こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約書を作成する目的・理由・メリットのうち、取引先の要求に応えることについて、解説しています。

企業間取引では、よほど簡単な契約を除いて、契約書を作成するのは必須です。

そこで、どちらかの企業が契約書を作成することになります。

この際、意外と多いのが、相手方=取引先からの契約書の作成の要求です。

このページでは、こうした取引先からの契約書の作成の要求に潜む問題点について、解説しています。

スポンサードリンク

意外と多い取引先からの要求で作成する契約書

イレギュラーな契約書は作成を求められることがある

企業間の取引において、契約書を作成するきっかけとして、意外と多いのが、取引先からの契約書の作成や提示の要求です。

管理人の感覚では、自発的に契約書を作成する場合と、同じ程度の割合のように思われます。

こうした場合、通常は、事前に用意していない、イレギュラーな契約書の作成が求められます。

代表的なものは、新規事業に関する契約書や、業務提携契約の契約書などがあります。

もっとも、本来は事前に用意しておくべき本業の契約書であるにもかかわらず、取引先から要求されて、慌てて作成する場合もあります。

取引先が契約書の作成を求めてくる理由は?

さて、なぜ取引先が契約書の作成や提示を求めるのかといえば、具体的には、次のとおりです。

なぜ取引先が契約書の提示を求めてくるのか?

  • 【理由1】自社で作成したくないため
  • 【理由2】御社の本業の契約書であるため、
  • 【理由3】法律により契約書を作成する義務があるため
  • 【理由4】取引先の総務部や法務部の要求があるため
  • 【理由5】御社の交渉の出方を見極めるため
  • 【理由6】御社が企業として信頼できるかどうかを判断するため

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

[ad2]

【理由1】自社で作成したくないため

取引先が契約書の作成を求めてくるのは、単純に自社では用意したくないから、という場合がありあす。

契約書は、原則としては、どちらが作成してもかまいません。

契約書はどちらが用意するべきなのでしょうか?

企業の姿勢にもよりますが、本来は、契約書は、契約交渉の主導権を握りたい側が作成するものです。

このため、取引先が契約交渉の主導権を握りたい場合は、取引先が契約書を作成するはずです。

にもかかわらず、御社に契約書の作成を求めてくるというのは、単純に契約書作成の費用負担をしたくない、または取引先自身では契約書の作成ができない可能性があります。

こうした場合は、むしろ御社が契約交渉の主導権を握るチャンスであるともいえます。

ポイント

単に「自社で作成したくない」という理由であれば、むしろ契約交渉の主導権を握るチャンス。

スポンサードリンク

【理由2】御社の本業の契約であるため

本業の契約書はあって当たり前

御社の本業に関する取引であるにもかかわらず、契約書を作成していない場合は、取引先から契約書の作成を要求されることがあります。

これは、本体はあってはいけない理由です。

というのも、本業の契約書は、その御社にとって最も件数が多い契約の契約書ですので、よほど簡単な取引である場合を除いて、契約書があるのが当然です。

こうした本業の契約の場合は、取引先が作成するわけにもいきませんので、取引先としては、御社に作成を要求してきます。

契約書の作成を要求されるだけまだマシ

本業の契約書の作成を求められた場合、「面倒くさいなぁ…」と思いがちです。

ですが、契約書の作成を求められたというのは、まだ脈やチャンスがあるのであって、これはむしろマシなほうです。

企業間取引の際、本業の取引の契約なのに「契約書はありません」と言われると、取引先としては、(この会社はマズいんじゃないの?)と疑いを持ちます。

企業によっては、その時点で交渉を打ち切ってもおかしくありません。

それほど、企業間取引なのに、「本業の契約書がない」という状態は、異常事態といえます。

いい加減な契約書を提示してはいけない

こうした場合、インターネットで探した、いい加減な雛形の契約書をダウンロードして提示してはいけません。

こうした雛形は、検索のスキルが高い人が調べれば、どのサイトからダウンロードしたのか、たちどころにバレます。

ネットの雛形はすぐにバレる

インターネットにアップされている雛形は、検索のスキルが高い人がチェックすると、どのサイトからダウンロードしたのか、すぐに分かる。

また、そうでなくても、契約書のリーガルチェックをする過程で、いい加減な契約書であることが判明すると、取引に応じてくれなくなる可能性が高いです。

わざわざ本業の契約書の作成を要求するということは、取引先も本気でチェックするつもりということです。

このため、本業の契約書の作成を求められたときこそ、専門家のアドバイスを受けながらしっかりとした契約書を作成するべきです。

【補足】本業の契約書がない状態で取引をしてはいけない

なお、本業の取引の契約で「契約書はありません」と言ったにもかかわらず、契約書の作成を求めるのではなく、そのまま口頭で取引をしようとする取引先もいます。

こうした取引先とは、間違っても取引をしてはいけません。

繰り返しになりますが、企業間取引では、原則として契約書を作成するものです。

にもかかわらず、契約書を作成せずに取引を進めようとする取引先は、コンプライアンスの意識が低い、トラブルを想定していない、取引の詳細を決めるつもりがない、リスクを棚上げするなど、様々な問題があります。

