売等の条文
第16条 弊社による商品の出品・販売等
1.弊社は、本サービスにおいて、商品の出品・販売を行う場合があります。なお、その場合も、本サービスがユーザー間の物品の売買の場・機会を提供するオンラインフリーマーケットサービスであるとの性質には何ら影響を及ぼしません。
2.弊社が出品した商品を購入者が購入した場合であっても、システムトラブル、欠品、配送事故、又はその他の事情により、商品を納品できない場合があります。その場合、弊社は、弊社の裁量により、当該商品にかかる購入者との売買契約を解除することができるものとし、購入者への返金その他の弊社が適切と認める措置をとるものとします。
3.弊社が出品した商品を購入した購入者は、商品に瑕疵がある場合又は品違いの場合を除き、売買のキャンセル・商品の返品を行うことはできないものとします。
4.弊社が出品した商品を購入した購入者は、商品に瑕疵がある場合又は品違いの場合は、弊社所定の期間内に、弊社所定の方法により弊社に連絡するものとします。この場合には、購入者は、商品の返送等につき弊社の指示に従うものとし、弊社は、返金・商品交換その他の弊社が適切と認める措置をとることができるものとします。
5.購入者は、弊社が出品した商品を購入した場合、本規約に従い、商品代金の支払いその他の購入者が行うべきとされている行為を行うものとします。但し、弊社が本サービスにおいて商品の出品・販売を行う場合には、本規約の第10条第5項、第12条及び第13条の規定、並びに、弊社が必要に応じて別途指定する規定は適用されないものとします。
第16条の概要
第16条では、メルカリが出品者となり、購入者と直接売買をする場合に適用される規定です。
通常、プラットフォーマーとユーザーが直接取引をする場合は、別途適用される特別な利用規約を規定するものですが、メルカリでは、そのような方法ではなく、プラットフォームの利用規約に規定しています。
そのこと自体が問題というわけではありません。
ただ、比較的シンプルな売買契約の契約条項とはいえ、たった5項しかないというのは、不十分と言わざるを得ません。
第17条 弊社による商品の配送
第17条 弊社による商品の配送の条文
第17条 弊社による商品の配送
1.弊社が本サービスにおいて商品の販売を行う場合、弊社は、自ら又は配送業者を通じて、購入者に商品を配送します。購入者は、弊社又は弊社から委託を受けた配送業者が、商品配送のため、夜間を含め、電話等にて購入者に日時の確認その他の連絡を行う場合があることを承諾します。
2.購入者は、商品の配送時に商品配送先住所に不在の場合、当該配送時に配布する不在票に従って、配送日から弊社又は配送業者所定の日数以内に、再配送日時を指定するものとします。前記の期間内に再配送日の指定がない場合、もしくは再配送日時に不在の場合、又は、購入者の受取拒否、所在不明その他の事由により商品の引渡しが困難な場合には、弊社は、その裁量により、購入者との売買契約を解除することができるものとし、その他弊社が適切と認める措置をとることができるものとします。
3.前項に定める場合において、弊社は、売買契約の解除又は前項に基づく措置により購入者又は第三者に生じた損害に関して、一切責任を負わないものとします。前項に定める場合において、弊社が損害を被った場合には、購入者は当該損害を賠償するものとします。
第17条の概要
第17条は、見出しは「配送」となっていますが、実質的には、いわゆる「受領遅滞」(弊所運営の外部サイトにリンクしています)の規定です。
一般的な配送や受領遅滞の規定では、第1項や第2項の前段については、特に規定することはありません。
もっとも、これは企業間取引の契約の場合であり、一般消費者のユーザーが多いことから、メルカリ側としては、特に規定したものと思われます。
ユーザーとしては、第3項により、メルカリから直接商品を購入する場合、受け取りを拒否すると、損害賠償責任が発生する可能性がある、という点は注意するべきです。
第18条 他のサービスへの遷移
第18条 他のサービスへの遷移の条文
第18条 他のサービスへの遷移
1.外部サービスへの遷移
ユーザーが本サービスを利用するにあたり、本サービスから、弊社グループ又は第三者が運営する他のサービス(以下「外部サービス」といいます)に遷移する場合があります。ユーザーは、予めこれに同意するものとし、本規約及び外部サービスの利用規約等を遵守して、本サービス及び外部サービスを利用するものとします。
