13種類の典型契約・有名契約の民法の条文一覧とその具体例について解説
典型契約とは、民法に規定されている、13種類の契約のことです。別名、「有名契約」ともいいます。

典型契約・有名契約とは

典型契約・有名契約とは、民法に規定された13種類の契約をいう。

このページでは、こうした13種類の典型契約・有名契約について、民法の条文を紹介しながら、具体例を交えて、わかりやすく解説していきます。

民法の13種類の典型契約・有名契約の一覧・リスト

民法上の13種類の典型契約・有名契約の一覧・リスト

  1. 贈与契約(民法第549条
  2. 売買契約民法第555条
  3. 交換契約(民法第586条
  4. 消費貸借契約(民法第587条
  5. 使用貸借契約(民法第593条
  6. 賃貸借契約民法第601条
  7. 雇用契約民法第623条
  8. 請負契約(民法第632条
  9. 委任契約(民法第643条
  10. 寄託契約(民法第657条
  11. 組合契約(民法第667条
  12. 終身定期金契約(民法第689条
  13. 和解契約(民法第695条

【意味・定義】贈与契約とは?

贈与契約は無償譲渡の契約

贈与契約は、一方の契約当事者が、相手方に対し、財産を無償で譲渡する契約です。

贈与契約の定義

贈与契約とは、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与え、相手方がこれを受ける契約をいう。

贈与契約の条文(民法第549条)

民法第549条(贈与)

贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

ここでいう「財産」は、動産、不動産、債権、無体財産権=知的財産権のいずれも含みます。

贈与契約の具体例

贈与契約は、無償で財産を譲渡する契約ですので、いわゆるプレゼントや贈り物の契約が該当します。お小遣いを渡すことや、お年玉をあげることも、一種の贈与契約といっていいでしょう。

また、いわゆる「生前贈与」や「死因贈与」なども、贈与契約といえます。

贈与契約は、事業上の契約としては、あまり表立って締結されることはありません。

ただ、実際のビジネスの現場では、厳密には無意識に譲渡契約を締結・履行している場合があります。

【意味・定義】売買契約とは?

売買契約は有償譲渡の契約

売買契約は、一方の契約当事者=売主が、相手方=買主に対し、財産を有償で譲渡し、買主が、売主に対し、代金を支払う契約です。

売買契約の定義

売買契約とは、当事者の一方がある財産権を相手方に移転し、相手方がこれに対してその代金を支払う契約をいう。

売買契約の条文(民法第555条)

民法第555条(売買)

売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

ここでいう「財産権」は、動産、不動産、債権、無体財産権=知的財産権のいずれも含みます。

売買契約の具体例

売買契約は、様々な財産権の移転と金銭の支払いを目的とした契約が該当します。

それこそ、コンビニやスーパーでの日常的な買い物の契約から、不動産や株式のような、大規模な財産の売買の契約まで、様々な契約が該当します。

売買契約は、事業上の契約としては、最も重要で頻繁に締結される契約のひとつともいえます。

事業での売買契約の例

なお、動産売買契約、不動産売買契約、売買取引基本契約につきましては、詳しくは、それぞれ次のページをご覧ください。

【意味・定義】交換契約とは?

交換契約は金銭以外の財産権の相互移転の契約

交換契約は、契約当事者がお金以外の財産権を相互に移転する契約です。

交換契約の定義

交換契約とは、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転する契約をいう。

交換契約の条文(民法第586条)

民法第586条(交換)

1 交換は、当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約することによって、その効力を生ずる。

2 当事者の一方が他の権利とともに金銭の所有権を移転することを約した場合におけるその金銭については、売買の代金に関する規定を準用する。

交換契約に関する条文は、本条しかありません。

ただし、民法第559条により、交換契約には、売買契約の規定が準用されます。

民法第559条(有償契約への準用)

この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

交換契約の具体例

交換契約は、いわゆる「物々交換」が典型的な例です。

個人間のちょっとした物の交換としては、交換契約が締結・履行されることがあります。

他方、通常、事業上の契約としては、まず交換契約が締結されることはありません。

ただし、事業規模や業種によっては、次のような特殊な事情による交換契約が締結される場合もあります。

事業での交換契約の例

【意味・定義】消費貸借契約とは?

消費貸借契約は消費する物の貸し借りの契約

消費貸借契約は、「品質及び数量の同じ物」の貸し借りの契約です。

消費貸借契約の定義

消費貸借契約とは、当事者の一方が、ある物を相手方から借り受け、品質及び数量の同じ物を返還をする契約をいう。

「消費」の貸借契約ですので、借主が借りた物をいったん消費することが前提の契約です。

このため、返ってくる物は、同一の物ではなく、「品質及び数量の同じ物」となります。

消費貸借契約の条文(民法第587条)

民法第587条(消費貸借)

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

なお、「物を受け取ることによって」とあるとおり、消費貸借契約は、要物契約です。

消費貸借契約の具体例

消費貸借の例としてよく挙げられるのが、ご近所との「米・味噌・醤油」などの貸し借りです。

また、いわゆる「借金」の契約は、正式には「金銭消費貸借契約」といい、消費貸借契約の一種です。

このため、個人用の住宅ローンの契約や、事業上の金融機関からの融資もまた、消費貸借契約の一種といえます。

金銭消費貸借契約につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

【意味・定義】使用貸借契約とは?

