こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約書を作成する目的・理由・メリットのうち、裁判の証拠になる点について解説します。

契約書は、裁判では証拠となります。

それも、契約書は単なる証拠ではなく、非常に強力で重要な証拠となります。

また、契約書は、証拠能力が高いために、いい加減な契約書は、”いい加減な証拠”となってしまいます。

このページでは、こうした契約書の証拠能力と作成する際の注意点について、解説します。

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裁判は客観的な証拠がすべて

裁判では契約書の記載が重要となる

裁判では、物的な証拠が非常に重要です。

特に日本の裁判制度では、証拠裁判主義(=証拠によって事実を認定すること)が採用されています(民事訴訟法第179条第247条参照)。

このため、裁判で自分に有利な判決を勝ち取ろうとした場合、自分にとって有利な証拠を出す必要があります。

民事訴訟法では、証人尋問・当事者尋問・鑑定・証書・検証の5つが証拠として認められますが、このうち、最も有効に機能するのが、証書=契約書に記載された”事実”です。

証拠は「客観的」でなければならない

裁判に提出する証拠は、客観的なものでなければなりません。

逆にいえば、主観的な証拠は、証拠能力としては、著しく低く評価されます。

裁判は、当事者の争いに見えるかもしれませんが、実際はそうではありません。

実際の裁判は、当事者が自分にとって都合がよく、かつ客観的な証拠を裁判官に提示する、一種のプレゼンのようなものです。

自由心証主義により裁判官を納得させられるかがポイント

このように、裁判では、第三者である裁判官をいかに納得させるかが重要となります。

日本の裁判では、最終的には、裁判官の心証によって、判決が下されます。これを、自由心証主義といいます。

民事訴訟法第247条(自由心証主義)

裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

第三者である裁判官としては、当事者の主観的な主張よりも、物的な証拠などのような、なるべく客観的な証拠を重視します。

ポイント

  • 裁判では、証書=契約書の記載が重要となる。
  • 裁判の証拠は、客観的でなければならない。
  • 裁判は、自由心証主義にもとづき判決が出されるため、いかに裁判官を納得させるかが重要となる。
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契約書が最も有効で便利な証拠である理由

法務部での契約書のチェックは裁判で勝つため・負けないため

このように、裁判では、客観的な証拠があって、はじめて有利な主張ができます。

このため、契約に関する裁判では、契約書にもとづく主張が重要となります。

ほとんどの大手企業が法務部を設置し、所属する社員が毎日契約書をチェックしているのも、裁判に勝つ、あるいは負けないようにするためです。

では、なぜそれほど契約書が重要であるのか、また、他の証拠ではダメなのかについて、解説します。

【理由1】客観的な証拠であるため

1つ目の理由は、契約書は、契約当事者がトラブルになる前、つまり過去に直接的に取交したものだからです(いわゆる「直接証拠」)。

ですから、少なくとも記載された表現について、過去に双方が合意していた客観的な証拠となります。

ただし、記載された契約条項の「解釈」については、主観的な主張になります。

このため、契約書を作成する際には、なるべく解釈について争いにならない書き方が重要となります。

【理由2】当事者の合意であるため

2つ目の理由は、契約書は、契約当事者の合意を記載したものだからです。

契約書は、契約当事者が一方的にする主張のような、主観的なものではありません。

「過去に合意した」という事実は、原則としては、覆すことができない、決定的な証拠となります。

例外として、錯誤、詐欺や強迫など、極めて特殊な事情がある場合は、契約書の内容を覆すことができます。

【理由3】改ざんが難しいため

3つ目の理由が、改ざんが難しいからです。

通常、企業間取引の契約書は、当事者の数だけ作成し、各当事者が、1部づつ保管するものです。

このため、自分が持っている契約書はいくらでも改ざんできますが、相手が持っている契約書までは改ざんできません。

こうした事情により、通常は、契約書が改ざんされることはなく、証拠として採用されやすい、という事情があります。

【理由4】簡単に用意できる証拠であるため

民事訴訟法での証拠は証人尋問・当事者尋問・鑑定・証書・検証の5つ

4つ目の理由は、他の証拠に比べて、契約書は、簡単に用意できるものだからです。

民事訴訟法では、証拠として、次の5つを規定しています。

民事訴訟法に規定する証拠

契約書は、このうちの証書に該当するものです。

契約書は簡単・確実に用意できる唯一の有力な証拠

一般的に、契約書を用意するのは非常に面倒なように思われます。

ところが、実は、契約書は、他の4つの証拠に比べると、簡単に、しかも確実に用意できる、唯一の有力な証拠です。

各種証拠の問題点

  • 証人尋問:証人が見つかるとは限らない。証人が自身にとって有利な証言をしてくれるとは限らない。
  • 当事者尋問:当事者の証言であるため、決定的な証拠とはならない。
  • 鑑定:鑑定対象があるとは限らない。鑑定結果が自身にとって有利とは限らない。
  • 証書:契約書等の事前に用意できるもの以外は、用意できるとは限らない。
  • 検証:検証対象があるとは限らない。検証結果が自身にとって有利とは限らない。

このような事情があるため、まともな企業は、契約書を作成することで、少しでも有利に裁判を戦えるように準備するのです。

ポイント

  • 大企業が法務部で契約書をチェックしているのは、裁判で勝つためであり、負けないため。
  • 契約書は、過去の当事者の合意=直接証拠であるため、客観性が高い。
  • 契約書は、当事者の一方的な主張ではなく、また、過去の合意であるため、覆すことがきない。
  • 契約書は、それぞれの当事者が1部づつ保管するため、改ざんができない。
  • 契約書は、他の証拠に比べると、簡単・確実に用意できる、(場合によっては自身にとって有利にできる)唯一の有力な証拠。
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単に契約書を用意すればいいわけではない

用意するのは「自身にとって有利な契約書」

では、契約書を用意すれば必ず裁判で有利になるかというと、そうではありません。

すでに触れたとおり、一般的には、日本の裁判では、契約書は、非常に証拠能力が高いとされています。

ただ、これは、あくまで「証拠能力が高い」というだけの話です。

自身にとって有利な契約書は、当然、裁判では、有利な証拠となります。

逆に、自身にとって不利な契約書は、不利な証拠となります。

不利な内容の契約書はないほうがマシ

つまり、契約書は、単に用意すればいいというものではありません。

裁判になった場合を見越して、より自身にとって有利な内容としなければならないのです。

不利な内容の契約書であれば、場合によっては、ないほうがマシなこともあります。

このため、契約書を作成する際は、常に「この契約書は自分にとって不利に機能するかもしれない」という危機感を持つ必要があります。

ポイント

  • 契約書は、自身にとっても有利でも不利でも証拠能力が高い諸刃の剣。
  • 用意するのは、自身にとって有利な契約書であり、不利な契約書ではない。
  • 自身にとって不利な契約書はないほうがマシ。