【意味・定義】混合契約とは?
【意味・定義】混合契約とは?
混合契約とは、2つ以上の複数の契約が混合した契約をいう。
混合契約とは典型契約または非典型が混じった契約
混合契約とは、複数の典型契約または非典型契約が入り混じった契約です。
混合契約は、大きく分けて、次の3パターンのいずれかになります。
混合契約のパターン
- 典型契約が2つ以上のもの。
- 非典型契約が2つ以上のもの。
- 典型契約と非典型契約が1つ以上のもの。
典型契約と非典型契約につきましては、詳しくは、それぞれ次のページをご覧ください。
混合契約の具体例
混合契約の種類・一覧
例えば、次のような契約が、混合契約です。
混合契約の具体例
- 注文者から原材料の供給がある製造請負契約
- システムエンジニアリングサービス契約
- システム開発の契約
- 経営コンサルティング契約
- フランチャイズ契約
- 秘密保持義務がある業務委託契約
- 施工方法のライセンスがある建設工事請負契約
- 警備機械の譲渡がある機械警備契約
請負+売買(譲渡)の混合契約の具体例
請負の売買(譲渡)の混合契約
- 注文者から原材料の供給がある製造請負契約=製造請負契約+原材料の譲渡契約・売買契約
- システム開発の契約=システム開発の請負契約+成果物の知的財産権の譲渡契約・売買契約
請負+(準)委任の混合契約の具体例
請負+(準)委任の混合契約
- システムエンジニアリングサービス契約=ドキュメント類の作成の請負契約+システムエンジニアリング業務の準委任契約(※場合によっては著作権・営業秘密等の知的財産権の譲渡・売買・ライセンスもある)
- 経営コンサルティング契約=マニュアル等の作成の請負契約+コンサルティング(助言)業務の準委任契約(※場合によっては著作権・営業秘密等の知的財産権の譲渡・売買・ライセンスもある)
売買+(準)委任の混合契約の具体例
売買+(準)委任の混合契約
- システム開発の契約(準委任+知財譲渡型)=システム開発の準委任契約+成果物の知的財産権の譲渡契約・売買契約
- 警備機械の譲渡がある機械警備契約=機械警備業務の準委任契約(場合によっては請負契約)+警備機械の売買契約・譲渡契約
その他の混合契約の具体例
その他の混合契約
- システム開発の契約(請負+準委任契約+譲渡・売買・ライセンス契約)=ドキュメント類の作成に関する請負契約+システムのコーディングに関する準委任契約+成果物の著作権・営業秘密等の知的財産権の譲渡契約・売買契約・ライセンス契約
- フランチャイズ契約=商標のライセンス契約+経営ノウハウ(営業秘密)のライセンス契約+商品や原材料の売買契約
- 秘密保持義務がある業務委託契約=秘密保持契約+業務委託契約(請負契約または準委任契約がほとんど)
- 施工方法のライセンスがある建設工事請負契約+施工方法のライセンス契約+建設工事の請負契約
ビジネスの契約は混合契約が多い
企業間取引ではひとつだけの契約はほとんどない
以上の例にもあるとおり、現在のビジネスモデルの契約は、権利義務の内容が非常に複雑化しています。
このため、特に企業間取引の契約では、民法が想定しているような、極めて単純な典型契約となることはありません。
同様に、ひとつだけの非典型契約による企業間取引も、ほとんどありません。
例えば、秘密保持契約単体の契約以外の秘密保持義務が課されるすべての契約は、すべて「秘密保持契約+なんらかの契約」の混合契約といえます。
「基本となる典型契約+α」の混合契約が多い
ただ、典型契約は、ごく単純であるがゆえに、いろいろがビジネスモデルの基本となります。
企業間取引では、典型契約を基本として、補完的な典型契約・非典型契約を加えて、契約内容を構築していきます。
実際のビジネスの現場では、このようにして生み出された複雑なビジネスモデルが数多く存在します。
このため、特に近年新しく生み出されたビジネスモデルの多くの契約は、ほとんど混合契約であるといえます。
ポイント
- 企業間取引では、ひとつだけの典型契約や非典型契約は、ほとんどない。大半は混合契約。
- 企業間取引の混合契約では、「基本となる典型契約+α」のパターン多い。
混合契約は契約条件の量が多い
混合契約は契約条項が複雑に絡み合う契約
すでに触れたとおり、混合契約は、典型契約や非典型契約が2つ以上混合した契約です。
このため、契約条項の分量は、それぞれ単体の契約に比べて、非常に多くなります。
また、混合契約は、単に契約条項の量が多いだけではありません。
契約条項の量が多いために、契約条項が他の契約条項と干渉したり矛盾したりすることがあります。
混合契約は契約書による「交通整理」が重要
このように、混合契約は、各契約条項が複雑かつ有機的に絡み合っています。
このため、混合契約では、契約書を作成することで、こうした契約条項の整理をします。
そうしないと、トラブルになった際に、それぞれの契約当事者が、自分にとって都合のいい契約条項を引っ張り出きて、収集がつかなくなります。
こうしたトラブルを予防する意味で、混合契約では、契約書が非常に重要となります。
契約書を作成する理由・目的
企業間取引での混合契約は、非常に複雑となり、契約条項同士の干渉や矛盾が生じることもあることから、これらの契約条項を整理した契約書が必要となるから。
ポイント
- 混合契約は、契約条項の量が多いうえに、契約条項が複雑かつ有機的に絡みあう契約。
- 混合契約では、契約条項の「交通整理」のため、契約書の作成が非常に重要となる。
混合契約に関するよくある質問
- 混合契約とは何ですか?
- 混合契約とは、2つ以上の複数の契約が混合した契約のことです。
- 混合契約の具体例を教えて下さい。
- 混合契約の具体例は、以下のとおりです。
- 注文者から原材料の供給がある製造請負契約
- システムエンジニアリングサービス契約
- システム開発の契約
- 経営コンサルティング契約
- フランチャイズ契約
- 秘密保持義務がある業務委託契約
- 施工方法のライセンスがある建設工事請負契約
- 警備機械の譲渡がある機械警備契約