使用貸借契約は消費しない物の無償での貸し借りの契約

使用貸借契約は、消費しない物の無償の貸し借りの契約です。

使用貸借契約の定義

使用貸借契約とは、当事者の一方=借主が、相手方=貸主からある物を無償で借り受け、「使用及び収益」をした後に返還をする契約をいう。

ここでいう「収益」とは、いわゆる「果実」を受け取ることをいいます。

例えば、借りた物を又貸しをすることで賃料(法定果実)を得たり、借りた土地で育てた農作物(天然果実)を収穫することが該当します。

使用貸借契約の条文(民法第593条)

民法第593条(使用貸借)

使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

なお、「物を受け取ることによって」とあるとおり、使用貸借契約は、要物契約です。

使用貸借契約の具体例

使用貸借契約は、いわゆる「タダ」で、消費しない物の貸し借りをする行為が該当します。

例えば、自転車や自動車の貸し借りなどが該当します。

ただし、ガソリン・軽油などの燃料をもと通りにして返す契約(いわゆる「満タン返し」など)は、すでに触れた消費貸借契約に該当します。

事業上の契約としても、土地・建物・設備・機材の無償での貸借契約や、(物ではありませんが)知的財産権の無償でのライセンス契約などが、使用貸借契約の例に該当します。

【意味・定義】賃貸借契約とは?

賃貸借契約は消費しない物の有償での貸し借りの契約

賃貸借契約の定義

賃貸借契約とは、当事者の一方=借主が、相手方=貸主からある物を有償で借り受け、賃料を支払い、「使用及び収益」をした後に返還をする契約をいう。

賃貸借契約の条文(民法第601条)

民法第601条(賃貸借)

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

賃貸借契約の具体例

賃貸借契約は、いわゆる「レンタル」の契約が該当します。

また、土地や建物の賃貸契約も、典型的な賃貸借契約の一種です。

事業での賃貸借契約の例は、主に次の4つのパターンが該当します。

ビジネス上の賃貸借契約の4つの典型例

  • レンタル契約
  • リース契約
  • 土地賃貸借契約・建物賃貸借契約
  • サブリース契約

これらの賃貸借契約の詳細につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

【意味・定義】雇用契約とは?

雇用契約は労働力の提供と給料の支払いの契約

雇用契約とは、文字どおり、企業が労働者を雇用する契約をいいます。より正確には、次のとおりです。

雇用契約の定義(民法第623条)

雇用契約とは、労働者が労働に従事し、使用者が労働に対する報酬を支払う契約をいう。

雇用契約の条文

民法第623条(雇用)

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

雇用契約の具体例

労働者を雇用する契約は、すべて雇用契約に該当します。

これは、正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、労働者の呼び方に関係なく、法律上、直接雇用に該当する場合は、すべて雇用契約です。

なお、個人事業者やフリーランスとの業務委託契約であっても、雇用契約に該当する場合もあります。

雇用契約・労働契約と個人事業者・フリーランスとの業務委託契約の違いにつきましては、詳しくは、次のページ(弊所運営の姉妹サイト)をご覧ください。

また、雇用契約・労働契約につきましては、詳しくは、次のページをご覧ください。

【意味・定義】請負契約とは?

請負契約は仕事の完成と報酬の支払いの契約

請負契約は、請負人が仕事を完成させ、注文者がその仕事の対価として報酬を支払う契約です。

請負契約の定義

請負契約とは、請負人が仕事の完成を約束し、注文者が、その仕事の対価として、報酬を支払うことを約束する契約をいう。

請負契約の条文(民法第632条)

民法第632条(請負)

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

請負契約の具体例

請負契約は、金銭のやり取りが発生するので、あまり個人間(一般消費者)では締結されない契約です。

つまり、請負契約は、事業者が当事者となることがほとんどです。

これは、企業間取引(BtoB)と企業と一般消費者の取引(BtoC)の両者が該当します。

具体的には、次の契約が該当します。

請負契約の例

【意味・定義】委任契約とは?

委任契約・準委任契約はある「行為」の委託・受託の契約

委任契約は法律行為の委託の契約

委任契約は、委任者が、受任者に対し、法律行為の委託をする契約です。

委任契約の定義

委任契約とは、委任者が、受任者に対し、法律行為をすることを委託し、受任者がこれ受託する契約をいう。

法律行為とは、行為者が法律上の一定の効果を生じさせようと意図して意思の表示(=意思表示)をおこない、意図したとおりに結果が生じる行為のことです。

学術的な用語で、非常にわかりづらいですが、わかりやすい具体例としては、「契約を結ぶこと」が、法律行為のひとつの例です。

準委任契約は事務の委託の契約

委任契約に準じた契約として、「準委任契約」があります。

準委任契約は、委任者が、受任者に対し、(法律行為ではなく)事務の委託をする契約です。

準委任契約の定義

準委任契約とは、委任者が、受任者に対し、法律行為でない事務をすることを委託し、受任者がこれ受託する契約をいう。

ここでいう「事務」というのは、一般的な用語としての事務(例:事務を執る、事務所、事務職など)ではなく、もっと広い概念です。

民法上は定義がありませんが、作業、助言、企画、技芸の教授など、「法律行為でない行為」が該当すると考えて差し支えないでしょう。

委任契約・準委任契約の条文(民法第643条・民法第656条)

