契約書では、会社名や個人名などに、様のような敬称をつけるものでしょうか?また、その書き方はどのようなものですか?
一般的な契約書では、会社名や個人名などに敬称はつけません。ただし、注文書・注文請書等では、「様」「御中」などの敬称をつける場合もあります。

このページでは、契約書における契約当事者の敬称について解説しています。

一般的な契約書、特に企業間取引(BtoB)の契約書では、会社名や個人事業者の個人名などには、「様」、「御中」などの敬称は使いません。

ただし、消費者向けの契約(BtoC)の契約書や法定書面では、説明文などで敬称を記載することもあります。

いずれにせよ、法的には、契約書で敬称を使う意味はありません。

なお、注文書・注文請書、発注書・受注書のように、一方の当事者が他方の当事者に一方的に差し入れる形式の書面の場合は、「様」(個人向け)、「御中」(会社向け)等の敬称を使う場合もあります。




原則:契約書では敬称は書かない

契約書は事実関係を記載した書類に過ぎない

一般的な契約書では、企業名や個人名に対して、敬称は使いません。

契約書は、事実関係としての契約内容を記載した書類に過ぎません。

また、契約書の書き方としては、形式上は契約当事者は対等のものとして記載します。

このため、上下関係を表現することとなる敬称(「様」や「殿」の表記)をすることははありません。

ただし、一方の当事者が他方の当事者に一方的に差し入れる形式の書面(注文書・注文請書等)の場合は、慣例として、敬称を使う場合もあります(後述)。

契約書に敬称を記載すると「実務慣れ」していないことがバレる

もちろん、法的には、契約書に敬称を使ったとしても、なんら問題はありませんが、法的な意味も特にありません。

ただ、契約実務の慣例としては、すでに述べたように、敬称を使うことはありません。

にもかかわらず、契約書に敬称を使ってしまうと、契約実務に慣れていないことが相手方に知られてしまうこととなります。

この点からも、契約書に敬称を使うことは、避けるべきです。





例外1:一般消費者向けの契約書では説明文等で敬称を使う

なお、企業と一般消費者との契約(消費者契約)では、契約書の説明文や署名欄の案内等で、敬称を使うこともあります。

これは、トラブルやクレームの予防を目的としたものです。

一部の契約には、法律上、契約書や書面の作成が義務づけられている場合があります。

【改正民法対応】法律で作成義務がある契約書は?具体例や理由についても解説

この場合も、敬称の使用が義務づけられていることはありません。

このため、消費者契約における敬称も、特に法的には意味はありません。





例外2:注文書・注文請書、見積書等では敬称を使う場合もある

なお、一方の当事者が他方の当事者に一方的に差し入れる形式の書面の場合は、「様」(個人向け)、「御中」(会社向け)等の敬称を使う場合もあります。

典型的な例としては、注文書・注文請書や発注書・受注書が最も多いでしょう。また、契約書とは異なりますが、見積書なども同様です。

このような書面は、「差し入れる当事者」から「差し入れられる当事者」に対する書面であることから、前文などで差し入れられる当事者に敬称を付けます。

具体的には、個人=一般消費者や個人事業者(個人名)の場合は「様」、法人(商号)や個人事業者の場合は「御中」などの敬称を使います。





契約書における敬称の書き方に関するよくある質問

契約書では契約当事者の会社名や個人名に敬称をつけますか?
契約書は、事実関係を記載した書類ですので、契約当事者に敬称はつけません。ただし、注文書・注文請書等では、「様」「御中」などの敬称をつける場合もあります。
一般消費者向けの契約書では、個人名に敬称をつけますか?
一般消費者向けの契約書であっても、契約書そのものには、個人名に敬称はつけません。ただし、説明文や案内文には個人名に敬称をつける場合もあります。