目先の売上のために、こうした取引先と契約を結んでしまうと、将来、より大きな損失となるリスクがあります。

ポイント

  • 本業の契約書はあって当たり前。むしろないほうが「ありえない」。
  • 本業の契約書は、作成を要求されるだけまだマシ。本来であれば、契約交渉を打ち切れてもおかしくない。
  • 本業の契約書の作成を求められた場合、取引先は本気でチェックするつもりであるため、いい加減な契約書を提示してはいけない。
  • 本業の契約書がないのに取引しようとする取引先とは、契約を結んではいけない。
スポンサードリンク

【理由3】法律により契約書の作成義務があるため

契約書の作成義務があれば当然要求される

一部の法律では、契約書の作成が義務づけられている場合があります。

企業間取引の代表的な例としては、下請法第3条や、建設業法第19条などがあります。

こうした法律が適用される取引で、御社に契約書の作成義務がある場合は、本来は、取引先から要求されるまでもなく、契約書を作成しなければなりません。

にもかかわらず、契約書を作成していない、あるいは契約書がない場合は、取引先から契約書の作成を求められることがあります。

契約書作成の要求があればむしろ評価するべき

このように、法律にもとづいて契約書の作成を要求されると、「面倒くさい取引先だな…」と思いがちです。

もちろん、本当に面倒くさい取引であれば、交渉を打ち切ってもいいでしょう。

ただ、そうでない場合は、むしろ、法律にもとづいてフェアに契約交渉をしようとしている点を評価するべきです。

本当に面倒くさい相手というのは、御社が契約書作成の義務を果たしていないことを承知のうえで、黙って口頭での取引に応じるものです。

というのも、こういう取引先は、自社の側が法律で保護されて有利になることを知ったうえで口頭の取引に応じるからです。

ポイント

  • 契約書の作成義務があれば、当然、取引先からは契約書の作成を要求される。
  • わざわざ法律にもとづく契約書の作成を求めてくる取引先は、「面倒な取引先」ではなく、むしろフェアな交渉相手。
  • 法律にもとづく契約書の作成義務がある場合は、黙って口頭での契約に応じる取引先のほうが厄介。
スポンサードリンク

【理由4】取引先の総務部や法務部の要求があるため

素直に「契約書がない」ことを白状するのもあり?

取引先の総務部に法務機能がある場合や、法務部がある場合は、そうした部署から契約書の作成を求められる場合があります。

営業の担当者や、契約交渉の担当者、時には社長が、契約書について特に意識せずに取引を進めようとしても、こうした総務部・法務部からは、契約書の要求があります。

こうした場合、素直に「契約書はありません」と言ってしまうのもひとつの対処法です。

ただし、その場合は、取引先が契約書を作成するリスクもあります。

いい加減な契約書では取引先の総務部・法務部に手玉に取られる

また、御社が契約書を作成するのであれば、取引先の総務部・法務部とのやり取りを想定した契約書を作成する必要があります。

この場合、当然ながら、いい加減な契約書では交渉になりません。

それどころか、取引先の総務部・法務部によって、手玉に取られるリスクがあります。

このため、取引先に総務部・法務部があることが判明している場合は、より慎重に、しっかりと作り込んだ契約書を用意して対処する必要があります。

スポンサードリンク

【理由5】御社の交渉の出方を見極めるため

契約書を作らせれば企業の姿勢はわかる

取引先が、御社の交渉の出方を見極めるために、あえて契約書の作成を要求する場合があります。

これは、社長や法務部の契約交渉の経験が多く、巧みな(場合によっては老獪な)交渉ができる取引先にありがちな対応です。

こうした取引先は、御社から出てきた契約書とその間のやり取りを分析するだけで、ある程度の契約実務や対応の能力を見極めることがでいます。

このため、こうした理由で契約書の作成を求められたと感じた場合は、軽率に対応せずに、専門家とも相談しながら、慎重に対応するべきです。

経験豊富な法務部は契約書の作成の過程で何を見ているのか?

なお、こうした場合、経験豊富な法務部の担当者や、契約実務の専門家は、次のような点を見抜いています。

契約書の作成で見抜かれる部分

  • 契約書の質
  • ネット上の雛形を使っていないかどうか
  • 契約書の作成者の実務能力・経験
  • 外部の専門家がついているかどうか
  • 修正や契約交渉のやり取りの経験の程度

この他にも、細かな点をいろいろと確認しますが、おおまかには、これらの点をチェックしています。

契約実務の経験が浅い方にとっては、信じられないかもしれませんが、作成された契約書と修正・交渉のやり取りを見るだけで、この程度のことはある程度は分かります。

このため、取引先に(特に長い経験がある)法務部がある場合は、ヘタに誤魔化して対応しても、たちどころに本性が見抜かれてしまいます。

スポンサードリンク

【理由6】御社が信頼できるかを判断するため

【理由5】とも関連しますが、契約書の作成を要求し、相手方の出方を見るだけで、信頼できる企業かどうかの判断がつきます。

このため、取引先が御社に対して契約書の作成を要求するのは、御社が信頼できる企業かどうかを見極めようとしている可能性もあります。

もちろんこれは、取引先や取引先の外部の専門家・顧問等に、ある程度の契約実務の能力や経験がある者がいる前提の話です。

こうした理由で契約書の作成を要求された場合、まず小手先のテクニックや表面的な対応だけでは、誤魔化しきれるものではありません。

このため、【理由5】と同様に、軽率に対応せずに、専門家とも相談しながら、慎重に対応するべきです。

ポイント

取引先は、作成された契約書、契約書の出し方、交渉のやり取りなどから、御社が信頼できる企業かどうかを見極めている。