このページでは、契約の当事者向けに、確認書の法的効力・法的効果・法的拘束力や取り交わし・締結について、解説しています。

確認書とは、文字どおり、何らかの事実や合意内容を確認する書面です。

確認書は、実際の契約実務の現場では、それこそ何らかの「確認」のために、意外に多く使われる書面でもあります。

実は、確認書は、契約書とほとんど同じ法的効力があり、安易に確認書にサインすると、してもいない確認をしたことにされるリスクがあります。

このページでは、こうした確認書の定義や法的効力・法的拘束力や取り交わし方について、開業22年・400社以上の取引実績がある行政書士が、わかりやすく解説していきます。

このページでわかること
  • 確認書の定義。
  • 確認書の法的効力・法的効果・法定拘束力。
  • 「確認書の取り交わし」「確認書の締結」について。




確認書とは?

【意味・定義】確認書とは?

確認書とは、文字どおり、何かの確認事項を確認するための書面です。

ただこれだけの書面であれば、確認書には害はありません。

しかし、契約実務における確認書は、通常は、署名押印がなされたうえ、一方の当事者から、他方の当事者に提出されるものです。

【意味・定義】確認書とは?

確認書とは、なんらかの事項を確認したことを証する書面であって、一般的な契約実務においては、一方の当事者が、署名押印のうえ、他方の当事者に対し、一方的に差入れるものをいう。

このように、署名押印があるという点と、一方的に差入れる点が、確認書のリスクといえます。

契約書と確認書の違い

確認書は、厳密には(契約の成立を証する書面という意味での)契約書ではありません。

しかしながら、署名押印がされた確認書は、契約書と同程度または契約書に準じる法的効果があります。

このほか、契約書と確認書の違いは、次のとおりです。

契約書確認書
性質契約の成立を証する書面一方の当事者の認識を確認する書面
証拠能力極めて高い極めて高い
交付のしかた相互に交付一方の当事者から他方の当事者への一方的な交付・差し入れ
原本の所持者一般的には契約当事者がそれぞれ1部を所持一方の当事者だけが1部を所持

繰り返しになりますが、確認書は、署名押印があり、極めて証拠能力が高いにもかかわらず、一方の当事者がだけが原本を所持している、という点が、大きなリスクになります。





確認していなくても確認済みとみなされる

確認書は「確認したことにする」証拠のために使われる

確認書は、本来は、確認者に実際に確認を求めるために使われる書面です。

しかし、契約実務の実態としては、確認書は、確認者が「確認したことにする」ために使われることが多い書面です。

これは、確認者の立場とすれば、確認書にうっかりサインしてしまうと、ろくに確認もしていないのに「確認したこと」にされてしまいます。

特に、一般消費者として、事業者と取引する場合は、細心の注意を払う必要があります。

消費者の立場では重要事項説明に要注意

一部の消費者と事業者との契約では、法律によって、事業者の側に、一定の説明義務が課されている場合があります。

これは、いわゆる、「重要事項説明」のことです。

このような説明義務は、一般的には、事業者の側にとっては、不利な情報を開示する説明義務です。

このため、悪質な事業者は、あまり積極的には説明しようとしません。

「重要事項説明書」へのサインや押印は慎重に

しかも、事業者側は、契約書や様々な確認書にサインさせることにより、消費者が完全に契約内容や重要事項に納得したうえで契約をしたような形式にします(実際、いろいろな書類にサインを求められます)。

この際、確認書や重要事項説明書にサインしてしまうと、たとえ本当は何も理解できていなくても、理解しているとみなされます。

つまり、確認書は、事業者の説明責任を回避するための証拠として使用される側面もある、ということです。

このため、確認書に何の関心も持たず、漫然とサインしてしまうと、後々になって膨大な損害を被ったり、法律による保護をうけられなくなります。

ポイント
  • 確認書は、消費者が「確認したことにする」証拠を確保するために、事業者によって使われる。
  • 消費者の立場では、特に重要事項説明の際に求められる確認書へのサインに注意する。





確認書の「取り交わし」「締結」は誤用

このように、確認書は、確認を求められた当事者が、確認を求めた当事者に対し、一方的に交付するものです。

このため、確認書は、相互に取り交わすものではなく、いわゆる「差し入れ」形式の書面です。

その意味では、「確認書の取り交わし」という表現は、正確には誤用であると言えます。

また、同様に、「確認書の締結」も誤用です。

締結は、「契約の締結」のように、契約について使用される表現であるため、確認書には使いません。





理解できない書面にはサインしない

書面へのサインは「理解した」とされる

確認書や重要事項説明に限らず、書面へのサインは、その内容を理解したものとみなされます。

一度サインしてしまった書面について、「実は内容を理解せずにサインしたから無効だ!」と主張するのは、非常に難しいものです。

仮に消費者を保護する法律であっても、さすがに内容を確認・理解せずにサインした消費者を保護するようなことはありません。

例外として、書面に何らかの法的な規制があり、その規制に適合していない場合は、「無効」という主張はできます。

しかし、そうした特殊な事情がない限り、書面へのサインは、「理解した」とされてしまいます。

わからない書面にはサインしない

このような事情があるため、確認書に限らず、「よくわからない」「理解できない」書面には、サインをしないのが鉄則です。

また、契約内容や重要事項について、少しでも理解できない点がある場合は、必ず理解できるまで、業者に説明を求めることも重要です。

説明を拒否するような業者や、納得ができる説明ができないような業者とは、取引をするべきではありません。

さらに、業者の説明を鵜呑みにせずに、自分自身で調べることも重要です。

どうしても理解できない点があるのであれば、契約そのものを諦めることも視野に入れるべきです。

確認書は必ずコピーを取っておく

なお、すでに触れたとおり、確認書は、相手方に一方的に差入れる形式となっています。

これにより、確認書を相手方に差し入れてしまったら、内容を確認できなくなります。

そこで、確認書を差入れる前に、コピーを取っておくことをオススメします。

こうすることで、後で内容が確認できますし、相手方が一方的に改ざんすることも防げます。

ポイント
  • 書面へのサインがあると、「理解した」ことにされてしまう。
  • わからない・理解できない書面には、絶対にサインしない。
  • サインした確認書は、提出する前にコピーを取っておくことで、後日内容が確認でき、また、相手方による改ざんの防止にもなる。