2.外部サービスの利用規約等
外部サービスへの遷移後に本サービスの利用を継続したユーザーは、外部サービスの利用規約等に同意したものとみなします。弊社は、外部サービスについて何等の保証を行わないものとし、ユーザー及び第三者が外部サービスを利用することにより生じる損害について、一切責任を負わないものとします。
第18条の概要
第18条では、外部サービスに遷移した場合の利用規約の取扱いについて規定されています。
第1項は、当然の内容であり、ユーザーにとって、特に問題となる点はありません。
第2項では、「外部サービスへの遷移後に本サービスの利用を継続したユーザーは、外部サービスの利用規約等に同意したものとみな」す内容となっています。
これでは、外部サービスの利用規約等に直接同意していないにもかかわらず、外部サービスの利用規約等に同意したことにされてしまいます。
このような規定は、いわゆる「約款」への同意の手続きとしては、無効となるものと思われます。
第18条のポイント
「外部サービス」への遷移後にメルカリの利用を継続したユーザーは、なぜか外部サービスの利用規約等に同意したものとみなされる。ただし、これは約款への同意手続としては無効となる可能性が高い。
第19条 本サービスの中断・終了及び変更
第19条 本サービスの中断・終了及び変更の条文
第19条 本サービスの中断・終了及び変更
1.本サービスの中断
弊社は、以下の各号のいずれかに該当する場合には、ユーザーに事前に通知することなく一時的に本サービスの全部又は一部を中断する事ができるものとします。その際、ユーザーに損害が発生した場合であっても、弊社は一切の責任を負わないものとします。
(1)サーバー、通信回線、その他の設備の故障、障害の発生又はその他の理由により本サービスの提供ができなくなった場合
(2)システム(サーバー、通信回線や電源、それらを収容する建築物などを含む)の保守、点検、修理、変更を定期的に又は緊急に行う場合
(3)火災、停電等により本サービスの提供ができなくなった場合
(4)地震、噴火、洪水、津波等の天災により本サービスの提供ができなくなった場合
(5)戦争、変乱、暴動、騒乱、労働争議等その他不可抗力により本サービスの提供ができなくなった場合
(6)法令又はこれに基づく措置により本サービスの提供ができなくなった場合
(7)その他、運用上又は技術上弊社が本サービスの一時的な中断を必要と判断した場合
2.本サービスの終了及び変更
弊社は、任意の理由により、ユーザーへの事前通知をすることなく、いつでも本サービスの全部又は一部を終了及び変更できるものとします。
弊社は、前項の本サービスの終了及び変更による損害について、ユーザー及び第三者に対して一切責任を負わないものとします。
第19条の概要
第19条では、サービスの中断・終了・変更について規定されています。
内容は、一般的なウェブサービスの利用規約と同様のものです。
ユーザーとしては、サービスが突然終わるリスクも考慮しておく必要があります。
第20条 知的財産権及びコンテンツ
第20条 知的財産権及びコンテンツの条文
第20条 知的財産権及びコンテンツ
1.知的財産権等の帰属
本サービスを構成するすべての素材に関する権利は、弊社又は当該権利を有する第三者に帰属しています。ユーザーは、本サービスのすべての素材に関して、一切の権利を取得することはないものとし、権利者の許可なく、所有権、著作権を含む一切の知的財産権、肖像権、パブリシティー権等、コンテンツ素材に関する権利を侵害する一切の行為をしてはならないものとします。本規約に基づく本サービスの利用の許諾は、本サービスに関する弊社又は当該権利を有する第三者の権利の使用許諾を意味するものではありません。
2.弊社による利用
>出品者により投稿された出品物の写真、動画、情報等に関しては、本サービスの宣伝、運営、研究開発及び発表等を目的として、弊社及び弊社の指定する者が自由に利用できるものとします。
3.コンテンツに関する責任
ユーザー等がサービスに関連して発信又は掲載したコンテンツに関する一切の責任は、当該ユーザー等が負うものとし、弊社は、その内容、品質、正確性、信憑性、適法性、最新性、有用性等について、確認いたしません。また、弊社は、それらに関して、一切保証せず、一切責任を負わないものとします。
