こんにちは。契約書作成専門・小山内行政書士事務所代表の小山内です。

このページでは、契約交渉段階の注意点のうち、予備的合意書(Loi・Mou)の取交しのリスク・注意点について解説しています。

予備的合意書とは、主に国際取引の際に取り交わされる文書のことで、「Letter of Intent」(Loi)または「Memorandum of Understandings」(Mou)の和訳です。

予備的合意書は、契約交渉段階において、部分的に合意がなされた点について、確認することを目的に取交す文書です。

契約交渉段階で取交すものとはいえ、予備的合意書は、立派な文書ですので、合意内容を巡って、トラブルとなる場合もあります。

この際、法的拘束力の有無が、問題となります。

このページでは、こうした予備的合意書のリスクや問題点について、解説しています。

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予備的合意書で契約交渉中の記録を残しておく

【意味・定義】予備的合意書とは?

予備的合意書とは、「Letter of Intent」(Loi)または「Memorandum of Understandings」(Mou)の和訳で、契約交渉中の合意内容を確認するための文書です。

予備的合意書の定義

「予備的合意書」とは、主に国際取引における契約で使用される文書で、契約交渉段階における部分的な合意について確認することを目的に作成される文書のこと。

日本でいうところの「議事録」に近いニュアンスですが、議事録の場合は、「事実」が記載されるものであるのに対し、予備的合意書は、「合意」が記載されるものである、という違いがあります。

大規模な契約で段階的な合意を記録する文書

海外・国内を問わず、交渉の期間が長期に渡るような、重大で大規模・複雑な契約は、様々な紆余曲折を経て締結に至ります。

こうした契約の交渉段階では、一気にすべての内容について合意するのではなく、様々な契約条件について部分的に合意していきます。

予備的合意書は、こうした、契約交渉の過程で段階的に決まっていく合意の内容を、お互いに確認する文書です。

つまり、「今回の交渉では、とりあえずこの点について合意しました」という形で、記録に残しておくための文書です。

ポイント

  • 「予備的合意書」とは、主に国際取引における契約で使用される文書で、契約交渉段階における部分的な合意について確認することを目的に作成される文書。
  • 予備的合意書は、大規模・複雑な契約交渉の際、段階的になされる合意を記録し、相互に確認することを目的とした文書。
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大規模・複雑な契約交渉段階では過程の記録が重要

国内では予備的合意書はあまり使わない

予備的合意書は、国内の契約交渉では、それほど使われてはいません。

国内の大規模・複雑な契約交渉では、どちらかというと、議事録で契約交渉の過程を記録しておくことが多いようです。

また、最近では、ICレコーダーや携帯電話・スマホに、音声の記録を残しておくこともあります。

どのような方法・記録媒体にするにせよ、特に大規模・複雑な契約交渉では、交渉の過程を記録に残しておくことが極めて重要です。

契約書作成段階で揉めないためにも記録を残す

というのも、契約書を作成する段階になると、お互いの認識がずれてしまう可能性があるからです。

通常は、どちらかの当事者が、交渉過程を反映した契約書を作成し、相手側がこの契約書をチェックすることになります。

この際、契約交渉の期間が長ければ長いほど、お互いの認識の違いや勘違いが多くなり、契約書の文言の記載を巡って、トラブルとなります。

長期間の契約交渉の場合は認識違いや誤解が生じる

契約期間が長ければ長いほど、契約担当者の個人的な認識の違いや誤解が生じやすくなり、契約書の記載を巡って、「話が違う!」とトラブルになる可能性が高い。

この場合でも、記録が残っていれば、その記録にもとづいて契約条件を修正するなり、相手側の認識を改めることができます。

ところが、記録が残っていなければ、議論が平行線のまま、最悪の場合、交渉が決裂してしまいます。

このように、無駄に契約を破談にしないためにも、予備的合意書等で、しっかりと記録を確保しておくことが重要です。

ポイント

  • 国内外の取引を問わず、大規模・複雑な契約交渉段階では、交渉過程の記録が重要となる。
  • 国内取引の契約交渉では、予備的合意書はあまり使わず、議事録や音声記録が使われる。
  • 契約交渉の記録は、契約書作成段階で揉めないため作成する。
  • 長期間の契約交渉の場合は、交渉担当者の認識違いや誤解が生じる可能性がある。
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予備的合意書の法的拘束力の有無が問題となる

交渉決裂・破談の際に予備的合意書の法的拘束力が問題となる

予備的合意書は、法的拘束力の有無が問題となる場合があります。

当然ながら、契約交渉がスムーズ進み、円満に契約が締結される場合には、特に問題となりません。

予備的合意書が問題となるのは、契約交渉が決裂し、破談となった場合です。

この場合、この予備的合意書によって、契約が成立したものとみなされてしまう危険性があります。

予備的合意書が「予備的」でない合意書とみなされる?

というのは、国内・国外問わず、契約の締結には、原則として、正式な契約書は必要ではなく、口頭でも契約は成立します。

つまり、ある程度の合意がさえあれば、わざわざ契約書を作らなくても、契約が成立しているとみなされる場合があります。

この際、事前に取交していた予備的合意書に法的拘束力があると判断されると、予備的合意書が、「予備的」ではなく、本当の意味での「合意書」となってしまいます。

その結果、契約は成立していないと主張した企業が、膨大な損害賠償請求をされた例もあります。

法的拘束力を明らかにして予備的合意書にサインする

予備的合意書の法的拘束力については、法律の条文もなく、判例でも、どういった場合に契約が成立するのかはケース・バイ・ケースです。

つまり、予備的合意書に法的拘束力があり、契約成立の効果があるとは、必ずしも言い切れません。

このため、実際に予備的合意書を作成し、サインをする状況になった場合、その予備的合意文書の法的拘束力がどのように規定されているのかを、必ず確認しなければいけません。

すでに触れたとおり、法的拘束力について何も言及していない予備的合意書は、後日、契約成立の証拠となる可能性もあります。

このため、予備的合意書は、法的拘束力の有無について明確に記載したうえでサインするべきです。

ポイント

  • 予備的合意書は、法的拘束力の有無が明確でないため、合意の成立を巡って、問題となることもある。
  • 予備的合意書の法的拘束力が問題となるのは、交渉決裂・破談となった場合に、交渉当事者が契約の成立を主張するため。
  • 予備的合意書に法的拘束力が認められると、「予備的」でない合意書とみなされる。
  • 予備的合意書にサインする際は、必ず法的拘束力を明確に記載する。