民法第643条(委任)

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

民法第656条(準委任)

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

委任契約・準委任契約の具体例

委任契約の具体的な例としては、弁護士との訴訟代理契約、税理士との税務業務委託契約などがあります。

また、不動産業者との不動産の売買・賃貸の媒介契約なども委任契約の一種です。

準委任契約の具体的な例としては、医師と患者との医療行為・診療行為の契約が該当します。

この他、何らかの行為・技能・知識の提供などの契約(例:一部のコンサルティング契約)も、一種の準委任契約に該当します。

【意味・定義】寄託契約とは?

寄託契約は他人の物を預かる契約

寄託契約は、一方の契約当事者=受寄者が、相手方=寄託者の物を預かり、保管する契約です。

寄託契約の定義

寄託契約とは、当事者の一方が相手方のためにある物を保管をする契約をいう。

寄託契約の条文(民法第657条)

民法657第条(寄託)

寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

なお、「物を受け取ることによって」とあるとおり、寄託契約は、要物契約です。

寄託契約の具体例

寄託契約の例としては、倉庫業者が顧客のために荷物を預る契約が該当します。

このように、事業者(=商人)が事業として寄託を受ける契約を「商事寄託」といいます(商法第593条以下)。

また、銀行が顧客の金銭を預かる契約、つまり預金の契約も、一種の寄託契約です。

預金の契約は、銀行が預かった預金を消費できます。このような、寄託物を消費できる寄託契約を「消費寄託契約」といいます。

【意味・定義】組合契約とは?

組合契約は出資による共同事業の契約

組合契約は、2以上の複数の契約当事者が、なんらかの出資をすることにより、事業を営む契約です。

組合契約の定義

組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営む契約をいう。

組合契約の条文(民法第667条)

民法第667条(組合契約)

1 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。

2 出資は、労務をその目的とすることができる。

ここでいう「出資」には、何ら制限はありませんので、金銭に限らず、物品や権利や労務(第2項)でもかまいません。

組合契約の具体例

一般的に、「組合」と名前がつく組織は、この組合契約によって成立しているものがほとんどです。

例えば、商店会のような小規模なものから、建設工事における建設業者のジョイントベンチャー(JV、共同企業体)も組合契約により成立しています。

また、事業提携契約や業務提携契約も、実質的には組合契約であることがあります。

なお、有限責任事業組合(LLp)、投資事業有限責任組合(LPS)、労働組合、農業協同組合、水産業協同組合、信用組合など、「組合」という名称であっても、民法以外の法律にもとづき成立する組合もあります。

この場合は、民法が一般法となり、組合に関する法律が特別法となります。

【意味・定義】終身定期金契約とは?

終身定期金契約は定期的な金銭等の給付の契約

終身定期金契約は、一方の契約当事者が、相手方または第三者に対し、自己・相手方・第三者が死亡するまでの間、定期的に金銭等を給付する契約です。

終身定期金契約の定義

終身定期金契約は、当事者の一方が、自己、相手方または第三者が死亡するまで、定期的に金銭その他の物を相手方または第三者に給付する契約をいう。

終身定期金契約の条文(民法第689条)

民法第689条(終身定期金契約)

終身定期金契約は、当事者の一方が、自己、相手方又は第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって、その効力を生ずる。

終身定期金契約の具体例

終身定期金契約は、一種の年金のようなものです。

ただ、公的機関の年金=国民年金・厚生年金等は、別途の法律(国民年金法、厚生年金法)が適用されます。

また、民間企業の私的年金=年金保険も、保険業法とこれにもとづく保険約款が適用されます。

このため、純粋に民法上の終身定期金契約の規定が適用される契約は、めったにありません。

【意味・定義】和解契約とは?

和解契約は紛争解決の合意の契約

和解契約は、契約当事者間に紛争がある場合に、その紛争をやめる契約です。いわゆる「示談契約」も和解契約です。

和解契約の定義

和解契約は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめる契約をいう。

和解契約の条文(民法第695条)

民法第695条(和解)

和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

和解契約の具体例

和解契約は、民事上のトラブルの解決に関する契約であり、個人・事業者問わず、非常に広く締結・履行がされている契約です。

個人の場合は、交通事故の示談などが、和解契約の典型例です。

事業者の場合は、事業上のトラブルを契約で解決する場合は、その契約は、すべて和解契約といえます。

すでに締結している契約上のトラブルを解決する契約は和解契約に該当しますし、まったく契約関係がない当事者間のトラブルを解決する契約も和解契約に該当します。