建設工事請負契約とは?

【意味・定義】建設工事とは?

建設工事とは、建設業法では、次のとおり規定されています。

建設業法第2条(定義)

1 この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。

(以下省略)

そして、この「別表第一」の上欄には、大小様々な29種類の建設工事が規定されています。

およそ、一般的にいうところの「工事」は、ほとんどこの中に含まれていて、どんなに小規模な工事であっても、たいては「建設工事」に該当します。

【意味・定義】建設工事請負契約とは?

請負契約は、民法では、以下のように規定されています。

民法第632条(請負)

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

従って、建設工事請負契約の定義は、次のとおりです。

建設工事請負契約の定義

建設工事請負契約とは、請負人(受託者)が何らかの建設工事を完成させること約束し、注文者(委託者)が、その建設工事の施工の対価として、報酬を支払うことを約束する契約をいう。

建設業法により作成義務がある建設工事請負契約書

建設業法第19条で書面作成義務が課されている

建設工事の請負については、建設業法で、次のとおり規定しています。

建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容)

1 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(1)工事内容

(2)請負代金の額

(3)工事着手の時期及び工事完成の時期

(4)請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法

(5)当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

(6)天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め

(7)価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

(8)工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め

(9)注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め

(10)注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期

(11)工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

(12)工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

(13)各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

(14)契約に関する紛争の解決方法

2(以下省略)

このように、建設業法では、書面の作成義務に加えて、作成するべき書面の詳細な事項まで規定されています。

建設業法第19条にある事項以外の重要な契約条項

建設業法第19条に規定する事項以外で、重要な契約条項は、次のとおりです。

建設業法第19条の事項以外で重要な契約条項

  • 契約形態
  • 所有権の移転の時期
  • 損害保険
  • 知的財産権の取扱い
  • 再委託・下請負
  • 秘密保持義務

【誤解1】「ウチは建設工事はやってない」

よくありがちですが、建設業法では書面=建設工事請負契約書の作成義務があることを建設業者のお客さまに話すと、次のような言葉が返ってきます。

「いや、ウチでは建設工事はやっていないんですよ」

これは、建設業の許可を取得していない会社のお客さまから、お聞きすることが多いです。

こうしたお客さまからお話を伺うと、どうも「建設工事」のことを、大規模な建物の建築工事や土木工事のことをイメージしているようなのです。

しかし、すでに触れたように、建設業法では、29種類の建設工事が定義づけられています。

建設工事のイメージ

  • 【間違ったイメージ】建設工事はゼネコンが施工しているような大規模な建築工事や土木工事
  • 【正しいイメージ】建設工事は建設業法第2条第1項・別表第一に規定する29種類の建設工事

建設業法で規定されている29種類に該当する工事は、どんなに小規模であっても、建設業法上は建設工事として扱われます。

【誤解2】「ウチは建設業の許可は取っていない」

建設業の許可がない=小規模な工事=契約書の作成義務はない?

同じく、建設業者のお客さまに建設工事請負契約書の作成義務について話すと、次のような言葉も返ってきます。

「ウチは建設業の許可が必要な工事はやってないんですよ」

これはどういうことかというと、建設工事の中には、建設業の許可が不要なもの(=軽微な工事)もあります。

具体的には、以下のものです。

建設業の許可が不要な軽微な工事

  • 建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
  • 建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

※「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの

※「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

こうしたお客さまは、建設工事請負契約書の作成義務があるのは、建設業の許可を受けている建設業者だけだと誤解されています。

建設業法第19条第1項の主語=建設工事の請負契約の当事者

これもありがちな誤解で、建設業法第19条第1項の主語は、次のとおりです。

建設業法第19条(建設工事の請負契約の内容)

1 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

(1)(以下省略)

この点について、建設業の許可を受けて建設業を営む者は建設業法では、「建設業者」とされています(建設業法第2条第3項)。

建設業法第19条第1項の主語が、「建設業者」となっておらず、「建設工事の請負契約の当事者」となっているということは、建設業の許可の取得の有無に関係なく、建設工事請負契約書の作成義務がある、ということです。

つまり、建設業の許可を取得していなくても、建設工事請負契約書の作成義務はあります。

建設工事請負契約書の作成義務のイメージ

  • 【間違ったイメージ】建設工事請負契約書の作成義務があるのは建設業の許可を受けた建設業者だけ
  • 【正しいイメージ】建設工事請負契約書の作成義務があるのは「建設工事の請負契約の当事者」
ポイント

  • 一般的な「工事」は、ほとんどが建設業法の「建設工事」に該当する。このため、工事の契約は、建設業法第19条にもとづき、建設工事請負契約書の作成義務がある。
  • 許可を受けた建設業者でなくても、建設業法第19条にもとづき、建設工事請負契約書の作成義務がある。