4.コンテンツの内容等
ユーザー等は、他のユーザー等が発信又は掲載するコンテンツに対して、その内容、品質、正確性、信憑性、適法性、最新性、有用性等を、ユーザー等ご自身で判断する必要があります。弊社は、ユーザー等及び第三者が弊社のコンテンツを利用することにより生じる損害について、一切責任を負わないものとします。
5.バックアップ
弊社はコンテンツのバックアップを行う義務を負わないものとします。ユーザーは、コンテンツのバックアップが必要な場合には、自己の費用と責任でこれを行うものとします。
6.コンテンツの変更及び削除
弊社は、ユーザーが本規約に違反又は本規約の精神に照らして不適切な行為を行ったと弊社が判断した場合、当該ユーザーが掲載したあらゆるコンテンツを、事前の通知なしに変更及び削除できるものとします。
第20条の概要
第20条では、知的財産権の取扱いについて規定しています。
内容は、一般的なウェブサービスの利用規約と同様のものです。
ユーザーとしては、出品者として投稿した知的財産・コンテンツについては、メルカリ自身だけでなく、第三者も利用できる点に注意が必要です(第2項)。
また、投稿した知的財産・コンテンツについては、ユーザーが責任を負わなければなりません(第3項)。
特に、著作権の侵害については、十分注意してください。
第20条のポイント
- 投稿した知的財産・コンテンツは、メルカリだけでなく、第三者も利用できてしまう。
- 投稿した知的財産・コンテンツについては、ユーザーが責任を負うことになる。
第21条 ユーザーの責任及び接続環境等
第21条 ユーザーの責任及び接続環境等の条文
第21条 ユーザーの責任及び接続環境等
1. 必要な機器の準備等
本サービスの提供を受けるために必要な、コンピューター、スマートフォンその他の機器、ソフトウェア、通信回線その他の通信環境等は、ユーザーの費用と責任において準備し維持するものとします。また、その機器・ソフトウェア・通信環境等の設置や操作についても、ユーザーの費用と責任で行って頂く必要があります。弊社は、本サービスがあらゆる機器等に適合することを保証するものではなく、機器等の準備、設置、操作に関し、一切関与せず、ユーザーに対するサポートも行いません。
2.ネットワークの経由等
ユーザーは、本サービスを利用する際に、種々のネットワークを経由する場合があることを理解し、接続しているネットワークや機器等によっては、それらに接続したり、それらを通過するために、データや信号等の内容が変更される可能性があることを理解したうえで、本サービスを利用するものとし、かかる変更について弊社は一切責任を負わないものとします。
3.手続の成立
ユーザーがインターネット回線を通じて行う本サービスへの入力、出品、購入、退会、その他の手続は、弊社のサーバーに当該手続に関するデータが送信され、弊社のシステムに当該手続の内容が反映された時点をもって有効に成立するものとします。
4.トラブルの解決
本サービスに関連してユーザー間又はユーザーと第三者間で発生したトラブル(本サービスを将来利用するという前提の下で起こったトラブルを含む。)に関して、ユーザーは各自の費用及び責任で解決するものとし、弊社は一切の責任を負わないものとします。トラブルが生じた際には、当事者間で解決するものとし、当該トラブルにより弊社が損害を被った場合は、当事者は連帯して当該損害を賠償するものとします。
5.第三者との紛争解決
ユーザーと第三者との間で、本サービスに関連して、裁判やクレーム、請求等あらゆるトラブルを含む紛争が生じた場合、ユーザー各自の責任や費用で解決するものとし、弊社は、当該紛争に関し、一切関与しません。ユーザーは、当該紛争の対応のために弊社に生じた弁護士費用を含むあらゆる費用及び賠償金等を、連帯して賠償するものとします。
6.費用の負担
弊社とユーザー間で紛争が生じた場合、当該紛争に関連して弊社に発生した弁護士費用を含むあらゆる費用を、当該ユーザーは連帯して負担することに同意するものとします。
第21条の概要
第21条は、サービスの利用環境とユーザーの責任について規定しています。
第1項~第3項のサービスの利用環境の内容と、第3項~第6項のユーザーの責任の内容は、まったく別物であるため、別々の条項に分けるものです。
