こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約書の書き方のうち、場所の書き方について解説しています。

場所の記載が必要な契約書では、主に、具体的な住所を記載することで、場所を特定します。

また、場所に関する規定では、必ずその場所への移動に要する費用にについても規定します。

このページでは、こうした場所の書き方について、解説します。

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場所は納入場所・業務実施場所で規定する

売買・請負等の契約では納入場所を規定する

場所が重要となる契約は、主に物品の引渡し=納入がある契約で重要となります。

一般的な例としては、売買契約や請負契約などにおける納入場所が該当します。

また、物品の引渡しがない契約であっても、作業の実施場所・債務の履行場所を規定することもあります。

例えば、建設工事請負契約や、何らかの作業の提供を受ける業務委託契約などが該当します。

納入場所は大きく分けて3種類

物品の納入がある契約の場合、納入場所は、大きく分けて、次のいずれかです。

納入場所の例

  • 発注者の指定する住所
  • 受注者の工場などの事業所
  • 発注者が指定する船舶・航空機・車両(トラック、トレーラー、タンクローリーなど)がいる場所

特に、国際取引では、国内取引とは違って、港や空港での引渡しとなることがほとんどです。

この場合、納入方法・所有権の移転・危険負担の移転・費用負担なども、条件(FOB、C&F、CIFなど)によって大きく違うため、注意が必要です。

場所は住所で記載する

場所は、一般的には、住所で規定します。

また、同じ住所や敷地内に複数の建物がある場合や大型の建物の場合、住所だけでなく、建物の特定や階数・部屋の場号や場所なども規定します。

この際、場所によっては、想像以上に納入の「作業」が大変になることもあります。

このため、特に大量の物品・製品の納入がある場合は、その「作業」にも着目して、報酬・料金・委託料を設定します。

納入場所・業務実施場所は下請法の三条書面の必須記載事項

なお、下請法が適用される企業間取引の契約の場合、納入場所は、いわゆる「三条書面」の必須記載事項です。

下請代金支払遅延等防止法第三条の書面の記載事項等に関する規則第1条

1 下請代金支払遅延等防止法(以下「法」という。)第三条の書面には、次に掲げる事項を明確に記載しなければならない。

(1)省略

(2)製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)をした日、下請事業者の給付(役務提供委託の場合は、提供される役務。以下同じ。)の内容並びにその給付を受領する期日(役務提供委託の場合は、下請事業者が委託を受けた役務を提供する期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間))及び場所

(以下省略)

このことは、「納入場所」は、事前に合意しておかないと、後で揉める要素となる契約条項である、ということを意味しています。

このため、下請法が適用される企業間取引の契約書には、必ず納入場所を記載します。

ポイント

  • 契約書において、場所は、納入場所・業務実施場所を特定するために規定する。
  • 売買・請負等の契約では、納入場所を規定する。
  • 場所は、住所で記載する。
  • 納入場所・業務実施場所は、下請法の三条書面の必須記載事項。
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場所に関係する費用負担を明記する

納入に関する費用負担は受注者の負担

物品の納入が伴う契約の場合、場所に加えて、その場所まで誰が運ぶのか、あるいは、その送料は誰が負担するのか、という点が問題となります。

この点について、一般的に、債務の弁済に要する費用は、債務者の負担となります。

民法第485条(弁済の費用)

弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。

このため、納入場所までは、債務者=受注者が、費用を負担して、納入しなければなりません。

もちろん、これはあくまで民法の原則であって、別の規定とすることもできます。

この場合は、契約書に、特約として「別段の意思表示」をしなければなりません。

人の移動がある契約条項でも費用負担について明記する

同様に、人の移動がある契約条項でも、場所とは別に、移動や滞在・宿泊に要する費用が問題となります。

人の移動については、物品の納入のように、明らかに債務者による債務の弁済とは言い切れないものもあります。

このため、契約書で、移動や滞在・宿泊の費用負担について、明記しておき、契約当事者間で誤解がないようにしておくべきです。

この際、単に移動や滞在・宿泊に要する費用の負担当事者だけを規定するのではなく、費用の内訳(使える交通機関・グレード・費用の上限など)も明記しておくべきです。

ポイント

  • 場所に関係する規定では、費用負担も併せて明記する。
  • 納入に関する費用負担は、民法の原則としては、受注者が負担する。
  • 人の移動がある契約条項でも、移動や滞在・宿泊に要する費用負担について明記する。