こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約書の書き方のうち、方法の書き方について解説しています。

契約条項の中には、何かの行為や行動の方法を規定することがあります。

こうした方法は、特に行為・行動そのものが契約当事者の義務となある契約では、非常に重要となることがあります。

このページでは、こうした行為・行動の方法について、解説します。

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行為・行動そのものが義務となる契約では重要

企業間取引での(準)委任契約では特に重要

契約のなかには、なんらかの行為・行動そのものが義務となる契約があります。

代表的な例としては、委任契約・準委任契約があります。

委任契約・準委任契約の定義

  • 「委任契約」とは、委任者が、受任者に対し、法律行為をすることを委託し、受任者がこれ受託する契約。(民法第643条)。
  • 「準委任契約」とは、委任者が、受任者に対し、法律行為でない事務をすることを委託し、受任者がこれ受託する契約(民法第653条)。

なお、法律行為とは、行為者が法律上の一定の効果を生じさせようと意図して意思の表示(=意思表示)をおこない、意図したとおりに結果が生じる行為のことです。

契約を結ぶことは、法律行為の典型的な例です。

(準)委任契約のように、なんらかの行為・行動の提供そのものが目的となる契約では、提供のしかたが重要となります。

特に、企業間取引での(準)委任契約では、特に重要です。

コンサルティング契約では業務の提供方法が重要となる

企業間取引での(準)委任契約の代表例としては、コンサルティング契約があります。

コンサルティング契約では、コンサルティング業務の提供方法は、契約によって様々ですので、明確に規定しておく必要があります。

これは、クライアント側・コンサルタント側の双方にとって、メリットがあります。

コンサルティングの提供方法を明確化するメリット

  • クライアント側:契約書でコンサルティングの提供方法を明確にすることで、いい加減なコンサルティングを受けるリスクが減る。
  • コンサルタント側:契約書でコンサルティングの提供方法を明確にすることで、クライアント側からの過剰な要求をされるリスクが減る。

コンサルティング業務の提供方法の具体例は、次のとおりです。

コンサルティング業務の提供方法の具体例

  • 訪問相談は毎月1回。1回あたり2時間まで。事前予約必須。
  • 電話・SkypeなどのIP電話での相談は毎月3回、1回あたり1時間まで。事前予約必須。営業時間内に限る。
  • 電子メール・チャットツールでの相談は毎月10往復まで。
  • 規定以上の相談の場合は別途見積もり。または回数・時間に応じてタイムチャージ。
  • (かなり高額な報酬・料金・委託料の場合や成果報酬型のコンサルティング契約の場合)訪問相談・電話相談無制限。ただし事前予約制。
  • (フルコミット型のコンサルティング契約の場合)委託者(クライアント)の事業所に常駐し、営業時間内は無制限にコンサルティング業務を提供。
  • (調査報告や成果物の作成がコンサル内容の場合)そもそも委託者(クライアント)からの相談は受付けず、成果物の提出だけがコンサルティング業務。

構内作業の業務委託契約では詳細な指示は偽装請負となる

構内作業の業務委託契約では、委託者が、受託者による作業の工程について、仕事の順序・方法等を指示したり、受託者の労働者の配置、仕事の割付等をおこなう場合は、いわゆる「偽装請負」と判断されるます。

それだけでなく、これらの指示は、口頭に限らず、文書による場合も含みます。

7. 作業工程の指示

 発注者が、請負業務の作業工程に関して、仕事の順序の指示を行ったり、請負労働者の配置の決定を行ったりしてもいいですか。また、発注者が直接請負労働者に指示を行わないのですが、発注者が作成した作業指示書を請負事業主に渡してそのとおりに作業を行わせてもいいですか。
 適切な請負と判断されるためには、業務の遂行に関する指示その他の管理を請負事業主が自ら行っていること、請け負った業務を自己の業務として相手方から独立して処理することなどが必要です。
 したがって、発注者が請負業務の作業工程に関して、仕事の順序・方法等の指示を行ったり、請負労働者の配置、請負労働者一人ひとりへの仕事の割付等を決定したりすることは、請負事業主が自ら業務の遂行に関する指示その他の管理を行っていないので、偽装請負と判断されることになります。
 また、こうした指示は口頭に限らず、発注者が作業の内容、順序、方法等に関して文書等で詳細に示し、そのとおりに請負事業主が作業を行っている場合も、発注者による指示その他の管理を行わせていると判断され、偽装請負と判断されることになります。

このため、構内作業がある業務委託契約では、委託者側は、あまりにも詳細な業務実施の方法を指示してはなりません。

ポイント

  • 方法に関する規定は、行為・行動そのものが義務となる契約、特に企業間取引での(準)委任契約では重要となる。
  • コンサルティング契約では、業務の提供方法が重要となる。
  • 構内作業の業務委託契約では、詳細な業務実施の方法の指示は、偽装請負=労働者派遣法違反となるリスクがある。
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請負契約・売買契約では納入方法が重要となる