ただ、なぜかこの利用規約では、同一の条項となっています。
内容としては前半のサービスの利用環境も後半のユーザーの責任も、一般的なウェブサービスの利用規約と同様のものです。
第22条 非保証及び免責
第22条 非保証及び免責の条文
第22条 非保証及び免責
1.内容等に関する非保証
弊社は、本サービスの内容・品質・水準、本サービスの安定的な提供、本サービスの利用に伴う結果等については、一切保証しません。
2.弊社の免責
本サービス提供における、不正確、不適切、不明瞭な内容、表現、行為等により、ユーザー及び第三者に対して損害が生じた場合、故意・過失の有無にかかわらず、弊社は、当該損害について一切責任を負わないものとします。
3.アドバイス等の非保証
弊社は、ユーザー等に対して、適宜情報提供やアドバイスを行うことがありますが、それらに対して責任を負うものではありません。また、そのアドバイスや情報提供の正確性や有用性を保証しません。
4.コンピュータウィルス等に関する非保証
本サービスに関連するコンテンツの中に、コンピュータウィルス等有害なものが含まれていないことに関しまして、一切保証しません。本サービスに関連するコンテンツの中に、コンピュータウィルス等有害なものが含まれていたことにより生じた損害について、ユーザー及び第三者に対して弊社は一切責任を負わないものとします。
5.機器等に関する免責
ユーザーが利用した機器・通信回線・ソフトウェア等によりユーザー又は第三者に生じた損害に関しまして、弊社は一切責任を負わないものとします。
6.通信障害等に関する免責
本サービスへのアクセス不能、ユーザーのコンピュータにおける障害、エラー、バグの発生等、及び、本サービスに関連するコンピュータ、システム、通信回線等の障害に関しまして、弊社は一切責任を負わないものとします。
7.他のウェブサイトに関する免責
ユーザーが書き込んだ他のウェブサイト等へのURLにより、そのリンク先で生じた損害に関して、弊社は一切責任を負わないものとします。
第22条の概要
第22条は、メルカリによる各種保証がないことや、免責について規定しています。
内容としては、一般的なウェブサービスの利用規約と同様のものです。
ただし、こうした事業者の側を一方的に免責する規定は、消費者契約法第10条により、無効になる可能性があります。
消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
ただし、これは、ユーザーが消費者である場合に限ります。
第23条 損害賠償
第23条 損害賠償の条文
第23条 損害賠償
1.ユーザーの責任及び弊社の免責
ユーザーが本規約に違反した場合、故意過失を問わず、当該ユーザーが、当該違反により損害を受けたユーザー及び第三者に対する損害賠償責任を含む、一切の責任を負うものとします。ユーザーがかかる違反行為を行ったことにより、弊社が損害を被った場合は、当事者は連帯して当該損害を賠償するものとします。
2.弊社の損害賠償責任
弊社は、弊社による本サービスの提供の停止、終了又は変更、ユーザー登録の取消、コンテンツの削除又は消失、本サービスの利用によるデータの消失又は機器の故障等、その他本サービスに関連してユーザーが被った損害につき、賠償する責任を一切負わないものとします。なお、消費者契約法の適用その他の理由により、本項その他弊社の損害賠償責任を免責する規定にかかわらず弊社がユーザーに対して損害賠償責任を負う場合においても、弊社の責任は、弊社の過失(重過失を除きます。)による債務不履行又は不法行為によりユーザーに生じた損害のうち現実に発生した直接かつ通常の損害に限り、かつ、当該ユーザーから受領した代金の累積総額を上限とします。
第23条の概要
損害賠償責任がユーザーには発生しメルカリには発生しない
第23条は、ユーザー・メルカリの損害賠償責任について規定しています。
第1項は、ユーザーの責任について規定していますが、内容としては、一般的なウェブサービスの利用規約と同様のものです。
第2項は、メルカリの責任について規定しています。
これまでの免責の規定と同様に、「本サービスに関連してユーザーが被った損害につき、賠償する責任を一切負わない」となっています。
問題は、消費者契約法が適用される場合であっても、メルカリ側の責任について、上限を設定している点です。
【意味・定義】サルベージ条項とは?
このように、消費者契約法をはじめとした法律により無効となる条項について、範囲を設定したり、上限を設定する条項を「サルベージ条項」といいます。
ある条項が強行法規に反し全部無効となる場合に、その条項の効力を強行法規によって無効とされない範囲に限定する趣旨の条項をサルベージ条項という。
引用元: 消費者契約法専門調査会報告書 平成29年8月p.12
本来、事業者側を一方的に免責する規定は、消費者契約法第10条(=強行規定)に違反することとなり、無効となります。
ただ、この利用規約のように、事業者側としては、自らの責任の範囲を明確にし、法律によって無効とまではならない範囲に責任を限定することがあります。
サルベージ条項は必ずしも有効とは限らない
このサルベージ条項は、消費者契約法専門調査会報告書 平成29年8月でも触れられているとおり、消費者側としては、非常に問題が多いものとして、批判されているものです。
特に、多くの消費者団体は、このサルベージ条項について、無効とするべきであるという意見を表明しています。
他方、多くの事業者団体は、サルベージ条項の無効化については、反対の意見を表明しています。
なお、サルベージ条項の有効性そのものについては、判例がないため(少なくとも弊所では把握していません)、必ずしも有効となる、または無効となるとはいえません。
第23条のポイント
- 損害賠償責任は、メルカリには発生せず、ユーザーにだけ発生する。
- サルベージ条項=消費者契約法が適用される場合であっても、メルカリの責任を制限する条項は、有効となるとは限らない。
第24条 一般条項
第24条 一般条項の条文
第24条 一般条項
(1)本サービスに関する弊社からユーザーへの通知・連絡は、弊社が運営するウェブサイト又はアプリケーション内の適宜の場所への掲示その他、弊社が適当と判断する方法により行なうものとします。弊社は、個々のユーザーに通知及び連絡をする必要があると判断した際、ユーザー情報の電子メールアドレス、住所又は電話番号に対し、メッセージング機能、電子メール、郵便又は電話等を用いて通知及び連絡を行うことがあります。
弊社からの通知及び連絡が不着であったり遅延したりといったことによって生じる損害について、弊社は一切の責任を負いません。
(2)ユーザーが弊社に通知、連絡又は問い合わせをする必要が生じた場合、本サービスのお問い合わせフォームを利用するものとし、電話や来訪を行うことはできないものとします。弊社は、かかる連絡又は問い合わせがあった場合、弊社が定める方法により、ユーザーの本人確認を行うことができるものとします。また、問合せに対する回答方法に関しては、弊社が適切と考える回答方法を利用することができるものとし、その回答方法をユーザーが決めることはできないものとします。
2.譲渡禁止
ユーザーは、弊社の書面による事前の承諾なく、本規約に基づく契約上の地位又は本規約に基づく権利もしくは義務につき、第三者に対し、譲渡、移転、担保設定、貸与、その他の処分をすることはできません。
3.事業譲渡
弊社が本サービスに係る事業を第三者に譲渡する場合(事業譲渡、会社分割その他本サービスが移転する一切の場合を含む。)には、当該事業の譲渡に伴い、ユーザーの本規約に基づく契約上の地位、本規約に基づく権利・義務及びユーザー登録に伴い登録された情報その他の情報を、弊社は当該事業の譲受人に譲渡することができるものとし、ユーザーは、かかる譲渡につき予め承諾するものとします。
4.分離可能性
本規約のいずれかの条項又はその一部が、消費者契約法その他の法令等により無効と判断された場合であっても、本規約の残りの規定及び一部が無効と判断された規定の残りの部分は、継続して有効に存続し、当該無効とされた条項又はその一部を、有効とするために必要な範囲で修正し、最大限、当該無効とされた条項又はその一部の趣旨及び法律的経済的に同等の効果が確保されるよう解釈されるものとします。
5.定めのない事項等
本規約に定めのない事項又は本規約の解釈に疑義が生じた場合には、ユーザーは、弊社の定めるところに従うものとします。これにより解決しない場合には、弊社及びユーザーは、信義誠実の原則に従って協議の上速やかに解決を図るものとします。
6.言語
本規約は、日本語を正文とします。本規約につき、参考のために英語による翻訳文が作成された場合でも、日本語の正文のみが契約としての効力を有するものとし、英訳はいかなる効力も有しないものとします。
7.準拠法及び裁判管轄
本規約は、日本法に基づき解釈されるものとし、ユーザーと弊社の間で生じた紛争については、その内容に応じて東京簡易裁判所又は東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
第24条の概要
第24条は、どの契約においても規定される、いわゆる「一般条項」について規定しています。
内容としては、一般的なウェブサービスの利用規約と同様のものです。
なお、第1項第2号について、ユーザーによる電話での問い合わせができないことになっていますが、この点は、特定商取引法や個人情報保護法において、問題となる可能性があります。
また、専属的合意管轄裁判所が東京簡裁または東京地裁となっているため、東京以外に在住のユーザーにとっては、注意が必要です。
第24条のポイント
- 電話による問い合わせを受付けないのは、電話番号の記載義務がある特定商取引法の趣旨に反している。
- 専属的合意管轄裁判所が東京簡裁または東京地裁となっている。