納入方法の規定が必要な場合もある

特殊な物品・製品・成果物の納入では納入方法を規定する

請負契約・売買契約など、物品・製品・成果物の納入がある契約では、一般的には、単に引渡しをすることで、納入は監理用します。

ただ、特殊な物品・製品・成果物の納入の場合は、単なる引渡しではなく、特殊な納入方法が必要となる場合もあります。

この場合、契約条項として、別途「納入方法」の規定を設定します。

例えば、特殊な管理を要する化学物質の納入や、大規模なシステムの納入などでは、詳細な納入方法を規定します。

納入方法の規定がなくても受注者は完全な状態で納入する義務がある

請負契約・売買契約では、納入(正確には検査合格まで)を無事に完了させるのが契約の目的です。

このため、納入方法の規定の有無にかかわらず、受注者は、発注者に対し、完全な形で物品・製品・成果物を納入しなければなりません。

その意味では、わざわざ契約において納入方法を規定する必要はありません。

しかしながら、具体的・詳細に納入方法を規定し、その納入方法を契約上の義務とすることで、発注者としては、より確実に、受注者に納入を完了させることができます。

特殊な納入方法の場合は別紙にする

なお、こうした特殊な納入方法は、「納入」の定義として規定してもかまいません。

ただ、そうすると「納入」の定義が複雑・冗長になり、かえって契約書が読みづらくなります。

このため、「納入」の条項とは別の条項として、「納入方法」の規定を設定したほうが、契約書としては読みやすくなります。

また、場合によっては、納入方法の表示に図面や画像が必要な場合がありますが、このような場合、契約の本文ではなく、別紙にして対応します。

ポイント

  • 請負契約・売買契約の場合で、特殊な物品・製品・成果物の納入が有る場合、納入方法が重要となることがある。
  • ただし、納入方法の規定がなくても、受注者は、完全な状態で納入する義務がある。
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企業間取引では検査方法等を規定する

検査のトラブルを防止するために検査方法の規定が重要

企業間取引では、契約の履行について、検査がある場合があります。

具体的には、各種売買契約、各種請負契約、各種(準)委任契約、業務委託契約、取引基本契約などが該当します。

こうした検査がある契約でありがちなのが、検査結果の合否について、発注者と受注者の見解が分かれ、「合格・不合格」を巡って、トラブルになることです。

こうしたトラブルを防ぐために重要なのが、検査方法や検査項目・検査基準などの検査仕様を決めておくことです。

検査仕様は一意的・客観的に規定する

なお、検査仕様を規定する場合に気をつけなければならないのが、一義的・客観的に規定する、という点です。

一義的・客観的な検査仕様

  • 検査項目:「何を」検査するのか、委託者・受託者双方の解釈が一致するようにする。
  • 検査方法:「どのように」検査するのか、委託者・受託者双方の解釈が一致するようにする。
  • 検査基準:検査の結果、「何に」達していれば合格なのか、なるべく数字で一意的・客観的に規定する。

特に重要なのは、検査基準です。

検査基準を設定する場合は、契約当事者が恣意的な判断ができないよう、可能な限り、定量的な基準=数字を設定します。

親事業者による恣意的な検査は下請法違反

下請法が適用される契約の場合、親事業者による恣意的な検査があったときは、受託者としては、下請法による保護を受けられます。

恣意的な検査があった場合、委託者は、下請法違反となります。

下請法では、恣意的な検査にもとづく場合、次の行為を禁止しています。

「恣意的」な検査による禁止行為

このため、こうした下請法違反となる恣意的な検査があった場合、下請事業者としては、下請法の適用も視野に入れて、対応を検討してください。

ポイント

  • 企業間取引では、検査のトラブルを防止するために、検査方法の規定が重要となる。
  • 下請法が適用される場合、親事業者による恣意的な検査は、下請法違反となる。
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料金の計算方法は誤解のないようにする

計算方法での料金・報酬・代金はやむを得ない場合に限る

一部の契約では、料金・報酬・代金を金額ではなく、計算方法で規定する場合があります。

計算方法で料金・報酬・代金を規定する場合、契約当事者によって計算の結果が異なり、トラブルとなる可能性があります。

このため、やむを得ない場合を除いて、料金・報酬・代金は、なるべく金額で規定するようにします。

どうしても計算方法で規定しなければならない場合は、契約当事者間で誤解がないよう、正確な計算方法を規定するようにします。

成果報酬や出来高払いなどの契約では計算方法で規定する

具体的に、計算方法で料金・報酬・代金を決める契約は、成果報酬や出来高払いの契約などがあります

成果報酬の契約の具体例は、営業代行の契約や代理店契約があります。

出来高払いの契約の具体例は、タイムチャージ型のコンサルティング契約などがあります。

また、単価が決まっている売買型・請負型の取引基本契約も、ある意味では、計算方法で料金・報酬・代金を決める契約といえます。

ただ、このような取引基本契約であっても、個別契約では、計算結果としての金額を規定しておくべきです。

ポイント

  • 計算方法での料金・報酬・代金を規定するのは、やむを得ない場合に限り、なるべく金額で規定する。
  • 成果報酬や出来高払いなどの契約では、料金・報酬・代金は、計算方法で規定する
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支払方法は必ず規定する

金銭の支払いがある契約では、支払方法も規定します。

一般的な契約の場合、金額が少額な場合は、銀行振込による支払いがほとんどです。

ただ、特に企業間契約で金額が多額な場合は、手形・小切手・電子記録債権などによる支払いもあります。

このほか、金額が多額な場合は、債権譲渡担保方式、ファクタリング方式、併存的債務引受方式の、3種類のうちのいずれかの一括決済方式とする場合もあります。